チョイさんの沖縄日記

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大浦湾の地盤改良工事、第2回技術検討会の議事録・資料がやっと公開された! --- さらに強まる疑問点

2019年12月21日 | 沖縄日記・辺野古

 昨夜(12月20日)、沖縄防衛局が11月29日に開催された第2回技術検討会の議事録と資料をやっと公開した(沖縄防衛局のHP参照)。今朝、その内容に一通り目を通したので、気がついた点を簡単に説明しておきたい。

1.遅れている地盤改良工事、護岸工事の詳細設計作業

 まず明らかなことは、第1回の技術検討会から3ケ月近く経過しているのに、検討作業があまり進んでいないことだ。地盤改良工事については当初と同じ概要が示されただけで、問題となる大量の砂の調達方法、鉄鋼スラグを使うのかどうか、さらに作業船の配置や作業工程等、具体的な内容が全く示されていない。地盤改良工事の工期などもまだ分からない。地盤改良工事に伴うケーソン護岸やA護岸についても、護岸構造が選定されただけで、護岸や地盤改良の諸元の決定は次回以降の検討会にまわされるという。

 当初の報道では、第2回技術検討会で総工費や工期等を示し、来年1月初めにも沖縄県に設計概要変更申請を提出するということだったが、この調子では作業は大幅に遅れるだろう。 

 今朝の各紙は、政府が12月20日に公表した2020年度の予算案で、軟弱地盤の地盤改良工事の経費の計上を見送ったと報じた。河野防衛大臣は見送りの理由を、「承認申請の時期その他がまだ不明確だ」と述べたという。デニー知事は設計概要変更申請を承認しないことは当然だが、変更申請の作業そのものが遅れていることは明らかである。防衛大臣は以前、地盤改良工事が「難工事」であることを認めたが、やはり世界でも前例のない工事で、詳細設計の作成に苦慮しているのであろう。

 

2.「軽量盛土」とは何か?

 また、第2回技術検討会では、突然、護岸の背面に軽量盛土を施工すると提案された。土砂よりも軽い埋立材を使用して荷重、土圧を軽減し、護岸の断面の縮小化や地盤改良の範囲を少なくしようというのだ。 

 軽量盛土工法にはいくつかの種類があるが、今回、公開された資料では、SGM工法(軽量混合処理土工法)を行うとしている。これは、浚渫土等の土砂に海水を加えて撹拌したものに軽量化剤(気泡)とセメント等の固化剤を混ぜて軽量化したものを盛土材とする工法である。

 今回の計画では、ケーソン護岸の背面に幅約110m、厚さ8mほどの軽量盛土が施工される(下図参照・資料P193)。 

 軽量盛土の施工方法等の詳細はまだ分からないが、かなりの規模のプラントが必要になる。廃水の処理、そしてセメントや軽量化剤の使用が大浦湾の環境に与える影響が危惧される。また、軽量盛土部分の一部は滑走路の下になるが、強度は大丈夫であろうか?

 ともかく、このような難しい工法を採用しない限り、地盤改良工事そのものができないのだ。

 

3.「耐震レベル1」についての議論がないのは何故か?

 今回の資料では、各設計条件は中小地震を対象とした「耐震レベル1」とされている。

 先日のブログでも説明したように、国土交通省は、阪神大震災後、羽田など国内主要13空港に対して、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの巨大地震・津波発生の考慮が必要」として、大地震に対応できる「レベル2」の耐震性能を確保している。鹿児島や高松等の空港も「レベル2」で設計されている。

 辺野古新基地は、大量の燃料や危険物を扱う軍事施設であり、巨大地震や大津波が来襲すれば大変な被害が危惧される。活断層の疑いも指摘されている。当然、「レベル2」の耐震性能で設計されなければならない。

 特に、国土交通省の『空港土木施設設計要領(耐震設計編)』(2019.4)では、「空港の施設でレベル1地震動のみの性能を示している施設であっても、高盛土で構成される盛土地盤のように、被災による修復が長期間にわたる可能性がある---等、当該施設の被災によって、その影響が長期又は広範に及ぶ可能性がある場合においては、レベル2地震動等に対する安全性についても確保するものとする」とされている。

 辺野古新基地は、盛土高は最深部では約50mにもなる(埋立区域の最深部は-42m)。これほどの高盛土の空港は他にはない。この国土交通省の要綱を辺野古に適用しないのであれば、いったい何処の空港に適用されるのか?

 何よりも不可解なのは、技術検討会でこの問題が全く議論されていないことだ。委員らは土木工学の専門家だから、当然、上記の国土交通省の設計要領を知らないはずはない。何故、質問すらしなかったのか、不思議でならない。

 ともかく、このまま「レベル1」で押し通すことは認められない。「レベル2」で設計を全面的に見直すべきである。

 

4.護岸造成前から大浦湾に大量の土砂が投下される!

 下の図は、C2護岸(ケーソン護岸)の断面図である(資料P36)。この辺りは、海底が隆起し、水深が5mほどしかない部分が続いている。

 この断面図では、ケーソンを設置する前に海底を平坦にするために「埋立工(先行)」(図の黄色部分)が施工されることとなっている。その厚さは30m以上にもなる。

 防衛局は、海の汚濁を防ぐために「埋立工事は外周護岸を概成してから土砂を投入する」と説明してきた。しかし、この計画では、まず大浦湾に大量の土砂を投下し、海底を平坦にしてから護岸を造成するというのだ。こんな荒っぽい工法は認められない。

 また、先行埋立部分の上にケーソンを設置するというのだが、海中の盛土部分の上にケーソンを置いてもすぐに沈下する。また、左側は硬い地盤であり、極端な不等沈下は必至である。

  公開された内容だから、十分に精査されたはずだが、あまりに杜撰な内容と言わざるを得ない。

 

 

 

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