2010.8.7(土)~8.8(日)のお話です。
以前から私には絶対無理、と思っていた八ヶ岳の主峰「赤岳」
怖い山には登りたくない、のが本音だけど、いつも自分を甘やかしてばかりも成長がない。
じゃあ、今年こそは挑戦してみよう!と1年前から決めていた8月8日八ヶ岳の日がきた。
幸い天気もよさそうだ。
出来るだけ早く出発したいから朝一の「あずさ」を取り、新宿駅6:30出発。
がなんと!中央本線・藤野~上野原駅間で倒木が発生ということで、新宿駅で立ち往生。
しばらくすると下り方面は大丈夫、と発車したものの途中駅で何度も停車するから嫌な予感がした。
バスの時間に間に合わないと、タクシー代¥5000かかるんだけど・・・
挙句の果て大月駅手前で「今日に限ってこのあずさは小淵沢まで各駅に停車します」
と各駅停車に変更され、各駅でイライラ待たされた乗客たちがわんさか乗り込み、
結局茅野駅8:54に到着のはずが、10:22にやっと茅野駅到着でグッタリ・・・
各駅停車と同じだけ時間かかったんだから、特急料金払い戻しは当然だと思ったら、
120分以上遅れないと払い戻しはしないって(怒)この日は90分遅れだからって!ちょっとひどい~
が、アルピコさんが親切バスの発車時間過ぎても待っていてくれたので、
なんとか11:15、やっと美濃戸登山口到着。
スタートからすったもんだした時、良かったためしがないんだよね・・・・
無事にココに戻ってこれますように・・・美濃戸口9:45スタートの予定が11:45出発。
涼しい、とは言い切れないけど東京の猛暑とは空気が全然違う。
まずは1時間の林道歩きでスタートです。
1時間でも汗びっしょり。「やまのこ村」の水が冷たくて美味しかった
ここで少し栄養補給して、いよいよ南沢へ。今日は「行者小屋」までです。
ああ、久しぶりのいい香り。八ヶ岳らしいコメツガの香りと苔の森を進んでいきます。
美濃戸口から行者小屋までのCTは3時間15分ですが、足が上がらなくてなかなか進みません。
白河原あたりを過ぎてからはほぼ平らな登山道になりましたが、ここからダラダラと長かった。
前方に赤岳が見えてきたときは嬉しかったなぁ。
15:35、約4時間かけてやっと「行者小屋」到着。お昼を用意していなかったのでお腹ペコペコ。
既にテント場は人で一杯!なんとか木陰に(暑かったので)空きを見つけ設置。
準備もそこそこ小屋になだれ込み、テラスで生ビール(¥800)タイム。
テント場の正面には大同心・小同心・横岳・赤岳・中岳・阿弥陀岳・・・
素晴らしい眺めでした!
赤岳展望荘が太陽に反射してキラキラ輝いています。
写真ではお伝えできない大迫力で迫る八ヶ岳オールスターズ、山好きにはたまらない景色でしょう。
が、私は眺めていられなくてテラスの中でビールを飲んでいました。
なぜなら・・・明日あそこを登るのかと思うと怖くて心臓バクバクで見ていられなかったからです
ここに来る前に色んな方のレポとか、こんな親切なルートガイドを見てイメトレしたのですが、
実際見てみると・・・
それに加えこの2週間、暑さに負けて運動もせずダラダラ過ごしたツケが廻って来たのか?
このテント場までの短い距離で、既に足が痛くなりやっとたどり着き疲労困憊だった私。
明日、あそこまで登り、降りてくることが出来るのでしょうか?
”怖い”に加え体調が思わしくなく、不安で一杯になってしまいました。
行者小屋はとてもキレイで快適そう。ビールもジュースもつめたい水もキレイなトイレもある。
夕方はインナーダウンを羽織るほど涼しく、下界の猛暑と比べたら夢のよう。
いつもだったらサイコーとか言ってる筈なのですが・・・みんな楽しそうだけど私は・・・
夕日で空が赤く染まっていく・・・
よし!頑張るぞと決意を胸に、19:30には眠りについたのだけれど・・・
++++++++++++++++++++++++++++++++++++
もともと眠りの浅い私だけど、12:00に目が覚めたら最後、
頭の中が怖い妄想で一杯になってしまい、眠るどころかもう半ノイローゼ(笑)状態に。
地蔵尾根を上がって、文三郎尾根で降りる予定できたのだけれど、
地蔵尾根が怖いのはまあ解るとして、赤岳展望荘から山頂までの尾根が恐怖で妄想炸裂。
あの立山で怖くて冷や汗がダラダラ落ち、足が一歩も前に出なくなった事を思い出して気持ち悪くなる。
そんなに怖いならなんでココにくるの?・・・でもここまで来て登らないのもあまりに悲しすぎる。
あの(私にとって)苦手なタイプの尾根を登らずに山頂に行く為には・・・
真夜中のテントの中で、一人妄想一人作戦タイム。
眠れぬまま予定時間が来て3:00起床。起きぬけのダンナに、
「私ダメ女のままでいい。怖くてあの尾根は歩けない。ピストンコースで行きます。
ダンナは地蔵尾根から来てください、山頂で会いましょう。」
と言う私。
ダンナ「はぁ」
4:00、一度言い出したら聞かない性格を解っているダンナは、
呆れながらも私と一緒に文三郎尾根に向かい歩き出した。
いつもゴメン、ホントごめん、私のせいで歩きたいところを歩けなくて・・・。心の中で謝った。
まだ真っ暗闇の中、ヘッデン頼りに黙々と登った。
アミアミの階段は予想以上に傾斜がきつく、5歩くらい登っては息を整えた。
それでも黙々と登り続けると、横岳方面の空が赤く染まって行くのが見えた。
振り返ると阿弥陀岳の向こうに虹・・・。
なんて綺麗な朝の風景。ちょうど広い場所があったので一息入れ眺めることに。
テント場がもうずいぶん下に見えた。
すると同じ方面に誰も歩いていなかったけど、青年が一人テント装備で上がってきた。
あの荷物じゃ苦しいよね、辛いよね。頑張ってるね。
そんな彼の姿に元気をもらい、私もまた歩き始める。
これから先に出会うであろう高度感への恐怖で、ずっと無言でただひたすら登る。
いよいよ核心部の分岐に差し掛かった。向こうに見える山は何?景色を楽しむ余裕はなかった。
岩を登る、鎖を掴む、登る、そしてまた登る・・・こういう岩の登りは結構好きなんだ(雨じゃなければ)。
絶妙な場所に愛らしいプレートが。思わず笑みがこぼれた。
掴む、登る、梯子・・・、予習したのと同じ風景が出てきたということは・・・
・・・6:03、着いた、ここがあの赤岳のてっぺんなの?・・・
右手に山梨県側の尾根と町を見下ろし、ゆっくりと頂に立つ。
登ってこれたことに感謝し手を合わせた。
朝の幻想的な景色の中、秀麗・富士がくっきりと見えていた。
360度の大展望は、やはり登ってみなければ解らない素晴らしい眺めだった。
向こうには天狗岳、去年立った硫黄岳、ハイキング気分でバテバテになった蓼科山・・・ずっと見えている。
向こう側からしか眺めたことのなかった場所から見ると、こんな風に見えるんだね。
3年前、絶対こっちは無理だと思っていた場所に今立っている。
だけど今日、自分には歩く勇気がなかったこちら側の尾根。
本当はこちらから登って、今までの自分を乗り越えたかったが、やっぱり出来なかった・・・
じゃこっちを降りれば?ってそれは無理(汗)
ここまでで一番怖かったのは南峰と北峰の間だったのだ。
自分の怖いポイントは、狭い尾根歩きや、ふらっとしたら落ちてしまいそうな急斜面だというのがよく解った。
文三郎尾根は手すりや鎖があるので、怖いと思った場所はひとつもありませんでした。
山頂でバンザイ三唱をする団体さんの声、他人事のように遠くに聞きながら、来た道を戻ります。
下りは慎重に。でもルートは岩に囲まれているので高度感はなく、不安もありません。
権現岳へ向かい歩いている人がいて、見ているだけでクラクラ。
途中の斜面には「コマクサ」が咲き残っていました。今年初めてのご対面で嬉しかったな。
この時間になるとゴンゴン登ってくる人で一杯な文三郎尾根です。
廻りに気を使いながら登るのが嫌だったので、早めに出発して正解でした。
正面に見える阿弥陀岳、登るの?と思っただけで寒気がします(笑)
私は多分、険しい尾根歩きが嫌いなんだと思う。
行きは辛かった階段も、下りはありがたい存在。
結局冷や汗ひとつかかないまま、樹林帯へ。登ったんだから降りれる、という安心感でしょうか。
7:30、テント場到着。下りは1時間10分でした。
後になってみれば地蔵尾根からも登れたよね、と思うけど、
超ビビリの性格がそうさせてくれない。高所恐怖症以前の問題らしい・・・。
テントを撤収し、バスの時間に間に合うように来た道を帰ります。
南沢ルートは次回以降の為にとっておくんだ。
ほっとした安堵感からか、下山時、連日寝不足だった分の睡魔に襲われ辛かった・・・
最後の1時間林道歩きは足も痛いし。乗せてって~~な気分でした。
もうろうとしながら歩いてスタート地点美濃戸口到着。
八ヶ岳山荘で汗を流し(¥500)、生ビールでハラペコを満たし、バスに揺られ茅野駅まで戻りました。
乗り越えたかった自分の中の壁、でも乗り越えることが出来なかった。
不甲斐ない自分が悲しくて、赤岳に登った、という達成感がないまま終わった今回のチャレンジ。
楽しかった、という思いもないまま、情けなさと何か忘れ物をしてきたような不思議な気持ちだけが残った。
ブログも書くのどうしようかと?思ったけど、ありのまま記録に残すことにしました。
高所恐怖症に勝つことは出来ず、次への一歩を掴むことも出来なかったけど、
いつか岩にしがみついて咲いているこの花たちを、もう少し楽しめる自分になれるよう、
気持ちだけは少し先に持っていたいな、と思うのでした。
今週末からの夏休みは例年通りダンナの実家へ帰省なので、
私の2010年夏山はコレでおしまい。
これから夏休みの皆さんも、良い休日をお過ごしください~
おしまい。
『自分の怖いポイントは、狭い尾根歩きや、ふらっとしたら落ちてしまいそうな急斜面だというのがよく解った。』
これには私も同感です。昨年クサリがしっかり付けられている権現岳の登りでも心臓バクバクでしたから。あ、一応、私は男なんですけどね。
このレポを参考にして文三郎尾根から赤岳を目指してみたくなりました。
テントの中で赤岳を登る朝を迎えた時、予定より1時間も早く起きて
携帯の流れるニュースで「荒船山、身元不明の遺体は・・・」
を見た時
『あぁ・・・もしかしたら次の遭難ニュースはワタシかも・・・』
なんて想像しまくって・・・
尾根から滑落したら・・・梯子から足を踏み外したら・・・
って、心臓がバクバクするほど妄想してたのを思い出します。
行者小屋から発つ時は人が見てもわかるんじゃないか?
ってな位、心臓が波打ってたもん。
人によって「怖い」と感じる場所が違うからなんとも言えないけど
地蔵尾根は登ってるだけなら、下を見なければ怖くなかった。
むしろ、地蔵の頭に着いた時、尾根の幅の狭さと
赤岳展望荘から頂上までのザレてる斜面。
この2箇所はワタシが1番ビビッてた場所でした。
地蔵尾根も文三郎も歩いている両側がスパッと切れてる訳 じゃないし
たぶん・・・いっちゃったら、地蔵尾根は行けたと思うな。
でも、険しい場所を明け方に登る気はしないけど絶対怖い・・・
高所恐怖症って、妄想で怖くなるんだよね~
この妄想さえなければ恐らくどこでも行けちゃうと思うの。
でも、一旦妄想したらもうだめで・・・
気持ちの持ちようなんだよね、きっと。
身体や心が疲れてない時にならなんでもないかも?
またチャレンジしてね^^
ワタシで行けたんだもん、絶対イケル!
そーだ!高所恐怖症克服部なんだもん
頑張ろうねo(-`д´- 。)ヵ゛ンハ゛レ
地蔵尾根、一般ルートですし、そんなに怖い所ではまったく無かったと思います。
赤岳周辺だと横岳の付近やキレットの長い梯子は高度感がありますけど。
まあ、いずれにしても無理に通る必要のないルートですね。楽しめるルートで歩くのが一番ではないでしょうか。
ちなみに自分は文三郎尾根は結構怖いです。
特に下りは、どうもあの金網で足がひっかかってそのまま転落するのではないかと妄想してしまいます。(苦笑)
チシマギキョウがいいですね。
今年はまだ見てないなぁ。
頂上から手を振って頂いたのに存在もしていなくて済みませんでしたm(__)m
僕の夏山は終わりました・・・
赤岳頂上からのメール嬉しかったです。
仲間が喜びの瞬間を伝えてくれるのはとても。
高所恐怖症のcyu2さんがよく克服ですね。
スキーと一緒で継続と目標に向かう気持ちがあれば越えられるのですよね。
僕も色んな意味で励みになります!
虹が架かってる写真がとても素敵です。
オリジナルサイズを頂けませんか?
そう言えば僕が欲しいと思ってるコンデジがもうすぐ発売なのです♪
硫黄岳断念の後は美濃戸口を偵察してきました!
その後は・・・気球に乗ったんです。
ご一緒にいかが(笑)
さて、今日は空とプールです!!
大好きな八ヶ岳。
おつかれさまでした。
高所恐怖症とのこと・・・
どちらかといえば高所大好き症の自分には
よく分からないのですが、
よくがんばりましたね♪
何より、ご主人の優しさに感心しています。
そして、そんなご主人に対する
感謝の気持ちもステキです。
また、あちこち歩いて
自信がついてきたらチャレンジしてください。
俺は15年ほど前、文三郎の登りにバテバテで
3年前はその下りにこわくてドキドキでした。
その意味でも、文三郎をピストンした方が
勇者だと思います。
とうとう赤岳行ってきたんですね~凄いよ!
高所恐怖症の私、共感するところばかり(笑)
私はまだ赤岳未踏だもん、怖そうで行けないってのが
本音だけど、ホントは今年行けたらいいなって思ってって・・・
cyu2さんの頑張りに勇気をもらったよ~!
いいじゃない、どの尾根でも・・・
無理しなくてもいいじゃんって思う・・・
cyu2さんはcyu2さんの道で頂上に登ればいいんだよ~♪
って、自分にも言ってるんだけど(^_-)-☆
でも、素晴らしい景色だね~やっぱり私も見てみたいな。
こんな素敵な時間に山頂にいることができて最高ですね。
富士山も見えて凄く綺麗~cyu2さんへのご褒美だねん。
それにしても旦那さま、優しいね❤
ウチも旦那は高いところが大好きだからなぁ。
時々はもう私はいいよって自分に対して怒りに似た気持ちになることも
よくある私。我慢させてばかりなんだなぁ・・・。
そうそう、テント!旦那がウチのは重いと言い出したの。
私は持たないから何にも言えなんだけどね。
もう一個軽いの買えばもう少しテント泊する気になるかなぁ。
混んだ小屋に泊るのは嫌なんだもん。
テント担げるようになりたいです。cyu2さんみたいに。
お盆は旦那さんの実家ですかぁ。あ、私もです!
我が家の夏山はそのあとの週です。
メールしようしようと思いながら伸び伸びになってた~今日しますね。
出かける前にゴロゴロしようかなって思ってたけど、
cyu2さんのレポ見たらコメせずにはいられなかったです。
今日も少し涼しくっていいですね。
夏バテしないようにしましょう(*^_^*)
1年間温めた大冒険、本当にお疲れ様でした
景色が良いのと怖いのって紙一重なんですよね
無知なアタシ、赤岳についての情報・・・怖い所だって知りました。大爆
自分の性格上、温めると余計怖さが増す気がするのでもしそんな日が来たら勢いで行くことにします
それにしても計画性のない我が家、今週末の冒険を今から企画します・・・無事行けるのでしょうか
なんだか、なつかしく写真を拝見しました<(_ _)>
赤岳、やっぱり一度は・・・ですよね^^
機会があったら、冬のピークもご一緒しましょうね(@^^)/~~
富士山画像、ぺったんしに行こうと思っていたのに(笑)
>アブナイルートを辿るよりも、とにかくピークを踏めばイイじゃないですか
そうなんですよね。危ないのはルートじゃなくてこの私、なんですが^_^;
身の丈にあったルート選択、ということで。
>昨年クサリがしっかり付けられている権現岳の登りでも心臓バクバク
すごい嬉しいです♪同じように感じる方がいると思うと。
しかし。のぞむさんのレポはいつも楽しいですね(笑)
早速権現岳レポみにいっちゃいましたよ。
で、多分ですが、権現岳よりこの文三郎尾根のほうが
絶対怖くないはずです。
日本で1位2位を争うほどのビビリ高所恐怖症の私が言うのですから・・・
間違いありません!行ってしまいましょう!!
もちろんかわみんさんのレポも拝見してましたよ。
去年、ぽてと。さんが行かれたのを見た時から、
今年行こうと決めていました。
ずいぶん参考になったはずなのですが、直前で逃げ出す私はやっぱり相当ヘタレです
ガッツポーズで締めたかったんだけどなぁ。
>むしろ、地蔵の頭に着いた時、尾根の幅の狭さと
赤岳展望荘から頂上までのザレてる斜面。
この2箇所はワタシが1番ビビッてた場所でした。
まさにその部分が妄想炸裂だったのです。
地蔵尾根は大丈夫だと私も思ったのですが・・・
とにかく一旦怖いスイッチが入ると、恐怖のあまり止まっていても顎からしたたるほどの冷や汗をかくの・・・私。
病気だね、コリャ。
なにか精神的なところから直さないとだめそうですね。
でも多分もう治らない・・・
なのでせめてこれ以上老化で足腰が弱くならないように、
今度こそマジメに筋トレしようと誓いました。
酒ばっかり飲みすぎなんだ・・・私
あ、今回は下見だった、ってことにしてね(笑)