藤の実

藤の実や池を望める高台に



　




マメ科の蔓性植物。







藤は、春から夏にかけて花を咲かせ、その後実をつける。







秋になると緑色の長さ十センチほどの莢を垂らす。







その中に扁平な碁石のような種が入っている。







藤棚に藤の実が数多く垂れ下がっていた。

そこは池が眺められる高台であった。






藤の実を揺らす夕風立ちにけり



　

瓢（ふくべ）

瓢箪の尻を吊られて風もなし



　



ウリ科の蔓性一年草。







棚などに絡みつき、初秋、瓢箪形の青い実を垂らす。







「百生り」「千生り」の名があるほど多量の実をつける。







中の果肉を取り、中空にして乾燥させると、酒や飲料水の

容器、花器などになる。







瓢箪が棚に沢山生っていた。

大きなものは尻に敷物をあてがわれて吊られていた。

風もなく、揺れるものはなかった。

　




古民家の閉ざされてゐる瓢かな



　

狗尾草

パークトレイン過ぐるを待ちて猫じやらし



　



イネ科の一年草。







路傍に普通に見られる雑草。







秋、茎頂に緑色の円柱状でのぎの多い、子犬の尾に似た

花穂をつけるのでこの名がある。







その穂で子猫をじゃらつかせることから「猫じゃらし」ともいう。







パークトレインがやって来た。

前を過ぎるのを待って後ずさりすると、後ろに狗尾草が群生

していた。






猫じやらし夕べ風向き変はりけり



　

桔梗

茶室への道の片方（かたへ）の桔梗かな



　



キキョウ科の多年草。

秋の七草の一つ。

日本、中国、朝鮮半島に分布する。







山野の日当たりの良い所に自生し、観賞用に庭などに栽培

もされる。







八～九月頃、茎や枝の先に青紫色の鐘形五裂の花をつけ

る。







花色は、白色や桃色もある。







茶室へ行く道の片側に、桔梗が青い花をもたげていた。






桔梗や相睦みゐる道祖神



　

鶏頭

鶏頭の光吸ひたる赤なりし



　



ヒユ科の一年草。

熱帯アジア原産。

広く観賞用として庭などに植えられる。







八～十月、茎の上部に紅、赤、紅紫、黄、白などの花をつけ

る。

鶏の鶏冠を思わせることからこの名がついた。







種類は多く、扇鶏頭、箒鶏頭、槍鶏頭、紐鶏頭、房鶏頭など

がある。

古名を「韓藍」といい、花の汁が染色に用いられていたとい

う。







鶏頭が花をもたげていた。

赤い花は日の光を反射するのではなく、吸い取っているよう

に思えた。






子規いつも頭の片隅に鶏頭花