毎日がちょっとぼうけん

日本に戻り、晴耕雨読の日々を綴ります

「我が爆走時代-日本アニメと私③」2014年12月22日(月)No.1060

2014-12-22 21:22:29 | 日本語

「ミニ四駆」…、聞くだけで懐かしい言葉。

1970年代~80年代にかけて日本の子どもたち、特に男の子たちが

夢中になったあの車のおもちゃだ。

なんと中国の山西省でも同じ現象が巻き起こっていたことを、

私は譚松さんの作文を読んで初めて知った。

流行のきっかけはやはり、その地域のテレビ局による日本アニメ放映だそうだ。

実は、近年中国では外国アニメの放映に関する規制が敷かれ、

ゴールデンタイムに外国アニメをテレビ放映することができなくなっている。

外国アニメといっても、そのほとんどは日本のアニメだそうだ。

「文化侵略からの自国文化の保護」という言葉も聞いた。

全く割り切れない、怒りに似た気持ちが湧く。

 

―――――――――「我が爆走時代」

江西財経大学3年(現4年)譚松

 

真っ暗な部屋に、たった一つ小さい電気スタンドが点き、聞こえるのは時計の音しかない。

その部屋で、一人の男の子がマシンを専念に改装し、トイレに行く暇もないほど没頭している。

そう、その男の子こそ、子どもの頃の私だった。

 

当時、私の住んでいた山西省では「爆走兄弟レッツ&ゴー!」という

ミニ四駆に関するアニメのシリーズ番組が、ロングランになっていた。

その放映とともに、私が住んでいる町にもミニ四駆ブームが巻き起こった。

一時、町のどこでもポケットにミニ四駆を詰め込んだ子供の「ミニ四駆レーサー」が闊歩し、

チームを組んで他のチームと競い合うシーンも少なくなかった。

 

もちろん、私も例外ではなく、夢中になって、

自分のマシンを解体したり、組み立てたりしていた。

あまりに何回も繰り返した結果、ある部品を一見して配置すべき場所が言い当てられ、

目を閉じたまま、解体されたマシンを組み立てることができるようになった。

普段の生活でもまるで専門家のように、味方のマシンのみならず、

ライバル達のマシンもしょっちゅう修理してあげて、友達がいっぱいできた。

 

「レースよりも大切なことがある。私は皆と走って、それが分かったんだ。

私たちは誰にも負けない自分だけのミニ四レースマシンを持っているんだ。」

と言ったのは、三国籐吉だ(初期は嫌味でお調子者だが、

烈や豪と打ち解けた後、サポート役をしっかり務めるようになったキャラだ)。

三国さんは、コースに飛び出した子供のミニ四駆を他のレーサーに踏みつぶされないように、

とっさに掴んで足を捻挫し、試合が続けられなくなった。

そのシーンは現在でも私の記憶にはっきり残っている。

 

小学校4年生から中学生に至るまで何年もの間、

私がずっとミニ四駆に惹き付けられていたのは、

恐らくその三国さんの言葉と重なるものを心の奥に抱いていたからだと思う。

各国、各地から初めて出会うレーサーとマシンが

同じレース会場に集まって勝敗を決める場面があった。

結果はもちろん重要だが、それはイベントの一部に過ぎない。

自分が知恵を絞って改装し上げたマシンと一緒に走れる楽しさ、

また、ライバル達のマシンがどんなに速くても、

自分のマシンは自分にとって誰にも負けない宝物だという純粋な愛と誇りが、

各レーサーの顔に満ちている。

ミニ四レースが勝敗を超えて楽しいのは、

そんな打ち込む者たちが交歓し合う場だからだろう。

 

そのアニメを見ていた時、中日の違いなど、私には関係なかった。

アニメ第二シリーズの国際試合で、中国チーム、欧米チームではなく、

日本チームの勝利を心から望んでいた私は、

主人公と一体になり、同じ心を持っていたのだ。

 

今、振り返って見ると、そのアニメと出会って本当によかった。

主人公の星馬兄弟「烈」と「豪」は、

私にミニ四駆(その時期の私の人生の全てだった)を贈ってくれただけではなく、

決して諦めず、ぐらつかない恒心と、いつでも前向きで努力する向上心を身を持って教えてくれた。

当時の私にとって、二人は決して架空の人物ではなく、ものごとの考え方、行動のお手本だった。

 

あっという間に大人になった私は、もうミニ四駆で夢中に遊ぶ年ではない。

しかし、その「ミニ四駆レーサー」生活で得た恒心と向上心は、

高校での果てしないく続くように思えた受験勉強や、大学入学試験など、

多くの困難を乗り越えさせてくれた。

これからも、ずっと私の人生を支えてくれると思う。

 

「風になりたい 走れ 僕の夢 决してあきらめずに ウィニングラン! 風を感じて 走れゴールまで 勝利の輝きをこの手に」

これからも、このテーマソングを耳にするたびに、いつも胸が騒ぐことだろう。

先日、ネットである言葉が目に留まった。

「人が心から惜しむのは時間が流れ去ることではなく、

流れ去って、もはや戻れない昔―あの時代なのだ」と。

「爆走兄弟レッツ&ゴー!」は私の子供時代。

あの戻れない時代……。

 

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする