6 昨日(6日・水)、大浦湾の軟弱地盤問題についてさらに大変な事実が判明した。
今まで軟弱地盤の深さは、水面下30mの海底に厚さ40mで、水面下70mと言われてきた。この深さでも地盤改良工事の限界に近い難工事だが、実際には水面下30mの海底に厚さ60mで、水面下90mの深さになることが明かになったのだ。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-872176.html
これは、沖縄防衛局長が埋立承認撤回に対する行政不服審査請求の審査のために提出した報告書(『地盤に係る設計・施工の検討結果 報告書』2019年1月)で明かになった。追加の音波探査やボーリング調査の結果、ケーソン護岸(C-1)部分には水面下90mの深さまで軟弱地盤が続いているというのである。
問題は護岸・岸壁の基礎部分だけではない。埋立区域内でも、何カ所かで水面下80~85m程度まで軟弱地盤が存在することが示されている。
そのためこの報告書では、護岸・岸壁の基礎部分で17haものサンドコンパクションパイル工法による地盤改良。埋立区域部でも40haのサンドドレーン工法による地盤改良を行なうという。合計57haというから大浦湾側の埋立区域の約半分で地盤改良工事が必要となった。
今日の琉球新報は、鎌尾日大准教授(地盤工学)の次のような談話を載せている。
「水深90mにも及ぶ軟弱地盤を改良する工事は聞いたことがない。そもそも当初言われていた70mの地盤改良工事の事例も聞いたことがなかった。90mとなると、工事の難度も非常に高くなり、地盤改良が可能かどうかを想像することもできない。そもそも国内には最大で70m程度に対応する作業船しかない。70mまでの地盤改良が限界だ。」
沖縄防衛局の上記報告書にも、国内のサンドコンパクション・サンドドレーンの作業船一覧が掲載されている。それによるとサンドコンパクション工法の作業船は国内に16隻あるが、うち2隻が最大打込深度70mほどとされているだけで、ほとんどは50mほどまでしか改良できない。また、サンドドレーン工法の作業船は8隻あるが打設深さは50~60mとされている。
鎌尾准教授がいうように、護岸部で90m、埋立部で80mというような地盤改良工事を施工できる船は国内にはなく、工事は不可能である。
安倍首相は1月30日の衆議院本会議で、「一般的で施工実績が豊富な工法により地盤改良工事を行なうことにより、護岸や埋立部等の工事を所要の安定性を確保して行なうことが可能であることが確認された」と答弁した。しかし、このような深い地盤改良工事は、「一般的で施工実績が豊富」どころか、「改良工事の例はない」のである。
2月2日の東京新聞も、羽田空港の拡張工事で地盤改良の検討に関わった田中洋行北海道大学名誉教授の談話を載せている。「難工事だった羽田空港の地盤改良工事でも改良の深さは海面から40m前後だった。深さ70mまで杭を打つ改良工事は私は聞いたことがない」と言われているが、実は70mどころではなく90mだったのだから、田中名誉教授も驚かれるだろう。
防衛局は工事の容易な辺野古側での埋立を強行しているが、肝心の大浦湾側の工事はもう不可能だということがますます明かになってきた。