防衛局は、2018年、北部訓練場でヘリパッド工事を強行するために県内外から1000名もの機動隊を動員した。凄まじい暴力と弾圧のもと、ゲート前の座込みテントや車両が強制撤去され、多くのけが人も出た。
私たちはこの問題をとことん追求するため、県外の機動隊員の車両の燃料費を県が負担したことを問題として、住民監査請求から住民訴訟に取りくんできた。提訴から4年半、今日(8月20日・金)、那覇地裁で判決が言い渡された。
予想通り、「原告らの請求をいずれも棄却する」という敗訴判決だったが、裁判長は判決の主文だけを読み上げて退出するのではなく、時間をかけて判決要旨を読み上げたた。
被告の主張をそのままコピペしたような判決だったが、その問題点については後日、まとめたい。ここでは、裁判長の判決要旨の読みあげの後、私が原告席で裁判長に質問し、裁判長がそれに答えるというやりとりがあったので、その点だけを説明する。
(判決後の報告集会)
この住民訴訟での私たちの主張の一つは、機動隊員らによる違法弾圧、暴力行為等を数多く指摘し、このような違法な警察活動のための支出は認められないというものであった。特に防衛局がゲート前の座込みテントを撤去したことは違法であり、機動隊がそれを手助けしたしたことを問題にした(この点については、東京地裁の判決でも「(テントの)撤去行為の適法性については、看過し難い疑問が残る」と指摘されている)。
ところが今日の判決ではこの点について、「仮に各都府県の警察職員の警察活動により、一部の抗議参加者が怪我をするなどの事態が発生したとしても、そのような警察活動が個別に違法と評価され、国家賠償法等に基づく損害賠償等の対象とされ得ることは格別、そのような事後的な事情から、--- 本件援助要求が遡って違法であったことになるとも解されない」と切り捨ててしまった。「問題があるというのなら、国賠訴訟をせよ」というのだ。
判決要旨の読上げの後、私はたまらず、原告席から裁判長に、「テントの違法撤去の問題に全く触れていないのは何故ですか?」と質問した。普通なら裁判長は無視して席を立つのだが、私の質問に対して「読上げたのは判決要旨ですから、後で判決文を見てください」と答えた。
ところが前述のように、後で入手した判決文には、テントの違法撤去については、「防衛局がテント等を撤去した」と事実認定しているだけで、その法的問題については全く触れていないのだ。判決要旨だからテント撤去の違法性についての説明がなかったのではない。
他にもあまりに疑問の多い判決内容だった。判決後、原告団・弁護団で会議を持ち、控訴してさらに闘うことを決定した。今後もご支援をお願いしたい。