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ドゥブロヴニクの薔薇水





クロアチア、ドゥブロヴニクにあるフランシス会修道院は13世紀に建築され始めたが、その後改築が重ねられ今に至る。

上部クロイスター(回廊)はルネサンス様式、下部はロマネスク・ゴシック様式で大変美しく、わたしは最初、ユーゴ内戦時に訪れ、その時の世の中の醸し出す印象とともに忘れられない。

旅行者によく知られているのは修道院内にあるマラ・ブラーチャ薬局である。
1317年に開業したこの薬局は、現在も営業している薬局の中では世界で3番目に古いと言われている。


クロアチアのお土産でいただいたマラ・ブラーチャ薬局の薔薇水、薬瓶なところが素敵。 
ラベルも美しく、ドレッサーに飾っていたのだが、最近、枕元に欠かせなくなった加湿器に加えて使っている。

いつかまたあの美しい街を訪れるのを夢見て。
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薔薇のアダージョ the sleeping beauty





昨夜、金曜日の夜は、今年ロイヤル・バレエの『眠れる森の美女』がYouTube放送された。

今年1月に収録されたもので、主役のオーロラ姫としては、当シーズン、オーロラ姫デヴューされた金子扶生さん。

わたしは当シーズンの『眠れる森の美女』だけで6回見に行ったものの、金子さんの回は観なかったため、このチャンスを心待ちにしていた。


日本人というくくりだけで親近感を感じることには何の根拠もないが、世界においては日本人バレエダンサーの活躍には目を見張るものがある。
そのほか、「日本人」が活躍しているジャンルとして簡単に思いつくのは料理界、特にパティシエで、昨今ではパリのいいレストランでは日本人の料理人が引く手数多、とても多い。
もうひとつ挙げるとすれば研究者。例えば新型コロナウイルス禍のTwitterの発言などで目立っている科学者の方々。

......


『眠れる森の美女』の話をしよう。

金子さんのオーロラ姫、ああ、美しかった!

日本人女性ダンサーは、舞台上で透明感があり、清潔で品のある人が多く、金子さんの生まれながらの姫ぶりはオーロラ姫役にぴったりだと思った。恵まれた姿形の全方向的な美しさ。特に腕の美しさよ。
オーロラ姫初々しさ、夢のシーンの優雅さと色香。
ポーズの美しさとバランスの強さ。

オーロラ姫、最初の登場からローズ・アダージョのシーンは、張り詰めた感じが大画面から伝わってき(こちらの収録はもともと生中継で世界に配信されたもので、彼女はLauren Cuthbertsonの代わりに大舞台に立ったのである!)、スタミナが続くのだろうかとこちらまでドキドキさせられた...

そんな状況で、ローズ・アダージョを踊る4人の求婚者・外国の王子、中でもイングランド王子役のGary Avisが、ひたすら彼女をリラックスさせ「お守りします」態勢で挑んでいたのが手に取るようにわかり、大変微笑ましく、感動させられた。

また、ローズ・アダージョが大いに盛り上がって大円団を迎えると、なんというのかな、いつもこのシーンを見るたびに感情の波が胸の底から押し寄せる(音楽と、世界の美しさと、練達し続けるひたむきな人間の美しさに)のだが、後ろで控えているオーロラ姫お友達役のメンバーもわたしと全く同じように感極まって(涙ぐんでいる?)いるのがわかり、最後まで心に残った。

舞台芸術は生で見てこそ、だと思うが、こういう点に気が付くことができ、大画面で見るのもいいものだ。


青い鳥のパ・ド・ドゥは久しぶりに良いものを見た。Yasmine Naghdi Matthew Ball。さすが。



一つ、プロダクションで文句をつけるとしたら、衣装がいまひとつなところに。

例えば大切な役、ライラック・フェアリーの衣装はエプロンをつけた人みたいで優雅さに欠ける。

そして「オーロラ姫は100年の眠りにつく」のだから、彼女が目を覚ました後の結婚式のシーンはモードも100年後になっていないとおかしいと思う...
服飾の時代考証が入ったらもっと面白みがあるのではないか。
例えばバロック期とロココ期にするとか。結婚式のシーンがロココだと映えるし。

王妃が100年後も同じ服を着ているのは完全に手抜きだと思う(笑)。


このブロードキャストは14日間保存されるのでぜひぜひ。
https://www.youtube.com/watch?v=J1ynQlyA7n4&feature=youtu.be
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イングランドで自給自足





新型コロナ禍の隔離生活も17週目になる。

早い時期にはスーパーマーケットでトイレットペーパーや冷凍食品、缶詰、掃除用洗剤などが不足した。
今もドライ・イーストは復活しておらず、強力粉やパスタなどは種類が少ない。

そこで、家庭で自給自足...という手段があるわけだが、わたしもその頃はじめました。

食用花(笑)。

その時に植えた食用花が6種類育ち、想像よりもずっとたくましく生茂るので驚いているほどだ。

今週、最初の花が咲いたときの喜びと言ったら!

こちらはコーンフラワー、矢車菊。
矢車菊といえば、ノヴァーリスの『青い花』に登場したことからロマンティシズムのシンボルになった。

ロマンティシズム、ここではないどこか他のところ、今ではない過去や未来、叶わぬ恋、去ってしまった人...常に届かぬ何かしらを追う。

青い花、透けるようで美しい。美人。






青が映えるように今日のデザートはパンナコッタにした。

ちなみに食べるのは花弁のみで、ピリッとしているため、25年もののバルサミコ酢がよく合った。

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薔薇コレクション





わたしにはずっとコレクション癖はない、と思っていた。

切手は小学生の時に卒業したし、ポーセリンをガラスケースに飾ることもしていない。

耽美的な服は実用品として扱っているので「コレクション」ではない。
「蒐集物とは、物が元々の機能を剥奪され、主体に関係づけられた物のことをいう」(Jean Baudrillard, The Cultures of Collecting)からだ。


昨日、「コレクションしている紙製品」を捨てられない話をしたが、問屋で買ったパラフィン紙でできている袋やライスペーパー、一筆箋、上質のカードなどの紙製品を、いつかは使うつもりで「取っておいてある」のは、正確には「コレクション」ではなく、「ブリコラージュ」(<いつか何かに使えるだろうと寄せ集めて取っておくこと)だと思っている。

他にも、
リボンや、美しい箱などの寄せ集めも、わたしの「ブリコラージュ」に入れられるだろう。

美術の写真本
フォルナセッティの飾り皿
カメオ

この中では飾り皿は確実にコレクションだ。皿としての機能は剥奪され、壁に飾ってある(そもそもそのように作ってある)から...


ところで、この新型コロナウイルス禍で、もともとなんとなく植生させていた薔薇を積極的に世話する悦楽に目覚め(夫が。わたしは鑑賞係)てしまった。

そのあまりの美しさに、花が枯れてからも捨てられず、どうにか保管したいという欲望が湧き、ついにドライフラワーにすることにした...
単なる薔薇モチーフ好きとは違う。
ドライフラワーにして、そしてどうするかなどどうでもいい。とにかく時間を止めでもして、この美しさを留めて残したい...そんな「コレクション癖」がついに目覚めたかも。



以下、「コレクション」とは何かについて、以前訳した The Cultures of Collectingから...

「実用的な物(例えば機械)には社会的な価値がある。逆に機能を剥奪され、特定の文脈に結びつかない純然たる物は主体的な価値を帯びる。と、それはコレクションされる宿命になる。その結果、物は『カーペット』であることを止め、『テーブル』であることを止め、『羅針盤』であることを止め、『こまごましたもの』であることを止め、『オブジェ』『ピース』に転ずるのだ」

「ひとたび物がその機能によって定義されることを止めると、物の存在意義は完全に主体側のものになる」

コレクションとは、物が本来備えている実用的な使い方をされず、主体側(例えばわたしや博物館)の都合によって、別の意味体系の中に組み込まれた状態であることを言う。こうして集められた物は別のシステムを形成する。このシステムこそが「コレクション」だ。

「こうして物はひとつのシステムをつくる。それを基礎として、主体は彼の世界を継ぎ合わせ、小宇宙を作り上げるのだ」


つくづく、ものというものはそれ自体で存在するわけではなく、関係性の結び目として存在する由が分かって面白い。

わたしは薔薇の小宇宙を作るのだ(笑)。



John Elsner, with Roger Cardinal, The Cultures of Collecting, Harvard University Press, 1994. 訳はモエ
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夜中のパン屋さんごっこ






頼まれごとで食べやすいサイズのパンを焼いた。

チョコレートとベーコン・エッグマヨの2種類。

朝、4時の必要に間に合わせるために、できるだけ新鮮にと思い、23時から焼き始めた。

実はあれから夫がホームベーカリーを買ったので、こねるのはずいぶん楽になったが、時間がかかるのは短縮できない。


ど素人なりにおいしそうに焼けたことよりも、わたしがウキウキしたのは、この耐油紙の、ぴったりかわいいサイズの袋が、わたしの大量の紙コレクションのなかにあったことだ。
写真では見えないが、中身が分かるようスタンプも押してある。

ビニールが主流になる以前の、昔から使われているこういう紙製品、パラフィン紙やグラシン紙、大好き。

そしてスタンプも。


ベルギー・ブルージュの街外れに、プロ向けの道具を揃えている店がいくつかあり(チョコレート屋さんの使う箱や袋なども買える)、そのうちの2件で買ったり...娘が小さい頃は、学校にしょっちゅうお菓子を持って行ったり、お友達が遊びに来ていたので重宝した。

紙のアイスクリームカップや、フリッツ(フライドポテト)を入れる三角コーンなんか今後どうするんでしょうか。でもかわいいの。捨てられない。


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