私は街で、
「良い朝鮮人も悪い朝鮮人も皆殺す!」
「朝鮮人を日本から叩き出せ!」
とマイクでがなり立てる在特会のヘイト「スピーチ」を、
「スピーチ」というポジティブな、或は、中性的な言葉で表現してはならないと考えている。
相手の人格を否定し、言われた相手が怒りや恐怖に苦しめられるような表現は、
「犯罪」である。
脅迫罪 threat; Bedrohung:本人またはその親族の生命,身体,自由,名誉,財産に対する加害の告知をもって脅迫する罪 (刑法 222) 。
脅迫は一般に人を恐怖させるに足るものでなければならず,また行為者が左右することのできない吉凶禍福を説くのは,これにあたらない。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より)
ほんのちょっと想像したら分かるだろう。
外国の街角で突然、
「良い日本人も悪い日本人もみんな殺す!」
「日本人は首つって死ね!」
「ゴーキブリ!」
「日本人をこの国から叩き出せ!」
などと、大声で言って来られたら身の危険を感じないか?
言葉だけでも、心はズタズタになるだろう。
ありがたいことに、私は中国(南昌)で、
直接的に日本人であることで屈辱的な対応をされたことは、一度もない。
4年間の滞在で私は、
南昌を第二の故郷と思うぐらいに親しみを覚えるようになった。
在日韓国・朝鮮の人々のうち、
日本に強制連行された歴史を身に刻む一世は既に超高齢になっており、
現在、多くは日本で生まれ、日本で育った、日本が故郷の二世、三世だ。
自分が生まれ育った街を歩いていて、「帰れ!」とか言われても……ねえ。
それに、大阪には在日韓国・朝鮮人の文化がしっかり根付いている。
多様性が開放性と大らかさを下支えしているのだ。
もし、在日の人々がいなかったら、
大阪の街はかなりつまんない町になっていることだろう。
近年、攻撃的言辞を弄する人々の特徴は、
〈相手の立場に立ってみる〉ということが全くできないことだ。
大江健三郎さんじゃないけど、「想像力がない」のだ。
今夏、大阪府在住の李信恵さんというフリーライターが個人で、
在特会と桜井誠会長、まとめサイトの「保守速報」に対し、
損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。
ものすごく勇気のいる決断だったことは間違いない。
11月30日『中山千夏講演会」は実は大変盛りだくさんの出演者がいて、
(スタンダップ・コメディの「なおゆき」、パンクロックの「はちようび」、
そして浪速の歌う巨人「パギやん;趙博」などなど)たいへんに楽しめたのだが、
その出演者の一人に李信恵さんがいた。
初めて見た彼女は「沢山の人を前に喋るのが得意じゃなくて・・・・・・。」と、
自分の思いを紙に書いたものを読み上げた。
「差別がなくなるなら、と思って提訴しました」
と、淡々と語る彼女は、
私のような年齢の者から見るとまだ40歳になったばかりの若者だ。
これから長い人生のある彼女を孤立させてはいけない。
次の裁判は12月16日(火)大阪地裁:3時~、李信恵さんが意見陳述する。
傍聴が応援になるなら、私は行こうと思う。
抽選で外れるかも知れないけどそれでもいい。
↓十三の街の通り。韓国レストランもいくつもある。
暮れなずむ町にぜんぶが自然に溶けている。