今日(11月17日)、県内15団体が知事に辺野古埋立承認の再撤回を要請 --- 代執行訴訟で敗訴しても、あくまでも「辺野古」を阻止するための具体的な行動を!/// 夕刻は「パレスチナに平和を!」の集会
今日(11月17日・金)は、県内15団体が知事宛の、辺野古・埋立承認の再撤回を求める要請書を提出し、土建部統括監らと意見交換した。
今のままでは、代執行訴訟も県に厳しい判決が予想され、年内にも国土交通大臣が設計変更申請を知事に代わって承認してしまう可能性が高い。防衛局は既に大浦湾での工事を入札にかけており、今月22日には開札されて業者が決まる。代執行されるとすぐに、大浦湾での工事が始まってしまう。
県はその場合、どうするのか? なす術もなく防衛局の工事をただ見守るのではなく、あくまでも辺野古新基地建設を阻止するためにあらゆる方策を講じなければならない。
その最大の手段が埋立承認の再撤回である。そのために、翁長知事が埋立承認を取消した際のように、有識者による第3者委員会を設置するよう申し入れた。
統括監は、「再撤回については、どういうことが考えられるか、今後、精査していきたい」と回答し、「皆さんの要望は知事にあげます」と約束した。
なお、今日は、辺野古側への土砂投入が完了しているにもかかわらず、防衛局が虚偽の説明をしている問題について、本部町島ぐるみ会議からの質問・要請書も提出した。来週前半に、改めて三役との面談を求めている。
この問題については後日、詳細を説明する。
県への申入れ後、記者会見で説明。夕刻は、県庁前広場で「パレスチナに平和を!」緊急集会に参加した。
(土建部統括監、海岸防災課長、港湾課長らへの申入れ)
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<以下、要請書全文>
沖縄県知事 玉城デニー様 2023年11月17日
辺野古・埋立承認の再撤回に向けて有識者による第3者委員会の設置を求める要請
沖縄平和市民連絡会、沖縄環境ネットワーク、ジュゴン保護キャンペーンセンター、ガマフヤー支援者の会、PFAS汚染から市民の生命を守る連絡会、Okinawa Environmental Justice Project、反戦地主会、一坪反戦地主会、奥間川流域保護基金、ヘリ基地反対協ダイビングチーム・レインボー、嘉手納ピースアクション、本部町島ぐるみ会議、うるま市島ぐるみ会議、島ぐるみ会議・南風原、ミサイル配備から命を守るうるま市民の会
代執行訴訟への対応等、辺野古新基地建設にあくまでも反対するという知事の姿勢に敬意を表します。
沖縄県が辺野古・設計変更申請の不承認処分に対する国土交通大臣の「是正の指示」の取消しを求めた訴訟で、最高裁は本年9月4日、県の主張を退けました。しかし、この最高裁判決は、県が不承認理由とした軟弱地盤の調査不足や環境への影響等、公有水面埋立法の承認要件について判断せず、国土交通大臣の「裁決の拘束力」だけを理由としたもので全く納得できません。
知事はこの最高裁判決後も、多くの県民の声に応え、設計変更申請を承認されませんでした。そのため国は、10月5日、設計変更申請を知事に代わって代執行するための訴訟を提起しました。地方自治法の代執行の要件は、①法令や大臣の処分に違反する、②他の方法による是正は困難、③著しく公益を害することが明か、とされていますが、今回の国の代執行訴訟提起は、これらのいずれにも該当しません。
しかし10月30日の代執行訴訟第1回口頭弁論では、これらの3要件について具体的な審理に入るのではなく、国の要望通り即日結審となってしまいました。このままでは県に厳しい判決が出される見通しと報じられています。
判決日は「追って指定」とされましたが、年内にも県敗訴の判決が出され、国土交通大臣が知事に代わって設計変更申請を承認することが予想されます。防衛局はすでに大浦湾での地盤改良工事や護岸工事、海上ヤード工事等の入札を公告しています(11月22日開札予定)。代執行されれば、すぐに工事が始まり、大浦湾の貴重な環境は致命的に破壊されてしまうでしょう。辺野古新基地建設反対運動は、いよいよ最大の正念場に入ろうとしています。
このような状況の中、知事と県民が一体となって、あくまでも辺野古新基地建設を阻止するために、別紙のとおり要請します。
<別紙>
要請事項
1.辺野古・代執行訴訟で県が敗訴した場合、国土相臣が変更申請を代執行し、大浦湾での工事が始まってしまいます。あくまでも辺野古新基地建設を阻止するために、新たな方策を探る必要があります。
埋立承認後の事情の変化等によりその効力を持続するのが適当でないと判断された場合、知事は埋立承認を撤回(県は、2018年8月に撤回しているので、今回は「再撤回」となる)することができます[1]。
今回の場合、埋立承認再撤回の事由となる「埋立承認後の事情の変化」としては、埋立承認申請にあたって軟弱地盤の地質調査結果を隠蔽したこと[2]、政府の地震調査委員会が南西諸島周辺でM8級の巨大地震発生のおそれという長期評価を発表したこと[3]、旧「港湾施設基準」使用等の耐震設計問題[4]、「生物多様性国家戦略2023-2030」[5]の閣議決定に反すること、自衛隊との共同使用や、米海兵隊の再編構想等、辺野古新基地の位置づけの変化等の問題[6]があります。
また、3回の知事選や県民投票で示された県民の民意も、当然、埋立承認再撤回の事由となります。
私たちは、知事がこれらの理由により、埋立承認を再撤回されるよう要請します。
2.こうした埋立承認再撤回の事由を検討するために、2015年に翁長前知事が埋立承認を撤回した際のように、有識者による第3者委員会を設置されるよう要請します。
<脚注>
[1] 県は、2019年当時、埋立土砂の性状問題やK9護岸からの土砂陸揚等を理由として、再度の埋立承認撤回を検討したことがある(謝花副知事「(国が土砂投入に着手した問題等)国の姿勢はあまりにひどく、第2の撤回を視野においている。」、デニー知事「再度の撤回は理論上可能だ。」(2019.1.17 琉球新報))。
[2] 防衛局は、2007年の土質調査報告書(『シュワブ(H18)地層調査報告書』)で、「軟弱な沖積層が広く、厚く分布している。追加のボーリング調査が必要」とされていたにもかかわらず、埋立承認申請では、その事実を隠蔽し、「N値11の砂層。軟弱な粘性土層は確認されていない」としていたことが2023年11月、明らかになった(2023.11.2 琉球新報、沖縄タイムス等)。埋立承認申請の際にこうした軟弱地盤の存在を明らかにしておれば、当時の仲井眞知事の埋立承認はなかったはずである。
[3] 辺野古新基地の耐震設計は中小地震を対象とした「レベル1」で設計されている。しかし、2022年3月、政府の地震調査委員会が「南西諸島でM8級の巨大地震のおそれ」という長期評価を公表したため、「レベル2」での耐震設計に見直すことが必要となっている。また、県の「津波浸水想定」(2015.3)では、津波の最大遡上高が、辺野古崎で11.7mと想定されており(辺野古新基地の外周護岸の標高は8.1m)、津波の際に新基地は全て破壊されてしまう。
[4] 防衛局は、設計変更申請の耐震設計は、2018年に改正された新版の『港湾施設基準』に準拠したと説明したが、実際には2007年の旧基準を使用していることが明かになった(2023.10.1 赤旗日曜版)。新基準に基づいて設計すれば最大加速度が約1.5倍となり、護岸の安定性が確保できないおそれがあるために旧基準を使ったと思われる。
[5]「陸域及び海域の30%以上を保護地域にする」という、「生物多様性国家戦略2023-2030」(2023.3.31に閣議決定)」に反していること。
[6] 陸上自衛隊と米海兵隊が辺野古新基地に陸上自衛隊の離島防衛部隊「水陸機動団」を常駐させる等、共同使用することで合意していることが明かになった(2021.1.25 沖縄タイムス)。また、米海兵隊も、南西諸島の島々を小規模に分かれた部隊で転々とするEABO(遠征前方基地作戦)構想等で再編される。辺野古新基地のような大きな基地が、ミサイルの時代に有効に機能するのかどうか等の再検討が必要である。
なお、本年11月6日には、在沖米軍幹部が、「軍事的に言えば、普天間から辺野古に移った場合は機能が低下する」、「辺野古が完成した後も普天間の維持を希望する」と発言している(2023.11.8 沖縄タイムス)。普天間飛行場の改修・強化工事も続いており、辺野古新基地が完成しても普天間飛行場が返還されないおそれがある。