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Brugge Style
holands licht

オランダ絵画、特に16世紀から17世紀にかけてのオランダ絵画に特徴的な光は、20世紀のエイセル湖の干拓により失われてしまった、とJ・ボイスは嘆いた。
(もっと正確には、「オランダの光は1979年に透明さを失った。永久に。エイセル湖の干拓によって。エイセル湖はオランダの目である。鏡のように光を反射し、光に独特の質を与える...」というような感じ)
オランダは実際にある種の「光」を失ってしまったのか。
この「光」は、現代人が産業社会の中で失った象徴的な光(つまり文化退廃)もだが、ドキュメンタリでは物理的な太陽の光を主に扱う。
500年前に大芸術家たちがオランダで見た光と現代われわれが見ている光は違っているのか。
オランダの光の成分は何なのか。
現代の芸術家、研究者、気象学者、欧州を旅するトラック運転手の視線や実験を含めて解明していく。
以下結論。
オランダの光の成分は拡散、反射、太陽の光の3つである。
水なくしてオランダの光なし。
しめった大気がものの輪郭線を和らげる。
気象学的にはひとつの湖が消えたくらいでは光は変化しない。また、芸術家は自分が観察するだけでなく前人が何を観察したかを見るので、エイセル湖消失以前の光は失われることはないだろう。
よかった! 現代のわれわれが見ている光と、500年前の光は同じ物なのだ! 少なくとも芸術家は光を解釈し再現して凡人にも見せてくれるのだ。
切り口が興味深いだけでなく、映像も成熟した、うっとりするような映画のようなドキュメンタリ(「オランダの光」で検索すると1と2ででてくるので、興味のある方はぜひごらんください。おすすめです)。
その芋づるで、藤田令伊著「フェルメール 静けさの謎を解く」という本を読んだのは収穫だった。
フェルメール、お好きですか?
わたしは大好き!
その話はまた明日。
(写真はナショナルギャラリーの2点のフェルメールのうちの1枚で『ヴァージナルの前に立つ女』。写真がまずくて申し訳ないです。「オランダの光」に対する冒涜ですな)
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