カラダよろこぶろぐ

山の記録と日々の話

初めての富士登山・その2

2009-08-05 | ヤマのこと


その1はこちら

さて食事の時間です。
ここ本七合目「見晴館」はまだ建物が新しく、ウッディな内装でとてもキレイでした。
 
玄関を入ると食堂(兼寝室)にテーブルがあり、グループごとに自由に利用してよいことになっていました。
ビール(350ml)¥600、おでんやおしるこ、うどんや定食もあるようです。
ちなみに缶ビール開ける時は噴出したりしませんでした。

17:00を過ぎるとグループごとに「そろそろ夕飯お持ちしてもいいですか?」と小屋の方が聞いてまわってくれました。
山小屋では時間交代制で食べるのが当たり前、と思っていたのでびっくりです。
「そろそろメインディッシュをお持ちしてもよろしいですか?」っぽい・・・。
もちろん「もうちょっと後で」という人にはあとで別に持ってきてくれるのです。
(夕飯のメニューはカレーとお漬物だけですが、お替りはできるようです)

それだけでも驚きでしたが、富士山の山小屋はぎゅうぎゅうでキレイじゃない・・・
とかあまりいい評判を聞かなかったのですが、それはまったく違っていました。
トイレはバイオトイレ系でどこもキレイだし、1時間も登れば水もジュースも食べ物も何でも売っている小屋に着きます。

山小屋も今は定員性。
登山道はとても整備され、子供でも安心して歩ける様安全策が取られているのが随所に感じられます。
とにかく富士山に一歩入れば全てにおいて「いたれりつくせり」
ここ富士山の山小屋でダメなら、他の山なんて行けません・・・・と思いました。
すごくありがたいことと感じたと同時に、富士山は別格だな、とも感じました。
ただし、水はほとんどありません。顔や手を洗ったりは自前の水です。


寝室は廊下の先に二段ベット式になっていました。
布団もフカフカでキレイ!わ~これならいいな~!と思ったのですが、
やはり割り当ては布団一枚に2人。ちょっとの物音や動きでも起きてしまう、
眠りの浅い私には、肩が触れ合う距離ではやっぱり眠れそうにありません。
雨風がしのげて足が伸ばせるだけでも十分ありがたい、と思うしかないです。
紅葉の時期の涸沢は布団一枚に4人、と言いますから・・・

予定変更しご来光を目指すことにしたので、1:00起床予定で横になります。
ところが・・・ウトウトしながら消灯の21:00頃に目が覚めて・・・嫌な感じが。
頭が・・・痛いのですしかも結構痛い。

ガンガン、ガンガン・・・
おかしいなぁ。標高が高いからお酒は控えめに、といつもの半分ほどでやめたのに。
寝不足や二日酔いでの頭痛はあるけど、飲み終わって2時間、こんなに早くはならないでしょう・・・
もしかして・・・これは高山病の一種?

酸素缶も持ってきていたけれど、息苦しいわけじゃない。
「高山病には頭痛薬が効く」と教えてもらっていた事を思い出しました!
が、狭い寝床、消灯も過ぎているのでザックをガサガサするのは周りの迷惑と諦め、
眠れないまま、脈打つごとにガンガン痛む頭のままじーーーっと動けず堪え・・・

・・・・・・・・・・・やっと1:15がきた 

ご来光の人が準備をし始めたので、私たちも起きて準備をします。相変わらず脈打つごとに頭はガンガン。
こんな痛い頭ではたして山頂が踏めるのか?不安になった私は小屋の方に、
「荷物を置いてピストンしてきてもいいか」聞いてみたところ、
快く受けていただき、ダンナのザックに必要なものを詰めて出発となりました。
感謝です


(ここからはガビガビ写真ばかりでスイマセン)
【2:00】外に出て、すぐに頭痛薬を飲みました。
するとさっきまでのガンガンが嘘のように・・・20分ほどですっかり・・・引いてくれました。助かった。
外に出るとどこもかしこも登山客だらけ。山頂に向かって光の帯が伸びています。
夜中にコレだけの人が山頂を目指す、ってやっぱり富士山ならでは?
なんだかテンションが上がってきます


背負う荷物もないのでラクラク!気温は5度程度で寒くもなく、なぜか絶好調に
が・・・後ろを歩くダンナの様子がおかしいと気づきます・・・
「どうしたの?」と聞くと「飲みすぎで頭が痛い」
「それって私と一緒じゃん(笑)いつもよりずっと少なくしか飲んでいないのに」
と普段薬を飲まないダンナにも頭痛薬を飲ませたところ・・・ちょっとはよくなったようです。
やっぱり高所とお酒には何か関係があったのかな?


【3:01】本八合目の「胸突江戸屋」までくると、ウワサ通り吉田口との合流でごったがえし!
団体さんも点呼を取りながら進んでいます。
とはいえやはり夜中。暗闇の中はぐれないように人の流れに押されながら上を目指します。
写真をゆっくり撮っているような状況ではありません。


だけど天の川や星が輝く空の下、ゴツゴツした岩の登山道をただ黙々と歩く、
というのはやはり富士山でしか味わうことの出来ない体験。
まるで自分がどこかの惑星を歩いているような不思議な感覚・・・
星空の写真が撮れなくて残念でしたが、しっかりと脳裏に焼きついた、素晴らしい眺めでした


【4:15】だんだん空が明るくなってきました。急げーーー!
・・・と言ってもまったく急げません。登山道は合流地点から大渋滞。
3歩歩いては立ち止まり、を頂上直下まで繰り返しながら登っていきます。

途中先を急いで登山道ではない所を上がっていく人が時々現れます(悲しいかな、この時はみんな○国人)
その人の足元から直径20センチくらいの落石が起きました!
危ない!下にもたくさん人がいるのに! 幸い途中で止まりましたが大変危険です。

登山道をはずれることは絶対にやめましょう!

・・・この渋滞のおかげで、頭痛も悪化しなかったし、高山病にならなかったのかもしれませんね。


(写真が下手でホントに悲しい)
振り返れば明るくなりかけた空と、雲海の上、ゴツゴツした岩、
地上から天に向かって伸びるヘッドライトの道。
これが富士山の夏の風物詩
山頂を目指す間、見ず知らずの者同士なのに、なんとなく連帯感が生まれてくるから不思議です。


【4:30】9合目あたり?でだんだん明るさが増し、登山者たちが「わー」とか「おー」とか叫びだす。
いよいよみんなが目指していた「ご来光」が!お願い!そのまま雲よ切れて!


【4:35】もうちょっと!あと10分!

・・


・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁーーーーーー




【4:45】ご来光の時間の10分前に急にガスが上がってきて、結局雲の中へ隠れてしまった。
それと同時に小雨が振り出し、先ほどまでの薄橙色の空は灰色へと変わった。あっという間だった。



だけどよかった。こんな生まれて初めてな体験出来たのも富士山のおかげ。
天気や体調や先週の怪我などで、もしかしたら山頂は踏めないかも、と色々心配事は合ったけど、ここまでこれました。
最後の鳥居の前、大混雑の中ちょっと嬉しさがこみ上げた。



【5:18】富士山吉田口山頂・標高3720m 無事ここに立つ事が出来ました。
全てのことにありがとう、な気持ちです




渋滞のため本七合目からのCT2時間10分のところ、3時間20分かかり、
山頂も大混雑!ツーショットで写真なんて頼める状況ではありませんでした。
雨が降っているので、土産店の中も人で一杯。休むところもありません。
とりあえず「久須志神社」で何か記念になるものを!と入ってみます。

 
「焼印」に長い列が出来ています。キョロキョロすると壁際に手ぬぐいがあるのを発見。
通常の手ぬぐいは¥300ですが、大奮発してご朱印つきの¥2000を購入。
それはそれは丁寧に押していただきました。(奥宮と押してあります、ほか2箇所)


この天気じゃ無理だろうな・・・と思いながらも「お鉢巡り」のために歩き出します。
がやはりガスで何も見えないし、強風と頬に当たる雨が痛くて楽しくないので撤収することに。


【6:00】せっかく登ってきた山頂もあっという間に下山(笑)もうこの時点で、
「次回は天気のよい日に剣が峰!」とリベンジ決定です。
我が家はどうもお釜とは相性が悪いらしい・・・(草津も阿蘇山も見れなかった・・・)
見たかったのに、火口。

【7:00】滑りやすい下山道を転がるように約一時間、荷物を預けた「見晴館」へ戻ってきました。
せっかく持っていったおにぎり弁当も雨で広げられなかったので、
持って帰ってきて結局小屋で頂くことに。
朝食なしで山頂の土産店で食べたほうがよかったかなぁ、と思いました。

小屋のご主人に聞くと、ナントここ七合目ではご来光が拝めたそう!
8合目から上はガスがかかりやすいので、8合目より下のほうがご来光を見れる確立が高いそうです。
なるほど。常連さんが朝、ご来光を見てから山頂を目指す理由が解りました。




【7:40】食事と休憩をして小屋を後にします。小屋のすぐ脇が下山道。
ブル道が見えるとそこからが「砂走り」です。
この時点で叩き付ける雨とザックが揺さぶられる強風、早く降りたいです


昨日登って来る時に見えていたこの砂走。結構急ですが怖くはないです。
1歩3m?、快適に進みます。
雨なので砂埃はあがりませんので、マスク、ゴーグルは要りませんでした。
でもザラザラな砂が合羽の上に貼り付きます。
ローカットの靴の方は中に砂が入って大変そうでしたが、私たちハイカットの靴ではスパッツすらいりませんでした。

それにしてもひどい雨。
合羽を着ていても中の服がすべて湿っぽい状態、
カメラカバー内もびしょぬれで危険だったため写真はもう撮りませんでした。

砂走ルートは早くてよかったのですが、当たり前ですがとにかく下りばかりで・・・
砂払い五合目の休憩所あたりでは、もう足が笑っていました(3日たった今でも超筋肉痛)
いつもの山歩きでは「上り返しが辛い」なんて言っていましたが、何事も程よく、がいいのかも。
途中から後向きで降りたりして戻ってきました。


【9:10】結局山頂から2時間30分で須走五合目まで戻ってきました。
登るのは大変なのに、下りは早いねぇ。でも足には下りのほうが堪えました。
全身びしょぬれで早く温泉に入りたかったので、そのまま休まずに「御殿場駅行き」バスの列に並びます。

バスの列は下山者たちであっという間に長くなり、私たちは幸い乗れて座れたのですが、
「乗り切れない人は、次のバスを待ってください」とアナウンス。
次のバスは1時間後なんですよ!増発便も出ないなんて知りませんでした・・・
バス利用の方、ご注意ください。

また路駐渋滞で1時間15分くらいかけて「御殿場駅」到着。
御殿場市温泉会館」で汗を流し、小田急高速バスで爆睡しながら新宿駅へ帰りました。


本当に色々勉強になった富士登山。天気が悪くて何も見えなかったので
富士山の魅力を満喫とまでは行きませんでしたが、
一生に一度は・・・なんて言われるほど気負わなくても、思ったよりずっとやさしい山でした。(×=easy ○=gentle)

子供の頃は家から(東京都)見えていた富士山。
ビルが立ち並び今は見えなくなってしまったけれど、ずっと見上げていたあのてっぺんに立ったんだ、
というのはやっぱり嬉しいものだった。

関東に住んでいるから何度でもチャンスがあるというのは恵まれたことだな、と感じ、
高山病と体温調節(寒さ対策)さえクリアできれば山頂に立てる。
やっぱり富士山は眺望でしょう!!それをこの目で確かめるまでは多分又きっと行く・・・




次は晴天の山頂で乾杯するんだ!I will see again

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【往路】小田急線新宿駅→新松田 JR松田駅→御殿場駅(¥1230) 富士急行バス御殿場→須走五合目(往復¥2000)
【復路】富士急行バス須走五合目→御殿場 御殿場→温泉会館前(¥350) 小田急高速バス・温泉会館前→新宿駅(¥1670)
@¥5250


※あくまで私の感想です。時期や天候を考慮して安全に登れる準備でのぞみましょう。

※2009.8.7加筆 私の利用したところ(山小屋・トイレ等)がたまたまキレイだっただけかもしれません。
過度な期待はせずに、事前調査の上お出かけ下さい。