チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

北部訓練場ヘリパッド工事、翁長知事が防衛局に「環境保全措置要求」。オスプレイ排気熱で深刻な影響

2016年01月21日 | 沖縄日記 高江

 知事が防衛局長に対して、北部訓練場のヘリパッド工事に関して措置要求の文書を出したことが公文書公開請求で明らかになった。今日(22日)の沖縄タイムスにも大きく掲載されたが(琉球新報には明日掲載される)、この問題について、以下、説明しよう。

 防衛局は昨年7月31日、北部訓練場ヘリパッド工事の環境影響評価の「事後調査報告書」を公告した。この報告書に対して県の環境影響評価審査会が現地調査を行い、2回の審査会を開催した。10月26日の審査会では、高江現地行動連絡会から私とOさんが口頭で意見陳述を行なった。私たちは主に、N1地区への工事用道路となる旧林道の崩落の危険性について訴えた。審査会でも多くの委員さんがこの旧林道の危険性を指摘されている。 

・「北部訓練場ヘリパッド問題、県の環境影響評価審査会で口頭陳述。審査会も危機感を示す」(2015.10.26 本ブログ)

 (県環境影響評価審査会の委員さんらの北部訓練場N1地区への立入調査(昨年9月14日))

 その後、2回目の審査会が開催され、昨年12月9日、県環境影響評価審査会は知事に対してこの「事後調査報告書」についての審査結果を答申した。知事はそれを受けて、12月11日、沖縄防衛局長に対して「事業調査報告書」に対する環境保全措置要求を出したのだ。

 この知事の環境保全措置要求書ではいくつも重要な点が指摘されている。

1.芝の枯死等、オスプレイの排気熱による深刻な影響 

<知事の環境保全措置要求>

「9月の現地調査において、N4地区の着陸帯では芝が茶褐色に変色し枯死していることが確認された。この原因については航空機の排気熱の影響が懸念され、周辺環境への影響も危惧されることから、専門家の意見を踏まえて芝の変色と枯死の原因を調査し考察すること。

 また、N4地区の芝の枯死については、MV22(オスプレイ)の航空機の排気ガスに含まれる窒素化合物等の化学物質の影響も懸念されるため、航空機排気ガスの化学物質による影響についても検討すること。」

 事後調査は今年で3回目だが、1回目、2回目の事後調査報告書に対して、知事は「オスプレイの運用を前提としたアセスをやり直すこと」という保全要求を出していた。しかし、防衛局はその必要はないと知事の指示を無視したまま、N4地区でオスプレイの運用を始めたのだ。

 その結果、着陸帯の芝の枯死や周辺の樹林帯への影響が出てきていることが判明した。防衛局は今度こそ知事の指示に従い、オスプレイの排気熱や排気ガスの化学物資の影響等をただちに調査検討すべきである。

2.やんばるの貴重な生態系に悪影響を及ぼす外来種の侵入 

<知事の環境保全措置要求>

「着陸帯でアメリカハマグルマ、スギナ、クズ等の外来種が確認された。外来種の侵入は、やんばるの貴重な生態系に対して重大な影響を与えることが危惧される。」

 特にアメリカハマグルマは我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リストの緊急対策外来種に指定されており、やんばるの貴重な生態系に深刻な影響を与える。防衛局は、「環境影響評価図書」で、「外来種が確認された場合は、事業者の実行可能な範囲で排除することとします。」(8-12)としていたが、全くその努力をしていないことは許されない。

3.N1地区への既存道路について

<知事の環境保全措置要求>

 N1地区への既存道路の補修工事については、工事用道路としてのみ使用することを前提とした必要最小限の補修に務めること。また、不測の降雨にも対応可能な赤土等流出防止対策を検討するとともに、補修工事予定地域の全域で植生の保全に務めること。

 今後予定されているN1地区のヘリパッド工事に際しては県道70号線からの旧林道が工事用進入路として使われる。しかし、この旧林道は途中で3ケ所ほど崩落しており、大規模な造成工事を行わない限り工事車両の通行は不可能である。現在の防衛局の工事方法では大規模な災害発生が危惧される。その詳細は2014.8.1の本ブログを参照してほしい。

・「高江、今年度のN1地区ヘリパッド工事で危惧される大規模な災害発生の恐れ」(2014.8.1 本ブログ) 

 昨年10月26日の環境影響評価審査会ではこの問題について意見陳述させてもらったが、委員長も「各委員は大きな不安を持っているので厳しく指摘する必要がある。」と述べ、委員の間からも「痩せた尾根に道路がある。両側は急峻、工事車両が通れば崩壊が起こる。」等の問題点を指摘する意見が相次いだ。

 ところが今回の知事の環境保全措置要求はこうした審査会の指摘が十分に反映されているとは言えない。「現在の防衛局の計画では大規模な災害発生の恐れが強い」、「このような進入路しかないN1地区にヘリパッドを造成することはそもそも無理である」と明確に指摘すべきであった。

 

 なお、県は、この知事の環境保全措置要求についてマスコミ等にも発表しなかった。私は最近になってその事実を知り、環境政策課に答申と措置要求書を発表するよう求めた。ところが、環境政策課は、「必要なら公文書公開請求をしてください」というだけで、発表を拒否したのである。2年前の「事後調査報告書」に対する答申と知事の措置要求書は、すぐにマスコミに発表され大きく報道されている。今回の県の姿勢は全く納得できない。

 

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