今日、3年生の竜さんが泣いた。
「日本に行くことができない。」と言ってぽとっと涙を落とした。
今、財経大学の日本語学科は時ならぬ日本ブームが起きている。
一つには、校内スピーチコンテストで優勝したら日本で一週間ホームステイできるチャンスが生まれたことだ。しかし、それはたった一人しか行けないし、期間も一週間という短さだ。
もう一つ、これが主なブームの元だが、岡山商科大学と提携して、2年間財大+2年間岡山商大で卒業できるコースが設定されたのだ。さらに一年間だけの交換留学の道も可能になった。来年4月、日本側の新学期からだ。
3年生がそれを聞いて燃え立った。今まで鳴かず飛ばず、全体に勉強不足、やる気不足が蔓延していたかに見えた彼らだが、2年間+2年間コースには3人が、1年間だけの交換留学には一時7人が応募した。しかし、7人応募した際、大学側が説明し忘れていたことがあった。留学期間の生活費が仕送りできる証明として、6万元以上預金してある銀行の証明書が必要なのだ。
5人がそれで脱落した。竜さんもそのうちの一人だった。彼女はお父さんに必死で何度も懇願したが、
「6万元の預金証明を出せという、そんな怪しい話はない。お前は騙されている。」
と言って取り合ってくれなかったそうだ。私が、
「日本に留学する者の中には、勉強目的ではなく、働きに来る人がたくさんいるので、日本の入国管理事務所がそうしたんです。」と言うと、竜さんは
「私も何回も何回も、そう言って父に説明したけど、全く聞いてくれなかった。」
とまたシクシク泣く。(中国じゃあるまいし、日本の大学が学生を騙すかよ~)という考えが脳裏を過ぎった。中国の大学だって、よもや学生からお金を踏んだくり取ったりはしまい。ちょっと失礼だったな、これは。
でも、私には別の心配がある。
日本国内の人達が想像できないほど、日本語学科の大学生たちの日本への憧れは大きい。しかし、せっかく困難を乗り越えて日本に行き、生活し始めた時、彼らの憧れと期待に日本の人々と社会は温かく応えてくれるのだろうか。今の日本の人たちは、あんまり優しくない、というか、ギスギスして攻撃的で、表面を取り繕うことに終始している人たちが蔓延しているように私には見える。
この中国江西省の片田舎から、胸いっぱいの期待とともに日本に出発した学生たちの輝く目が、失望で曇ったりしないか気が気ではない。
「じゃあ、来るなよ」
とかいう言葉がすぐに飛んできそうな気配の今の日本じゃないでしょうかね、みなさん。考え違いであったら嬉しいけど。
「日本に行くことができない。」と言ってぽとっと涙を落とした。
今、財経大学の日本語学科は時ならぬ日本ブームが起きている。
一つには、校内スピーチコンテストで優勝したら日本で一週間ホームステイできるチャンスが生まれたことだ。しかし、それはたった一人しか行けないし、期間も一週間という短さだ。
もう一つ、これが主なブームの元だが、岡山商科大学と提携して、2年間財大+2年間岡山商大で卒業できるコースが設定されたのだ。さらに一年間だけの交換留学の道も可能になった。来年4月、日本側の新学期からだ。
3年生がそれを聞いて燃え立った。今まで鳴かず飛ばず、全体に勉強不足、やる気不足が蔓延していたかに見えた彼らだが、2年間+2年間コースには3人が、1年間だけの交換留学には一時7人が応募した。しかし、7人応募した際、大学側が説明し忘れていたことがあった。留学期間の生活費が仕送りできる証明として、6万元以上預金してある銀行の証明書が必要なのだ。
5人がそれで脱落した。竜さんもそのうちの一人だった。彼女はお父さんに必死で何度も懇願したが、
「6万元の預金証明を出せという、そんな怪しい話はない。お前は騙されている。」
と言って取り合ってくれなかったそうだ。私が、
「日本に留学する者の中には、勉強目的ではなく、働きに来る人がたくさんいるので、日本の入国管理事務所がそうしたんです。」と言うと、竜さんは
「私も何回も何回も、そう言って父に説明したけど、全く聞いてくれなかった。」
とまたシクシク泣く。(中国じゃあるまいし、日本の大学が学生を騙すかよ~)という考えが脳裏を過ぎった。中国の大学だって、よもや学生からお金を踏んだくり取ったりはしまい。ちょっと失礼だったな、これは。
でも、私には別の心配がある。
日本国内の人達が想像できないほど、日本語学科の大学生たちの日本への憧れは大きい。しかし、せっかく困難を乗り越えて日本に行き、生活し始めた時、彼らの憧れと期待に日本の人々と社会は温かく応えてくれるのだろうか。今の日本の人たちは、あんまり優しくない、というか、ギスギスして攻撃的で、表面を取り繕うことに終始している人たちが蔓延しているように私には見える。
この中国江西省の片田舎から、胸いっぱいの期待とともに日本に出発した学生たちの輝く目が、失望で曇ったりしないか気が気ではない。
「じゃあ、来るなよ」
とかいう言葉がすぐに飛んできそうな気配の今の日本じゃないでしょうかね、みなさん。考え違いであったら嬉しいけど。