昨日、防衛局から開示された文書で判明した事実を報告したい。
防衛局は昨年11月から3月にかけて8件の埋立本体工事契約を本土の大手ゼネコン等と締結した。実施設計も完了しておらず、すぐに着工できる目処も全くたっていないにもかかかわらず契約を締結することなど、通常、あり得ない。「本体工事の契約を締結した、もう反対しても手遅れだ」と県民が諦めることを狙っているのだ。
私は、沖縄防衛局に対して、これらの工事契約に関して防衛局が各業者に支払った前払金額について公文書公開請求を行ったところ、昨日、その文書が開示された。
公共土木工事では、通常、契約後、業者からの請求があれば請負額の3~4割の範囲で前払金が支払われる。この前払金は、工事の材料費や労務費等以外の支払いに充当してはならないと契約書に明記されている。実施設計もまだ出来ておらず、何時、着工できる目処もたっていないのだから、そもそも材料費や労務費が発生する余地はなく、前払金の支払いそのものがおかしい。
今回の8件の工事契約では、各会計年度出来高予想額の40%以内の前払金を支払うとされている。全ての工事は、契約を締結した初年度(26年度)の出来高予定額はゼロであるにもかかわらず、「初年度には第2年度分も含めて前金払を行う」とされているため、各業者に総額41億円もの巨額の前払金が支払われているのだ。
(前払金の支出負担行為書。中仕切岸壁新設工事では14.5億円もの前払金が支払われた)
以前、国は、知事が埋立承認を取消して工事ができなくなった場合、損害賠償を求めると強調していた(サンケイ新聞 2015.3.27)。今回の前払金の支払いも、すでにこんなに払っているのだから、中止になれば損害賠償請求をするよという脅しだろう。
*********
8件の本体工事契約の契約額、受注業者、前払金等は下記のとおりである。
|
工期 |
受注者 |
契約金額 (変更契約額) |
前払金 |
中仕切護岸新設工事 (1工区) |
H26.11.25契約~H29.3.31 |
仲本工業 |
2.9億万円 |
H27.2.19 2,340万円 |
中仕切護岸新設工事(2工区) |
H26.11.25契約~H29.3.31 |
仲程土建 |
3.7億円 |
H27.2.26 2,990万円 |
中仕切岸壁新設工事 |
H27.2.10契約~H29.3.31 第1回変更契約 H27.3.20
|
大成建設/若築建設/国場組 |
157.6億円 ⇒235.8億円
|
H27.3.25 14億5,832万円 |
二重締切護岸新設工事 |
H27.2.10契約~H29.3.31 第1回変更契約 H27.3.30 |
前田建設工業/大本組/太名嘉組 |
79.6億円 ⇒93.6億円 |
H27.3.27 6億7824万円 |
ケーソン新設工事 (1工区) |
H27.1.27契約~H29.9.30 第1回変更契約 H27.3.30 |
五洋建設/清水建設/みらい建設工業 |
141.5億円 ⇒207.1億円 |
H27.3.23 11億3,790万円 |
ケーソン新設工事 (2工区) |
H27.2.25契約~H29.9.30 第1回変更契約 H27.3.25 |
東亜建設工業/本間組/大城組 |
18.4億円 ⇒25.4億円 |
H27.3.27 1億6,151万円 H27.3.27 6,972万円 |
傾斜堤護岸新設工事 |
H27.3.5 契約~H29.3.31 |
東洋建設/株木建設/丸政工務店 |
9.8億円
|
H27.3.27 9,208万円 |
汚濁防止膜等工事 |
H27.3.5契約~H28.3.31 第1回変更契約 H27.3.25 |
大成建設/東洋建設 |
8.4億円 ⇒12.5億円 |
H27.3.27 3億3,780万円 H27.3.30 1億6,390万円 |