(山城博治さんの久しぶりのシュプレヒコール。判決前集会での住民の会の面々)
23日(火)は、高江のヘリパッド移設工事をめぐり、国が地元住民に対して通行妨害の禁止を求めた訴訟の控訴審判決の日だ。表現の自由にもとづいた反対運動を委縮させるために権力側が司法手段に訴えた、いわゆる「スラップ訴訟」。こんな手段が通用するのなら、沖縄の反基地闘争をはじめとする住民運動は何もできなくなってしまう。
わずか35席の傍聴席に対して150名ほどの傍聴希望者が集まった。抽選には落ちてしまったが、一緒に来た連れあいが当選し、傍聴券を譲ってくれたので法廷に入ることができた。
テレビカメラの撮影の後、判決言い渡しが始まった。裁判長は、「控訴人の控訴を棄却する。訴訟費用は控訴人の負担とする。」とだけいって、席を立とうとする。あまりのことに、思わず、「不当判決だ!」と叫んだ。横田弁護士も立ち上がり、「理由を説明してください。」と繰り返すが、裁判長らはそのまま退出してしまった。その間、わずか、1~2分。あーあ、駄目だったかと、しばらく椅子から立ち上がれない。
(左から伊佐真次さん、池宮城弁護団長、横田弁護団事務局長)
(判決後の報告集会。弁護士さんらが、判決の問題点を分かりやすく説明してくれた。)
今回の判決では、伊佐さんがゲート前に座り込んだり、手をあげたりしたことを、「確かに、これらの行為は生活環境の保全などを目的として、工事に抗議の意思を表明する表現行為としての側面がある。---しかし、これらの行為による不利益は被控訴人(国)の受任すべき限度を超えていると言わざるを得ず、違法な所有権侵害に当たる。」と決めつけた。
しかし、2007年の宇都宮地裁判決は、ゴミ焼却場の建設に反対する住民らが、道路にロープを張って搬入を阻止した行為について、「やや穏当を欠く」とはしたものの、「表現活動の実質を持つ阻止活動の実行に訴えたことはやむを得ない。」と認め、損害賠償請求を棄却するなど住民側が勝訴した。この判決は、2009年の東京高裁でも維持されている。
今回の判決は、横田弁護士も、「怒りを通り越してあきれるほかない。」と言われていたが、こうした過去の判例からみても、まったくお粗末なものだ。
国は、オスプレイ配備を隠し続け、住民らに十分な説明もしないまま、工事を強行した。そのことに抗議し、説明を求めるためにゲート前に座り込むと、今度は、国によって訴えられ、裁判所も、妨害行為と決めつけ、禁止命令を出した。「司法も行政も住民を守らないとしたら、一体、住民は誰にこの現実を訴えたらいいのか。何故、沖縄だけ、何十年も基地問題で苦しみ続けなければならないのか。」(沖縄タイムス社説 2013.6.26)という怒りは当然だ。
(伊佐さんと安次嶺さん)
夜は、打ち上げ会が開かれた。住民の会のメンバーをはじめ、支援者、弁護士さんらが、50名ほども集まった。敗訴の後だが、皆、底抜けに明るく、笑顔が絶えない。遅れてやってきた弁護士さんが、「これは勝訴の打ち上げ会かと思いました。」と挨拶されるほどだ。
国が反対運動を委縮させようとスラップ訴訟を起こし、裁判所がそれを認めたのだが、我々は、これからもゲート前での抗議行動を続ける。こんな不当判決には屈していないということを、現地での闘いで示してやろう。皆はますます意気盛んだ。