7月29日（水）、朝から嘉手納の沖縄防衛局に行き、辺野古新基地建設事業に関するいくつかの文書の開示を受けた。（興味深い文書が開示されたが、今日は触れなければならないことが多いので、その内容については明日、報告する。）
開示を終え防衛局を出ようとすると、報道陣が大勢集まってきている。何事かと聞くと、翁長知事が記者会見で、24日に防衛局が提出した実施設計の「事前協議書」の取下げを要請し、県の担当者がその文書を防衛局に持ってくるという。翁長知事は、「全体の詳細設計が終了した時点で事前協議を行なうべき。今回の事前協議書を取り下げて、ボーリング調査が終了し、全体の詳細設計が終了した後に改めて全体にかかる協議書を提出するよう求めることとした。」と表明したようだ（OTVニュースより）
(2015.7.29 OTVニュースより）
防衛局は、24日に事前協議書を持ち込んだ際、「8月14日を期限に県からの質問を受け付ける」と一方的に指定し、「協議が不調に終わった場合は、埋立本体工事に着手する」と言い切っている。今回、知事は「取下げ要請への防衛局の回答は８月10日まで」としたようだが、菅官房長官は早くも「協議を取り下げる考えはない。協議で県側の合意が得られない場合でも着工可能」と言明した（2015.7.29 沖縄タイムスWEB版）。知事も国の対応は予想していたはずだが、次の一手をどのように考えているのだろうか。
こうした強引な政府・防衛局に対抗するためには、知事は埋立承認の取消を急がなければならない。先日、知事は、第３者委員会の報告書を精査をしてから「取消しを含む効果的な方法を検討する」と表明した。あいまいな姿勢が気になるが、たとえ取消しに踏み切っても９月中旬になってしまう。遅くとも、防衛局が協議打切りの期限としている８月14日までに埋立承認の取消しに踏み切るべきだ。
また、知事は、第３者委員会の報告書と議事録を今日の午後、県のホームページで公開した（県の新基地建設問題対策課のホームページ参照）。精査が終わるまで公開しないと言っていたのだが、この点については評価したい。
（連日続いている防衛局の潜水調査（7月28日撮影））
さらに今日の新聞では、防衛局がコンクリートブロックを岩礁破砕許可区域外に投下したことについて、国と米軍が県の臨時制限区域内の立入調査を認める方向だという報道があった。今年２月以来、もう５ケ月以上も許可が降りなかったのだが、拒否方針を転換したという。
台風が通り過ぎた後、防衛局は海上ボーリング調査を急ぐのではなく、フロート付近での潜水調査を続けている。今日（29日）も、カヌー隊からの報告では、あちこちで防衛局のダイバーが潜っているという。当初は、台風の被害が大きかったためチェーン等を補修しているのかと思ったが、どうも県の立入調査が必至とみて、コンクリートブロックがサンゴ礁を破壊しているところに手を入れているのではないかと思われる。さすがに政府も高まる批判に抗しきれなくなったようだ。それでも、投下から５ケ月以上が経過したため、もう破壊したサンゴ礁が取り除かれた可能性もある。県幹部も「日米両政府が証拠を隠滅したと疑われても仕方がない」と不信感を持っているという（2015.7.29 沖縄タイムス）。
県民会議は、この問題について、許可条件違反だから岩礁破砕許可を取り消すべきだという前に、そもそも当時の岩礁破砕許可申請が杜撰なものだったにもかかわらず、県がそれをチェックしないまま許可してしまった、すなわち、許可の過程に瑕疵があったので、岩礁破砕許可を取消すべきだと要求している。立入調査でサンゴ礁の破壊が確認できなかったとして黙認するのではなく、県の毅然とした対応を求めたい。
それでも、臨時制限区域内での県の調査が始まれば、防衛局は、その間、海上ボーリング調査に着手できない。
第３者委員会の報告書、防衛局による「事前協議書」の提出、そして臨時制限区域内での県の立入調査の容認---事態は大きく動き始めた。繰り返すが、翁長知事が一刻も早く、埋立承認の取消しに踏み切ることを要請したい。
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