今日は私のブログには似合わず、ちょっぴりロマンチックな内容の作文を紹介しよう。
この作文を書いた施芳芳さんは今月末の大学院受験に備え、
夏休みも故郷に帰らず、ずっと数人の受験生グループとともに勉強に励んできた。
今日もこんなメモが送られてきたばかり。
これ、全部暗記するのかあ・・・。
「試験には平常心で臨む」という彼女だが、
大学院受験を決めたのも、ひょっとしたらNARUTOの影響が少しあるかも知れない。
作文を改めて読んでそう感じた。
―――「アニメと出会い、違う世界に」
江西財経大学3年(現4年) 施芳芳
ここ数十年、日本のアニメが中国の若者たちの間で人気があることは知っていた。
しかし、私は大学に入るまでほとんどアニメを見たことがない。
それは、小学校の時、祖母にテレビを見る時間を厳しく制限されたためだ。
また、中学、高校では、ずっと寮に住んで勉強ばかりしていた。
大学生活が始まり、ルームメートたちが日本のアニメについて楽しそうに話すたびに、
会話に入っていけず、(私に青春時代はあったのだろうか)と自問したものだ。
しかし、日本語の勉強をきっかけに、私はとうとうアニメの世界の住人になった。
最初に見たのは『名探偵コナン』だ。
「真実はいつも一つ!」の口癖と、事件の真相を探っているときのコナン君はとてもかっこいい。
私の周りにアニメファンはたくさんいる。
ある先輩は『名探偵コナン』が大好きで、約700話の全てを見続けているそうだ。
先輩がコナンのよさを語った中に、毎回、日本の文化について、いろんな知識をもらえ、
大変勉強になるという理由があった。同感だ。
私が「八十八歳」は米寿だ、としっかり覚えたのも『コナン』のおかげなのだ。
別の先輩は『ナルト』ファンで、
「『ナルト』を見ていたら元気になるし、話の筋はとても奇抜だ。
危険や命を顧みず、仲間を守る。見れば見るほど心を癒すアニメなんだ。」
と、目を輝かせて語った。
実は、私の英語学科の彼氏も超『ナルト』好きだ。
いつも二人は『ナルト』の話で盛り上がる。
「『ナルト』は中国の『西遊記』や古代の神話や侠客物語に似ているよ。
たぶん、岸本斉史さんは中国の文化が好きなんだろう。」
「孫悟空もあるよね。面白いな。ところで、アニメの中の仲間関係どう思う?」
「『ナルト』では、忍者は実力によって三人チームを編成する。
人はそれぞれ長所と短所があるから、敵に対して、それぞれの長所を合理的に使うんだ。
修業するとき、仲間はライバルとして強め合い、友達として励まし合う。
仲間を救うためには、自分の潜在能力の全てを出し尽くすんだ。」
「誰にでも友達は大切だよね。ナルトたち、羨ましいな。
あ、そう言えば、あなたにはそんな人いるの?
その人のために努力して、努力して、強くなりたいっていう……。」
「もちろんいるよ。」
「誰だれ?教えて。」
「両親とか、弟とか…、君も。」
『君も。』と聞いた私は、嬉しくて泣きそうになった。(ナルトのお蔭だ!)
後日、私は物語全体の把握のため、第一話から辿ってみることにした。
見たら、さらに彼の心の奥の気持ちが分かり、私たちは一層親密になれた。
『ナルト』は、人としての価値観や世界観などを示す素晴らしい作品だ。
その上、しょっちゅうおしゃれな言葉が出てくる。
「人は己の知識や認識に縛られて、それを現実と思う。
しかし、知識や認識とは曖昧なものだ。実は、その現実は幻かもしれない。
人はみんな思い込みの中で生きている」。
確かに、この世界は広く、知らない事はたくさんある。
それなのに、私たちは自分の視界を全てだと信じてしまいがちだ。
真実を遠ざけ、勝手な思い込みをする危険性を常に私たちは持っている。
主人公のナルトは小さい頃、体の中に九尾がいるので、人に疎まれ、一人の友達もいなかった。
彼は自分の存在を認めてもらいたくて、度々悪いいたずらをした。
でも、友達ができてから、ナルトは前向きに生きるようになった。
村を守るリーダーを夢見て、仲間とともに戦う。
存在価値は誰でも欲しいんだ。
何の特権も持たないナルトには、努力と自信しか有するものがない。
『ナルト』に出会って、私の考え方も変わった。
世界はこんなに広い。
自分の小さい世界から出なければならない。
ちゃんと自分の目を見開いて、この世界を見よう。人生はただ一度きりだ。
努力と自信で自分を強めたい。
強くなれば、大切な人を守ることもできるだろう。
「人は大切な何かを守りたいと思った時に、本当に強くなれるものなんだ。」 (『ナルト』)
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