



私は他人に語れることを何一つ持っていない―むつみ(マッサージ店店主)。やっぱりここは、俺にふさわしい七位の場所なのかもしれない―橋場(カフェバー店長)。私から、こんな風に頭を下げてでも、離れたいのだ、この人は―朝海(古書店バイト)。どうすればあの人は私を好きになってくれるのだろう―十和子(IT企業OL)。私は、真夜中の散らかった1DKの部屋で、びっくりするほど一人だった―天音(元カフェ経営者)。きっと、新しい一歩を踏み出せる。ありふれた雑居ビルを舞台に、つまずき転んで、それでも立ち上がる人の姿を描いた感動作!

取り壊される雑居ビルが舞台。
「泥雪」の主人公がお店を始めるときに手に入れた絵はまだ売れない画家、ウツミマコトの絵。後に映画監督になり「深海魚」と言う作品を撮る。このウツミマコト、深海魚がぐるぐると・・・連作短編集。
そうよ、生きていたら色々あるのよ。真っ只中に居てもがいているときは、何で自分だけ?なんて思うけれど、本当にいろいろある。人間だからあって当たり前。なんとかみんな乗り越えているわけで・・・そんなことが丁寧に描かれていると思った。
で・・・そのケーキは最後の書き下ろしに登場するパンケーキ?
とてもいい終わり方。読後感・・・爽やか!
