まだ一度も行ったことのなかった山域、南アルプス。
山梨県という近い距離にありながら、公共機関利用だと朝出発では1日移動だけになってしまうエリア。
どうしても行きたかったので、ずいぶん前から夜行バスの予約を入れておいた。
でも雨ならキャンセルするつもりだった。どうしても晴れ、で行きたかった。
週末の天気予報は曇&晴。今年は雨にあわない山歩きをしていない散々なワタクシ。
曇りなら晴れる可能性もあるからよしとしよう、と行くつもりでいたのだけれど次なる問題が・・・
お盆休み明けからダンナの仕事が更にハードになり、毎晩帰りが23:00過ぎた。
バスの集合時間が新宿21:30、間に合わなければキャンセル、ドキドキしながら当日を迎え・・・
幸い出発の金曜日は間に合う時間に帰ってきてくれ、出発することが出来た。
+++夜行バス体験談+++
今回の夜行バスは「山交トラベル」の新宿→広河原¥6600
芦安の山渓園に1:00頃ついて仮眠が出来る、というものだった。
もうひとつのバス(毎日アルペン号)もあったのだが、そちらは集合が一時間遅い分、仮眠時間も短かった。
(料金は安かったが、たいした差ではない)
夜行バス移動ですぐフルに動く、というハードな山行は苦手な私達。
短時間でも横になれる、というのは大きな魅力だったのでこちらを選んだ。
芦安には店はないので(到着は深夜だし)23:30頃、双葉SAで買物休憩。
行ってみると翌朝食べれるようなものは、おにぎりとサンドイッチ2種類ずつ位しか売っていなかった。
持参してきてよかった。
時間が早まり12:30頃「ヘルシーハウス山渓園」到着。
係りの方の案内で畳の休憩所に案内される。座布団と毛布が一人一個ずつセットされているのがありがたい。
みんな同じ目的なので、到着後、10分程度でもう起きている人はいなかった気がする・・・
翌朝は4:45に「おはようございます、バスが来る時間ですよー」と起こされる。
目覚ましの必要がないのもありがたい。
でも寝ぼけ眼でまだ暗い中、顔も洗わず重たいザックを持ち、無言でバスに乗り換える人々・・・
足取りもフラフラ・・・
なんか軍隊みたい、と思ってしまった。
山ノボラーたるものは、この(私とっては)過酷な状況すら、難なくクリアしなければ先に進めないのね・・・
この時点で私は既に脱落だわ、と思いながらバスに乗った。
北沢峠には、ここからまだ、2時間近くかかる・・・
でも山交バスの方はみな親切で、テキパキと大勢の登山者をさばく。
全員着席で、安心して乗っかって行けばいいだけ。お世話になりました。リピータになりそう♪
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<2009.8.22(土)>
広河原でバス到着と同時に北岳へ向かって歩き出す、強靭な肉体の登山者達を車窓から拝み、
乗換のバスに揺られ7:15、ようやく北沢峠到着。
ここからテント場までは徒歩10分程度。ラクラク私向き。
早朝からテント場は大賑わいだった。
私たちも設営して、朝食を食べてから出発。
が、寝不足にめっぽう弱い私達夫婦は朝食をとってもテンションが上がらない。
前日までの激務と寝不足で、相当疲れているはずのダンナ。
毎晩帰りが遅いダンナを待・・・(たず)眠りが浅い性質の慢性寝不足なワタシ・・・
このまま寝てしまいそうな気持ちを抑え、なんとか【9:00】出発。
う~ん、辛いぞ
今日は藪沢ルートから入って、テント場に下りてくる予定。
大平山荘脇を上がっていく。きれいな小屋、北沢峠の賑わいからすると静か~~。
最初はゆるく登っていく。原生林の森は今までの山よりはちょっとワイルドな印象でした。
霧雨チックな登り。あ~あ、またこの重い空、今年はもう見飽きたよ・・・
なんていいながら時折覗く展望に励まされつつも、
眠さと疲れでほぼしゃべらず登る無口な二人・・・
ちょっと急な登りで大汗かきながら進み、道が平坦になると藪沢が見えてきた。
橋を渡って左岸にでると、ここからしばらく沢沿いの道。
眠いのと、疲れが取れていないのとで足が重たくて上がらない私達。
せめてものこの清流が、清清しさを運んできてくれる。
振り返ると甲斐駒さんがうっすら見えている。
この段階ではあれが「摩利支天」と呼ぶのだということを知らなかった(恥)
左)トリカブト 右)?
左)コオニユリ 右)センジュガンピ(リブルさんに教えていただきました)
左)タカネナデシコ 右)シシウド他
タカネグンナイフウロ
曇り空で更にテンションが上がらないのだけど、
沢沿いにはたくさんのお花たちが咲き、私たちを元気付けてくれた。
この夏の山歩きはコレで最後だから、なんとか夏山気分を満喫しようと、
ゆっくりとお花を見たり、川の冷たい水で顔を洗ったり。
眠くてふらつく足元は安全第一と言ってくれているんだ、と良い方に解釈し、
楽しみながらゆっくり登ることにした。
【11:20】2時間半もかけてやっと五合目についた。
でも、朝はもしかしたら頂上までたどり着けないかも・・・と弱気になっていたのでちょっとうれしい。
空に青の色が少し戻ってきた。頑張れ!お日様
今日はきっと晴れるはず!そう信じて登ってきた。
マルバダケブキのお花畑が見えてきたら・・・
「馬の背ヒュッテ」到着。多分ここから頂上が見えるはずなのだが・・・見えない。
しかし、北沢峠にあんなに人がいたのに、同じ方向で歩く人は1組のみ。
すれ違ったのも2組程度。みんなどこへ行ったの・・・?
【11:35】もうお腹がすいてしまったのでここで昼食に。
前回、お腹が空いたまま頑張ってシャリバテになってしまったので、今回は早めに。
我が家では翌日の昼食が買えない場合が多いので、そんな時よく利用する「柿の葉寿司」
前日に買っておいても、酢飯は日持ちするので助かります。
小屋でCCレモンを買ったら、そのラベルにあっという間に十数匹の虫が^_^;
良く見ると黄色に群がるんです・・・・地図の黄色にまで(~_~;)
でもそのおかげで、山には黄色い色の花が多い理由がわかりました(多分)。
さて昼食を終え、とてもキレイな「馬の背ヒュッテ」を後に、山頂を目指します。
最初はゆるゆると登り、稜線へ。
おおっーー!稜線に出ると向こうに見えるは「仙丈小屋」
後光が差しているように見えます!カールがものすごく大きく見えます。
アルプス、という名つくの山に来たのは3回目?(くらい・・・)やっぱりとてつもなく大きいです。
桁違いの山の深さを感じます。
・・・でもすぐにガスが上がってきて、山頂は見えません。どこが山頂?
南アルプスの女王様はさすがになかなかその姿を見せてはくれません
一歩一歩近づいています。山頂が見えないので小屋を励みに登っていきます。
ここまでくると眠いとか辛いとかはほぼなくなり、もう着いてしまうのかと思うとなんだかもったいなくて・・・
人間、やっぱり気の持ちようみたいです・・・
小屋までの道の両端はお花畑。
曇っているからあまりはっきりしていないですが、
今まで雑誌などでしか見たことなかったお花がたくさん咲いていました。
あ、やっぱりアルプスなのねと嬉しくなりました。単純です。
やっと小屋に到着・・・・・・・何も見えません。。。。
丹渓新道のほうからゴンゴンガスが上がってきます。冷たくて寒いです。
小屋の方が「おー、どんどん上がってきてるな、これなら夕日も明日の日の出も見れるぞ~~!」
と大声で話しています・・・そんなこと聞いたら・・・泊まりたくなってまうやろ~~
そんな気持ちを抑え、山頂を目指します。
つい先日まだ白い花を見たばかりだと思っていたのに・・・
チングルマがもう風車になっていました。秋なんですね・・・
強い風の中、時折青空が!
がんばれー!山頂に着くころには晴れてね~~!
仙丈小屋を見下ろすところまで来ました。かすかに向こうの景色も見えてきたような・・・
わしわし登り・・・見えてきた!あの先が、きっと山頂!
【13:10】やったー!着いた!仙丈ケ岳山頂!
(山梨県で良く見る黒に白文字の山頂標識がない?ナゼ?)
・・・・・でも・・・願い虚しく・・・ガスガス・・・
山頂からの展望は素晴らしい。加賀の白山まで見える
はず、なのに・・・何も見えない。
この3032mからの眺望を楽しみに・・・だからどうしても晴れの日がよかったんだけど・・・
強い風と共にガスが次から次へと上がって来る。
30分ほど山頂で粘ってみたけれどダメみたい・・・
今年は本当についてない。7月に入ってから雨に降られなかった山行はなかったな・・・
雨女、いやどこへいってもガスにたたられた、ガス女だな、って。
あまりいい響きではない新しいあだ名が付いた
でも憧れの仙丈ケ岳に来れただけでもありがたいよね、仕事が終わらなかったらキャンセルだったんだから。
と自分に言い聞かせ、諦めて下山することにした。
つづく。