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Brugge Style
フェルメール展
オランダ旅行のもう一つの目的、Rijks Museum(アムステルダム国立美術館)『フェルメール展』へ。
21時半から23時まで、27枚の作品を心ゆくまで鑑賞できた。
アムステルダムのRijks Museum(アムステルダム国立美術館)で開催されている『フェルメール展』は、ここ最近では最もチケットが取りにくい展覧会だ。
会場時間も、会期も何回か延長になっている。それでも取れないと...
激混みでゆっくり鑑賞できないと...
フェルメールは、オランダの国力が当時の世界比でも最も高まった17世紀、いわゆる「オランダ黄金時代」に活動、しかし現在ではわずか35点の作品が残るばかり。
この35点は世界中の美術館に散らばっており、今回はそのうちの28点(4月以降は『真珠の耳飾りの少女』以外の27点)がアムステルダムに集まるというので、当初から注目を集めてきた(らしい。というのは、わたしは友達から「フェルメールのチケットが全く取れない!」という話を聞くまで知らなかったから...)。
日本の2022年のフェルメール展では8点、ロンドンの2013フェルメールと音楽展5点だったから、その規模の大きさは分かる。
わたしは1995年にワシントンDCで開催されたフェルメール展を現地で見た。35作品中、21点が展示された。
あの時は、たまたまだったのかもしれないが、会場は閑散としていたのを強烈に覚えている。
友達によると、数年前に制作されたスカーレット・ヨハンセン主演の『『真珠の耳飾りの少女』で飛躍的に有名になったのでは? と。
チケットが全く取れないという話だったが、わたしはタイミング良く、再販売になった時に取れた。
しかも、アクセスが集中していたのでクレジットカードの認証の画面が更新されず、買えなかったのではと勘違いして6枚も! この時ばかりは顔が青くなった...
美術館に電話したら「払い戻しはできない。チケットは欲しい人が山ほどいて、ネットでも取引されているからeBayに出品してみては」と堂々とおっしゃった。
ちなみにダフ屋行為は英国ではコモンローでは禁止されているそうです(<法律専門家の友達談)。
藤田令伊著「フェルメール 静けさの謎を解く」は、フェルメールの絵が「静謐」という印象を与えるのはなぜなのかを読み解いた優れた本だと思う。
この本とフェルメールに関しては何度も書いているので「また?」と思われる方もいるかもしれない...
特に、フェルメールが「静謐な」を描いたのは、絵画から意味を剥奪し、絵画のための絵画を目指したからなのではないかというくだりには鳥肌が立つ。
「(フェルメールは)現実の再現描写にとどまらない絵を探っていたことを物語っているように筆者には思われる。現実に依拠しない独立した世界としての絵画。何かを手本にしてそれを描くのではなく、絵画それ自体を描こうとした絵画」(4章)
意味がわからない絵は、永遠にオープン、つまり永遠に開放状態に、未決状態に、宙吊りに置かれている。だから、今も新たに意味が形成されつつ、生命が与えられつつある。
この絵の意味は? 解釈は? という問いに対して、一意的で最終的な「解」を与えることを拒み、与えてはならない、と言っているような感じがするのである。
フェルメールはどのように「静謐」を表現したのかについては、
青基調
少ない色数
少ない素材
穏やかな光、(これはオランダやベルギーではありふれた光だ)
現実感と日現実感の共存
フレーミングで省略される空間の削除
が、この本の中で挙げられている。
それにプラスして、外部から遮断された世界
一心不乱に作業に没頭している女
というのもあるかなと思う。
いずれにせよ、フェルメールはフェルメール「らしい」静かで、意味の削がれた絵を描くために、ものすごく計算して描いている...
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