防衛局は、現在、辺野古側での埋立工事を続けているが、土砂の陸揚箇所がK9護岸、K8護岸しかないため、作業は大幅に遅れている。そのため防衛局は、本年11月17日の環境監視等委員会に土砂陸揚方法を効率化する方法を採用するという方針を示した。
まず、K8護岸・K9護岸先端にスパッド台船を設置し、土砂を載せたランウウェイ台船をそのスパッド台船に係留して土砂を陸揚げする。さらに、大浦湾内に大型のデッキパージ船(長さ141m、幅36m)を常時係留し、土砂を載せたランプウエィ台船から土砂を揚げて土砂を蓄積するという。デッキパージ船の蓄積可能量は約9千立法㍍というから、ランプウエィ台船9隻分の土砂が積み込めるので、作業の効率が向上するというのだ。
しかし実際には、このような方法を採用しても、土砂の陸揚げのペースがそれほど加速するとはいえない。防衛局はよほど焦っているのであろう。
それよりも心配されるのは環境への影響である。今までも雨天時など、ランプウエィ台船から濁水が流れていることが目撃されている。特に、大量の土砂が蓄積されるデッキパージ船などは、雨天時の土砂流出が危惧される。
防衛局は、環境監視等委員会に対して、「デッキパージ及びスパッド式台船の運用に伴う環境負荷の検討」として、騒音・振動・水中音・水の濁り等は「ほぼ変わらない」としている。
しかし、今回の設計概要変更申請に伴う『環境保全図書』には、このような土砂陸揚方法は記載されていない。「船舶・建設機械稼働計画」にも、デッキパージ及びスパッド式台船等は出てこない。
今回のような土砂陸揚方法の変更をするためには、まず、現在、県に審査を求めている設計概要変更申請の『環境保全図書』の関係部分を差し替えなければならない。
『環境保全図書』の変更は、埋立承認の際の「留意事項」により、知事の承認を得なければならない。差し替えた『環境保全図書』について知事の承認が得られてからしか、今回のような陸揚方法の変更は実施できない。
もし強行すれば、「留意事項」違反である。