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40からのビルドゥングスロマン




夫がブラジル出張に本を携帯するのを忘れたそうである。

それでリオの街なかの大型書店に入り、英語の本を物色するものの、ビルドゥングスロマンのシリーズしかなく、仕方なく「未読」という条件の下で「ジェイン・エア」を手にしたらしい。

40がらみのおっさんが、15センチほどの青色の綺麗な表紙の「ジェイン・エア」を楽しんでいるのは、なかなかトンチンカンで愛すべき風景だ。150年後の世界に生きる中年男性を魅了してしまうとは、ジェインも清く正しく強く生きた甲斐がある。
夫はわたしに徹底的にからかわれながらも、次は「分別と多感」がいいでしょうか?と聞いてくる。

40をこえて何に目覚めてしまったんでしょう...これが世に言うミドルエイジクライシスというやつかもしれません。

あるいは、やっと乙女に感情移入できるだけの体力(読書力ではなく)を身につけたのかもしれない。読書の楽しみのひとつは、時間や空間、性別、価値観の異なる人物に二人羽織するようなものだと思うからだ。


年をとるのは楽しい。

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