つづきです。
道形不明瞭、という割には最初はどこにでもあるジグザグな登山道を降りていきます。
谷を沢の音のするほうへ降りていくのは、あまり気持ちの良いものではありませんが・・・
下山開始から20分くらいだったでしょうか?
ジグザグを終え、段々荒れた登山道らしく苔だらけの木や倒木も増えてきました。
5mくらい先を歩くダンナがなにやら叫んでいます、
「な~に?」
と聞き返すと、
「こっちは蜂がいるから右側を通れ!!」
右側を通れ、といわれても荒れた登山道、どこ歩こうか?キョロキョロ見回していたその数秒後、
前方で両手を振り回しているダンナの姿が?え?何事?
廻りに飛んでいる蜂の姿をロックオンした瞬間でした、
「ウッ・・」
今まで体験したことのない衝撃が身体中を走り、頭の先まで突き抜けて行きました。
瞬間、痛みのする方を見ると、
(画像は借り物です)
なんとこんなにでっかいスズメバチが、私の左ふくらはぎに止まっているではないですか?!
体長4センチ位、お尻のシマシマがクッキリハッキリ目に焼きついて・・・。
刺されとるーーー しかも食いついてる?!
持っていたストックでふくらはぎの蜂を必死に叩き落としますが、もうそこからは大パニック
とにかく早くここを逃げなきゃ、と走ってるつもりでもなかなか前に進みません。
一撃受けただけなのに、刺されたその瞬間からしびれる痛みの左足
そして・・・二発目の攻撃を受けました。今度は首の後ろ。
「痛ーーーーい!!!もうヤダぁーーーーー!!!」
半べそ状態です。
もっと刺されるのかも!?恐怖でぎゃーぎゃー言いながら走り下り・・・
もう追ってこないところまで逃げると、改めてすごい痛みに気づきます。
刺されたのは短パンとスパッツの間から出ていたCW-Xタイツの部分。
黒いタイツの表面が何かの液体か?色が若干変わっていました。
蜂に刺されたのも、生きているスズメバチを見たのも初めて。
刺された、というショックとジンジンしびれる痛みで冷静に判断することなど出来ない私。
今、頭の中にある「蜂に刺されたら」の情報が入っているはずの引き出しからは、
”1回目はいいけれど、2回目に刺されたらマズイ”ということしか出てこない。
じゃこの1回目の時はどうなの・・・
結局刺されたのは私だけ(怒)
こんなに痛いの・・・もしかしたらこのまま身体中毒が廻って死んでしまうのかも?!
ポイズンリムーバーも山歩きの初期に買ったけど、全然出番がないから、と、
持ち歩く事すらしていなかったこの頃。
恥ずかしながら記憶の引き出しの中はもうからっぽ、どう対処したらいいのか?わからない。
ダンナの引き出しには”オシッコかける?”しか入っていなかった_| ̄|○
ダメだ、とにかく一刻も早く人のいる場所へ出るしかない
気持ちばかり焦るが、沢沿いは柔らかい砂のような地質のところもあり、
進むほどに滑って落ちてしまいそうな悪路になって行く・・・。
腐った木の橋を渡ったり・・・これ以上の事故を起こさぬよう痛みに耐えながらも慎重に進む。
でもまたいつ蜂に遭遇するか解らないから気持ちは焦る。
刺された直後から顔が熱くなっていたのは自分でも解っていたが、更に汗までダラダラ。
蜂の毒でそうなっているのか?焦っているからなのか?自分でも解らない。
赤い顔をしてハアハア進む私に、さすがにダンナもちょっと心配した様で、
「生きてるか?」と聞いてきた。
生きてるよっ!
こんな携帯も通じない、人も通らない悪路でショック死するわけには行かない!
絶対生きて帰ってやる~~~!!(この時はマジメにそう思っていました)
(刺されてないから余裕で写真撮ってたのか・・・ダンナ)
ビリビリと痛む足をかばいながら、必死で歩くこと約45分・・・
やっと携帯の通じる林道についた。
下山途中、カラだと思ってた私の引き出しの奥から”蜂に刺されたことのある友人”情報が出てきた
アンテナが立って電話すると運よく繋がって、興奮状態で事情を話すと、
「死なないから安心してください」と温かい一言。
とにかく早く薬局か病院へ、とアドバイスもらった。
やっと車道に出た・・・・ほっ。
が、このエリア、商店すら見たことないんだもん、薬局なんて無理だよね。
人の姿もない、でも、歩いているんだから救急車呼ぶわけにも行かないし・・・
とりあえず温泉に行けば人がいるだろうから、と最初の目的の「田野の湯」へ5分ほど歩いていくと、
な~んと休み!!!
人っ子一人いない~~~
仕方ないからとにかく駅へ向かおうとバス停まで行くが、バスは二時間近くこない表示。
それならタクシーで、とタクシー会社3社に電話するも、
運悪くこの日は「笛吹マラソン大会」があったそうで、道路渋滞で行けたとしても1時間後だという・・・
もう・・・無理だ、駅まで1時間歩くよ。
と覚悟を決め歩き出すと、後ろから見たことのあるマイクロバス
市民バスだ!手を上げると停まってくれて、無事に10分で駅までたどり着くことが出来た。
ああ、神様はこんなところに
駅に着いたところで病院も薬局もないので、仕方なく何の処置もせず、
そのまま中央本線に揺られ地元へと帰った。
首の痛みはたいしたことはなかったが、足の激痛は治まることを知らない様子。
電車でじっと座っているのも耐えがたく、痛みで顔をゆがめながら刺されてから4時間後、
やっとの思いで地元の薬局へ。
頭痛や吐き気がないなら緊急性はないけど、明日足が今よりもっと腫れていたら、
病院へ行ってくださいとのこと。
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冷静になってからダンナに聞いてみると、木の根っこあたりに穴があり、
何かが動くので目が行くと、蜂だった。
「蜂がいるから!」と叫んだ直後に蜂がぶわ~~っと出てきた、という事らしい。
巣への距離は約1~2mくらい。
私の記憶では蜂の数は4、5匹だったと思う。
大群じゃなくてホントによかった・・・2箇所でよかった・・・
もっと刺されていたら、と思うとぞっとする。
人間、やっぱりどこでどうなるか解らないものだよね、毎日大事に生きなきゃダメだよね。
このまま死んだら悔しいので、ビール飲んで痛みをこらえた夜だった・・・(死なない、って言ってるのに)
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その晩、夜中に熱が上がったらしく、寒気がひどくて布団を何枚もかぶって震えていた。
夜中じゅう痛みに耐えた足は、案の定、膝が曲げにくいほど腫れて、
二本足歩行が出来なくなっていた。
やっぱり怖いので会社に連絡し、ストック付きながら翌朝一で病院へ。
皮膚科を案内され、次回から急患でも来るように!!と怒られて、(軽い症状で行くと怒るくせに・・・)
病院で取り扱っている中で最強のステロイド剤を処方された。
(テルモベート軟膏とリンデロンという飲み薬・どちらもステロイド剤)
幸いなのが私はアレルギー体質ではなかったこと。
アレルギー体質でもっと刺されていたら・・・1回目でもどうなっていたか解らなかったらしい。
次回もし刺されたら、1時間以内に病院へ行きなさいと言われた(無理だ・・・)
(お見苦しい写真スイマセン:病院にて)
真っ赤になったもともと太い足はこの後さらに腫れ、足首もなくなり、普通の靴は履けなくなった・・・
刺されて丸3日、足はまだ腫れている・・・痛みは消え、痒くてたまらない。
だがまだ安心は出来ず、蜂窩織炎(ほうかしきえん)のような体内の免疫システムが破壊され、
刺された内側の細胞が腫瘍のような状態にならないとも言い切れないらしい・・・
週末にもう一度病院で診てもらうまで、まだ安心は出来ないのだ
恐るべし蜂の毒!!!
色んな教訓を得た、今回の山歩きとなりました。
教訓:人の歩かない登山道を歩くのは、いろんな意味でやっぱり危険と隣り合わせ。
※ここには私の取った行動の事実を書きましたが、対処法としては全てNGです
もしスズメバチに刺されたら、即、病院に行きましょう。
おしまい。
10/22追記
今朝病院に行ったら脅威の回復力(笑)で腫れも引き、赤みもなくなったので、
もう大丈夫でしょう、とOK頂きました。
ご心配おかけしてスイマセンでした。
尚、抗体検査を行うとしたら2、3週後。
検査結果がアナフィラキシー反応出にくい、となったとしてもショック反応がある場合もあるし、
その逆もある。2回目大丈夫でも4、5回後に反応が出る時もある。
その時になって見ないとわからないので、検査は自由だけど(笑)
刺されないようにすることが一番!
と言われました。参考までに。