なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

病理検査

2007年06月05日 | 仕事
の結果が返ってきた。ああ、家の猫の。今更って感じなんですが、やっぱどーしても自分とこの動物の話は後回しになる。切除した部位を検査所に送るのがめんどくさい、どなたか患者さんの検体を送る時に同梱してしまおう、なんて思ってて、今頃になっちゃったんですね。まあ、ホルマリン固定しているから、いつ検査してもOKではあった。
 さて、結果は。「線維肉腫」と。ひえ~~~~~!!なんと、立派な悪性腫瘍だったんか~~。
 やっぱし指一本落としたのは正解だったじゃないか、と獣医のあっしはホッとする。ずうっと飼い主のあっしに「指落とすこともなかったかもしれないじゃんか」なんてネチネチされてたから。そーれみろ、指一本が腕一本にならずに済んだんだ、今んとこ。
 指一本、というと人間だったら大事っぽく感じられるが、犬猫では、まず全く問題にならない。家の猫も全然困っていない。結局、「嫌だな」というのは人間の勝手な思い込みなんだよね。「完全体」についついこだわってしまうヘンな癖というか。

こういう場合、手術中に急速診断ができる人間の病院って羨ましいような気もする。でも、その診断が万能なわけではない。診断した部位がたまたま「ハズレ」の場所だったら、誤診に繋がりかねないのだ。病理組織検査ったって、結局切除部位のほんの一かけを調べるのがせいぜい。勿論、専門の先生は当たりをつけて切片を切って下さってるわけだが。
 
 一方では、人間の先生方は大変だなーと同情してしまう。いくら最善を尽くしても、「あの時そこまで切除する必要なはなかったのではないか?」と患者側が感じる可能性は常にあるだろう。「念のためここまで」と切除したら、そこまでは必要なかったじゃないですかあ!と訴えられる可能性もあるだろう。完璧をそこまで望まれても・・・・・。医療って結構限界があるのよね。しかもさあ、限界を狭く設定する病院の方がウケル。だって「大変な状態だったけど、治してもらえた」ってなるから。こういう奴は、すぐ名医というわけだ。こうなると、殆ど「リフォーム詐欺」の世界よ。
コメント
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