チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

辺野古・代執行訴訟で敗訴すれば、すぐにも大浦湾での地盤改良工事が始まってしまう! しかし、まだまだ闘える --- 知事は埋立承認の再撤回を!

2023年11月13日 | 沖縄日記・辺野古

 沖縄県が辺野古・設計変更申請の不承認処分に対する国土交通大臣の「是正の指示」の取消しを求めた訴訟で、最高裁は本年9月4日、県の主張を退けた。しかし、この最高裁判決は、県が不承認理由とした軟弱地盤の調査不足や環境への影響等、公有水面埋立法の承認要件について判断せず、国土交通大臣の「裁決の拘束力」だけを理由としたもので全く納得できない。

 知事はこの最高裁判決後も、多くの県民の声に応え、設計変更申請を承認しなかった。そのため国は、10月5日、設計変更申請を知事に代わって代執行するための訴訟を提起した。地方自治法の代執行の要件は、①法令や大臣の処分に違反する、②他の方法による是正は困難、③著しく公益を害することが明か、とされていますが、今回の国の代執行訴訟提起は、これらのいずれにも該当しない。

 しかし10月30日の代執行訴訟第1回口頭弁論では、これらの3要件について具体的な審理に入るのではなく、国の要望通り即日結審となってしまった。このままでは県に厳しい判決が出される見通しと報じられている。

 判決日は「追って指定」とされたが、年内にも県敗訴の判決が出され、国土交通大臣が知事に代わって設計変更申請を承認することが予想される。防衛局はすでに大浦湾での地盤改良工事や護岸工事、海上ヤード工事等の入札を公告している(11月22日開札予定)。代執行後、すぐに工事が始まり、大浦湾の貴重な環境は致命的に破壊されてしまうだろう。

 辺野古新基地建設反対運動は、いよいよ最大の正念場に迎えている。5日のブログにも書いたが、「代執行を許さない! 頑張ろう!」と唱えるだけではこの状況を打破できない。具体的な行動提起が必要である。

 そのために、知事に対して、埋立承認の再撤回に踏み切るよう要請したい。 

 埋立承認後の事情の変化により、その効力を持続するのが適当でないと判断された場合、埋立承認を撤回することができる(2018年8月、翁長知事が亡くなった直後、謝花副知事が埋立承認を撤回したので、今回は再撤回となる。また、2019年当時、県は、埋立土砂の性状問題やK9護岸からの土砂陸揚等を理由として、埋立承認の再撤回を検討したことがある(2019.1.17 琉球新報等)

 徳田博人琉球大学教授は、撤回には、①「要件事実消滅型撤回」(承認後、環境保全や災害防止等の承認の要件が満たされなくなった場合)、②「制裁型撤回」(承認の際の留意事項を遵守していない場合)、③「公益・政策変更型撤回」(県民投票等の民意に基づく場合)の3類型があるとされている。

 この基準によれば、今回は、下記の問題が埋立承認の再撤回理由となるだろう。

① 辺野古新基地の耐震設計は中小地震を対象とした「レベル1」で設計されている。しかし、2022年3月、政府の地震調査委員会が「南西諸島でM8級の巨大地震のおそれ」という長期評価を公表したため、「レベル2」での耐震設計に見直すことが必要となっている。

 また、県の「津波浸水想定」(2015.3)では、津波の最大遡上高が、辺野古崎で11.7mと想定されており(辺野古新基地の外周護岸の標高は8.1m)、津波の際に新基地は全て破壊されてしまう。

② 防衛局は、設計変更申請の耐震設計は、2018年に改正された新版の『港湾施設基準』に準拠したと説明したが、実際には2007年の旧基準を使用していることが明かになった(2023.10.1 赤旗日曜版)。新基準に基づいて設計すれば最大加速度が約1.5倍となり、護岸の安定性が確保できないおそれがあるために旧基準を使ったと思われる。

③ 防衛局は、2007年の土質調査報告書(『シュワブ(H18)地層調査報告書』)で、「軟弱な沖積層が広く、厚く分布している。追加のボーリング調査が必要」とされていたにもかかわらず、埋立承認申請では、その事実を隠蔽し、「N値11の砂層。軟弱な粘性土層は確認されていない」としていたことが2023年11月、共同通信の情報公開請求で明らかになった(2023.11.2 琉球新報、沖縄タイムス等)。埋立承認申請の際にこうした軟弱地盤の存在を明らかにしておれば、当時の仲井眞知事の埋立承認はなかったはずである。

④「陸域及び海域の30%以上を保護地域にする」という、「生物多様性国家戦略2023-2030」(2023.3.31 閣議決定)」に反していること。

⑤ 陸上自衛隊と米海兵隊が辺野古新基地に陸上自衛隊の離島防衛部隊「水陸機動団」を常駐させる等、共同使用することで合意していることが明かになった(2021.1.25 沖縄タイムス)。また、米海兵隊も、南西諸島の島々を数十人からの小規模に分かれた部隊で転々とするEABO(遠征前方基地作戦)構想等で再編される。辺野古新基地のような大きな基地が、ミサイルの時代に有効に機能するのかどうか等の再検討が必要である。

 なお、本年11月6日には、在沖米軍幹部が、「軍事的に言えば、普天間から辺野古に移った場合は機能が低下する」、「辺野古が完成した後も普天間の維持を希望する」と発言している(2023.11.8 沖縄タイムス)。普天間飛行場の改修・強化工事も続いており、辺野古新基地が完成しても普天間飛行場が返還されないおそれがある。

 

 夏以降、沖縄平和市民連絡会ら県内16団体は、知事に対して、「設計変更申請の別理由による再度の不承認、又は埋立承認の再撤回」を求めてきた。しかし、代執行訴訟も結審し、まもなく判決が出されて、国交大臣が設計変更申請を知事に代わって承認しようとしている。今までは、設計変更申請が未だ承認されておらず、防衛局が申請をしている状態に戻っているので、再度の不承認も求めてきた。しかし残念なことに、知事は再度の不承認には踏み切らなかった。設計変更申請が代執行で承認されてしまえば、「再度の不承認」を求めるということにはならないだろう。今後は、「埋立承認の再撤回」に絞って知事に要請していきたい。

 

 

 

 

 

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