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Brugge Style
yundi@south bank
ブルージュは一旦お休みで今日は別のトピックを。
明日以降また続けて書くつもりです。
では、ツィマーマンのショパンを聴きながら。
ショパンのバラードを4つとも演奏するという宣伝を聞いて、ロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールへ。
娘が去年からバラードに取り組んでおり、今は4番を練習中なので勉強のためだ。
バラード4つともというリサイタル巡り合わせもあまりないし...
Yundiの名前はよく拝見するが、演奏にはわたしは馴染みがない。
会場は8割が中国人。
開演前からとても華やいだ雰囲気だった。
全体的にまるでギアチェンジが下手な人の運転する車に乗っているような演奏だった。
1番、遅い、遅過ぎる。
ペダリングが...下手な訳はないだろうし、ピアノのせい? うっ...
1番が大衆にもポピュラーであるゆえの、第2主題のあのハートをわしづかみにしてさらわれ、後半部分ではこの世をつかの間離れていたのかという感じにさせる...というような盛り上がりがなかった。
2番、突然の激昂の部分、もっと神の雷のようなコントラストが欲しかったです。「え? 最後そうやって終わらす?」という感じで余韻なし。彼のコーダのまとめ方があまり好みではない。
3番、娘曰く、何度も出てくる軽い冗談のような踊るようなメロディーが、「乗り遅れそうな電車に駆け込むような演奏」。
4番、最後のアルペジオの後、コーダ前の静寂部分で大拍手が始まり、あの4番の最後の最後の怒涛の部分が台無しに。拍手が始まって台無しになったのは演奏者のせいではないが、挫かれたのか...
ミスも多く、どちらかというと平凡で、音色も歌いも豊かさに欠ける演奏だったと思う。
わたしはド素人なので的外れなことを言っているかもしれないのはお許しいただくとして、聴衆の大部分は素人であるわけで、そういう人々にも「何か分からないけどものすごいものを聞いてしまった!」という感動を与えるのは必要だと思うのだ。Lang Langみたいな曲芸は必要じゃないですけどね...
思うに、最近国際コンクールで活躍めざましい若いアジア人は、18歳かそこらで出てきた時はものすごい完成度だが、その後成熟がついてこないのでは? と...違うかな...
後半はプレリュードのメドレー風に演奏で、まるで練習風景かウオーミングアップのようで、洗濯機が回るのを見ているかのような退屈さだった。
退屈といえば、4番演奏中、目立つ席で大あくび、「はあああああー」と声を上げた中国人女性がいて、そのマイペースさには参りました(笑)。
また、わたしたちに近い席の正装した若いカップルが、後ろの中年男性をかなり怒らせた。
曰く「ピアノを聴きに来ているんであって、おまえらのいちゃいちゃを見に来ているんじゃない!!!!」と。実際どんな無作法をしたのかわたしは気がつかなかったが、デートのBGMにするなということですね、それはものすごくわかります。
いろいろあったが、娘は彼女の偏愛するショパンへの気持ちがこれまで以上になり、また表現の難しさや可能性の多さを改めて確認し、闘志が燃えると言っている。
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