17日(水)のオール沖縄会議現場部会が、安和桟橋敷地内の条例違反の土砂堆積、本部港(塩川地区)での違法な港湾使用問題等について交渉を行った。
県からは、池田公室長、上原土建部長、棚原環境部長らが出席。交渉参加者からは、県として現行の条例・規則等を最大限に駆使して、なんとか辺野古の工事を止めてほしい、遅らせてほしい、県ができることはもっとあるだろうと要請を続けた。
いろんな問題が明らかになったが、特に、本部港(塩川地区)でのネットを使った違法な囲い込みについて、県が7月12日に、「臨港道路上への柵の設置、もしくは臨港道路内への人員の配置により臨港道路の通行を制限しないこと」という行政指導の文書を出したことが明らかになった。それ以後、本部港は使用されていないが、同じことが繰り返されないか、厳重に監視していく必要があるだろう。
以下、交渉記録の抜粋である。
オール沖縄会議現場部会の沖縄県交渉(7月17日) の記録(抜粋)
●県側出席者
池田公室長、上原土建部長、棚原環境部長他関係課各課長
〇オール沖縄会議現場部会参加者(山城博治他)
第1 本部港の使用問題について
<ネットによる違法使用について>
●土建部長
港湾内の臨港道路は、一般の用に供されている一般の使用の部分ですので、県は、不自由なく通行できるよう求めています。こういった一般の利用者を排除するような形で規制することはできませんと、再三、指導しています。誰もが港湾の中で様々な利用に供することができるよう取り組んでいます。県が柵等の設置をむやみに認めているわけではないことをご理解いただきたい。
本部港では離島への荷物の搬出等もあるので、そういった方々の利用にも支障が出ているという話もあります。特定の利用者が優遇されることがないように、誰もが利用できるような港湾となるよう管理に努めていきたい。
(本部港で行われているネットによる規制)
〇 防衛局、業者の違法行為に対して、何故、口頭での注意だけにとどまったのか? 文書による指導は何故、しないのか?
●土建部長
再三、注意をしてきました。さらに7月12日に、北部土木事務所長名で事業者宛に行政指導の文書を出しました。
〇誰宛に出したのですか?
●土建部長
相手は一般の事業者ですから、私企業に対して出した文書ですから、企業名は公表できません。
〇行政指導の内容を説明してください。
●土建部長
次のような内容です。
「本部港(塩川地区)において、臨港道路上への柵の設置や人員の配置により、臨港道路の通行の阻害や片側車線の専用使用などがなされた。これにより、他の港湾使用者の利用が制限されるなど、港湾管理上の支障が生じている。このため、使用許可の指令条件に基づき、臨港道路上への柵の設置、もしくは臨港道路内への人員の配置により臨港道路の通行を制限しないこと」
〇回答は?
●土建部長
まだです。
〇従わなければどうするのか?
●土建部長
様子をみたいと思います。
〇防衛局には行政指導をしていないのですか?
●土建部長
防衛局にはしていません。
〇防衛局とはネット規制の問題について話をしたのですか?
●土建部長
私は話はしていません。
〇それでは次の話しあいで次の点を説明してください。
1. あのネットによる囲い込みの規制は誰がしているのか?
2. 防衛局に対して指導をすべきではないか?
<辺野古への土砂搬送のために県が港湾使用許可を出した問題について>
●土建部長
・本部港は県管理の港湾で、一部、本部町に権限移譲をしております。
まず、岸壁使用の是非ですが、港湾法の関係法令に基づいて処理せざるをえません。どういった仕向港、どういった積荷であるかということをもって使用を不許可にすることは法令上はできません。
不平等な取り扱いは港湾法で禁止されています。したがって岸壁使用許可については許可せざるをえません。港湾法令上、やむをえないのでご理解いただきたい。
・これは私だけの判断ではなく、知事まで報告した上で許可せざるを得ないということになりました。
●公室長
・県は、昨年8月31日の撤回は生きているという立場です。それは公有水面埋立法に基づく撤回であって、今、土建部長が言っているのは港湾法に基づく対応です。
弁護士とも相談したのですが、他の法律、公水法で撤回しているからといって、他のことについても公水法を根拠にして不許可にすることは難しいという助言がありました。
県は、国地方係争処理委員会の裁決に対して、7月17日に提訴しました。さらに抗告訴訟についても、県議会で認めていただきました。こうした訴訟を通じて、しっかりと法廷での主張を行っていきます。
・基本的に(本部港の問題については)知事とも相談して決めたことです。
〇県政の柱を辺野古新基地建設阻止としておきながら、辺野古の事業を進めるための許可を県が出すことは県民としてとても納得できない。
〇港湾法の不平等な取り扱いと言われるが、港湾管理条例では「公益上やむをえない理由が生じた場合は---許可を取り消すことができる」とされている。県が、辺野古新基地建設反対を県政の柱としていることは、まさに「公益」だ。不許可にすることができる。
第2 安和桟橋敷地内の土砂堆積問題について
●環境部長
最初に赤土条例の概要を説明します。赤土条例は届出制度です。偉業開始前に届出しなければなりません。そして届出から45日間は事業をしてはなりません。45日経てば、事業者は事業ができます。
安和の問題について皆さんのお気持ちは分かりますが、45日のうちに指導しなければ事業はできることになっています。
県は、6月21日に立入調査を行い、届出どおりに対策が行われていることを確認しました。その前日には134mmの大雨が降りましたが、赤土も流出していないし、浸透池の能力にも問題はありませんでした。
(豪雨の中でもブルーシートすらかけられていない)
〇今進められている辺野古側の埋立についても、赤土条例の手続きが行われた。②-1区域、②区域の2件の事業行為通知書に対して、県は確認済通知書を出しましたか?
●環境部長
辺野古の埋立工事には確認済通知書を出していません。
〇県が何故、出さなかったかというと、確認済通知書を出すと県が埋立を認めたことになってしまうからだったでしょう。何故、今回は出す必要などなかった計画変更不要通知書を出してしまったのですか? だから、県民は皆、「県が許可を出した」という受け取り方をしてしまったのです。
●環境部長
今回の申請者は民間事業者です。事業行為に辺野古が目的とはされていない。辺野古だけに利用されると明記されていませんでした。
〇そんな話は誰も納得できない。県民が、「県が許可を出した」と受け取ってしまったのはそのためです。
〇もう一点。事業者は、条例違反の土砂の堆積を行った。何故、ペナルティがないのか? 何故、いったん原状回復を指示しなかったのか?
●環境部長
原状回復するにも届出が必要です。
〇届出させればよい。
●環境部長
我々としては、従来から一回やっただけで通常、行政処分は行っていません。届出しない、失念していた、うっかりしていたという事業者もたくさんいます。そういう中で、法律をきちんと教えて、今後、届出しなさいと言ってきました。今回の場合、事業者は県の指摘の後、フルーシートで押さえて動かしてないんですよ。
〇条例では、「事業開始前」に届出することとなっている。45日間は事業行為に着手できない。ところが、今回は届出が出された時点で事業行為はされてしまっているんですよ。条例を厳密に解釈すれば、当然、現地はいったん原状回復させて、これからこういうことをしますと届出を出させるべきです。
〇県の赤土条例の施行規則では、赤土流出防止対策の施設基準が定められている。今回の土砂堆積場ではどのような赤土流出防止対策がされているのか?
●環境部長
小堤工で囲むこと、斜面の下に浸透池が設置するとなっています。
〇浸透池の詳細は?
●環境保全課長
民間業者の事業だからそれはお話できません。
〇それはおかしいでしょう。浸透池の詳細を明らかにしてください。
赤土条例施行規則の施設基準では、赤土等を仮置きする場合は、仮表土保全装置を施すこととされている。それは、シート、マルチング、アスファルト乳剤散布等のいずれかとなっている。今回、何故、この施設基準が実施されていないのか? これについてはまた改めて説明を求める。
〇また、運ばれている土砂の性状の問題がある。県はどのような行政指導をしているのか?
●土建部長
県は6月11日に、土砂の性状について知事と土建部長名で文書を出しました。
〇回答は来たのですか? 期限は設けていないのか?
●土建部長
回答は来ました。7月3日です。
〇それでも未だ、県の立入調査を認めていない。昨年12月からもう5回ほどこのような行政指導を続けているが、防衛局は全く応じていない。どうするのか? もう、腹くくらんとならんでしょう。
〇また、期限を何故10年も認めたのか? これも納得がいかない。
〇現場では大雨が降ってもブルーシートもかけられていない。雨の際に周辺の海が赤く濁っていたのも無関係ではない。6月20日、北部保健所長と話しをした際、担当者は「ブルーシートをかけるよう指示しているが、かけられていない」と言っていた。きちんと指導すべきではないか?
今も台風が近づいている。浸透池は24時間雨量が150mmに対応できるよう設計されているというが、今後、さらに大きな台風が来て、24時間雨量が150mmを超える大雨も降るだろう。今の赤土流出防止対策では不十分だ。少なくとも作業終了後にはブルーシートぐらいかけさせるのは当然だろう。
〇ともかく今日の回答では話にならない。次回は副知事との話し合いを求める。