昨日(11月7日・火)は、午前中、開発が始まった「魂魄の塔」横の熊野鉱山の問題について、糸満市議2名に同席してもらい、糸満市農業委員会への申入れを行った。糸満市農業委員会は事務局長ら2名が対応してくれた。
熊野鉱山の開発届出範囲内には、2筆の農地(地番1485、1481-2)が残っている。これはコーラルファームという法人の所有地で、地目は「畑」である。コーラルファームは農業を行うためとして農地法第3条で取得したので、農地以外の使用はできない。
この農地については、2021年当時から糸満市議会でも営農活動をさせるようにと問題となってきた。業者は、「2021年4月から、客土を入れてヨモギを作付けする。客土もすでに準備している」(2021年3月11日 糸満市議会定例会議事録)と約束してきた。しかし、それから2年以上になるが今も営農活動はされていない。
現在、熊野鉱山敷地内は重機で大規模に改変されている。中には入れないので、この農地部分が整地されてしまったかどうかは確認できない。その点について、農業委員会の認識を尋ねた。
糸満市農業委員会は、「今日の午前中、現地に行った。業者は、『農地部分には重機を入れていない』と言っている」と説明したが、「農地の筆界が明示されていたのか?」と聞くと、「それはなかった」ということだった。
私たちは、「現状では農地部分が改変されてしまったかどうか確認できないので、農地の筆界に標識を立てさせること」、また、「速やかに営農活動を始めるよう指導すること」を求めた。
特に1485の農地は、掘削区域に食い込んでおり、ここで営農活動が強いられれば、鉱山の開発は大きく制約される。掘削はされなくても作業道路や資材置き場等、農地以外の目的のために使用されるおそれがある。糸満市農業委員会は厳格に監視しなければならない。
終了後、熊野鉱山前で、南部の監視グループの集会があるというので参加した。久しぶりの熊野鉱山だが、削岩機の音がけたたましく、重機による掘削がずいぶん進んでいる光景に驚いた。
2022年6月、県は前年に出した自然公園法の措置命令(事前の遺骨調査や県との協議を義務付けた)を取下げ、業者と、「工事の際に遺骨が発見されたときは、事業者は、その周辺半径5mの範囲で工事を2週間中止し、県(遺骨収集情報センター)による調査及び遺骨の収集を認める」ことで合意してしまった。しかし、現場には、重機のオペレーター以外に監視員も配置されていない。こんな荒っぽい掘削で、細かく砕けた戦没者の遺骨が見つかるはずはない。