(今朝の琉球新報が大きく報じたので大至急掲載する。)
12月25日に開催された辺野古の第3回技術検討会ではさらに重要な問題に触れている。埋立土砂の調達方法である。
防衛局の当初の計画では埋立土砂の総量は2,062万㎥で、そのうち1,644万㎥が岩ズリ(購入土)とされていた。この岩ズリの約7割ほどは西日本各地から搬入する予定だった(防衛局が埋立承認願書に添付した図書では、6県7地区で採取するとされている)。
ところが第3回技術検討会の「主な検討内容」の資料では、下のように、「岩ズリの必要量:445万㎥/年」に対して「調達可能量(県内):492万㎥/年」とされており、さらに「必要量を県内から調達することが可能」と明記されている。検討会終了後の記者レクでも防衛局幹部はこの点について強調している。断定はしていないが、これは明らかに、埋立土砂のほとんどは県内で調達するという意味であろう。
(第3回技術検討委員会 「主な検討内容」P8)
防衛局が以前に行った「シュワブ(H25)資材調達検討業務」でも、本部町の採石場の岩ズリストック量は550万㎥と報告されている。すなわち、現在土砂が搬出されている本部の琉球セメント安和鉱山からの土砂だけで辺野古の埋立は可能だということとなる。
<何故、ほとんど県内調達に切り替えたのか?>
理由1.特定外来生物の侵入を阻止するための土砂条例の適用を避けるため
沖縄県では県外からの埋立土砂搬入に際しては、特定外来生物の侵入を阻止するための土砂条例が制定されている。手続きがあまりに煩わしく、知事が搬入中止を勧告すればその採石場からの土砂持込ができなくなる。防衛局としては、県外からの土砂搬入はあまりにリスクが大きいため、できるだけ県内の採石場から調達しようとしているのであろう。
理由2.岩ズリ単価がとてつもない高額のため、県内の業者が利権のために県内調達を求めている
もう一つの理由は岩ズリをめぐる利権の問題である。私は、11月17日のブログで次のように指摘した(一部加筆)。
「辺野古埋立のための土砂は、7割ほどが西日本各地から搬入されると言われている。しかし、この間の動きをみると、あるいはほとんどが本部・名護の鉱山(砕石場)から持ち込まれる可能性も出てきている。
県外からの土砂搬入には、特定外来生物の侵入を阻止するために土砂条例の規制がある。90日前までの届や、県の現地調査、特定外来生物の駆除策など、手間暇のかかることが多い。さらに、現在の琉球セメント安和鉱山から持ち込まれている岩ズリ(土砂)の単価は、普通は二束三文なのだが、今回は5,370円/㎥というとんでもない高額が払われている。この価格は防衛局が、3年前に防衛局が辺野古新基地事業で発注した単価(1,870円/㎥)の3倍近い。
琉球セメントは、こんなぼろ儲けができる利権を簡単に手放すとは思えない。(埋立のための岩ズリ総量は1644万㎥。上の単価を掛けると、なんと883億円にもなる。) 琉球セメントが防衛局に対して、琉球セメント安和鉱山からの土砂をもっと大量に購入するよう防衛局に要請を強める可能性がある。防衛局は辺野古への土砂海上搬送で琉球セメント安和桟橋を利用したりして、同社との結びつきはきわめて強い。
琉球セメント安和鉱山の石灰石の埋蔵量は7億トンという。岩ズリは山を崩した表土などの土砂や岩屑なので、その埋蔵量はさらに増える。実際、土砂条例が制定された際の沖縄県議会の特別委員会で、自民党の照屋守之県議は、「那覇空港も辺野古も、量はかなりあるにしても、埋立の土砂や石材も含めて沖縄県内で調達できると思っています。また、できるという事業者もいます。」(2015.7.7 委員会議事録より)と述べている。
あの名護から本部にかけての広大な採石場(鉱山)が、辺野古埋立用の土砂採取のためにさらに切り崩されるおそれが強いのだ。」
この時の危惧が、まさに現実のものになろうとしている。
琉球新報は「全て県内調達」と報じたば、埋立土砂が完全に県内のみから調達されるかどうかは未だ分からない。県内からの調達だけでは輸送ルートが集中するため、少なくとも沖縄から近い奄美大島や徳之島などからの搬入は実施される可能性が高いものと思われる。