今日の朝日新聞夕刊1面4版(トップ記事ではありません)に、驚く記事が掲載されていました。「自動車取得税 15年廃止 政権方針 重量税、再び特定財源化」という見出しです。
私が驚いたのは、自動車取得税の廃止ではありません。これはむしろ、消費税率の引き上げによる廃止が見込まれるものでした。自動車業界対都道府県(課税主体)という構図は存在していましたが、自動車取得税は、本来の性質はともあれ、機能としては消費税または地方消費税と変わらないような側面を持っていたからです。この税が道路特定財源であった時にはまだ存在意義があったともいえますが、一般財源化されれば消費税との二重課税と理解されても不思議ではないのです。
記事を読み進めて驚いたのが、自動車重量税が再び道路特定財源化されるという方針が打ち出されたことです。今月24日(この記事を書いている時点では明日の話ということになります)に平成25年度税制改正大綱が決定されますが、2014年度に消費税率が引き上げられるとともに自動車取得税の減税が進められ、2015年度に再び消費税率が引き上げられるとともに自動車取得税は廃止され、自動車重量税も減税されるとともに特定財源化される、という方針が盛り込まれることとなるようです。
2009年に道路特定財源は一般財源に変えられましたが、特定財源の復活が予定されたこととなります。まさに、時計の針を逆に進めたかのような話です。もっとも、それは自動車重量税に限りません。経済財政諮問会議などにも現われているように感じられます。それは私だけのことでしょうか。
安倍政権は「三本の矢」政策を進めています。その中で特に目立つのが公共事業の強化です。どれだけの景気浮揚効果があるのかという疑問が多くなり、その結果としてムダばかりが指摘されるようになり、「コンクリートから人へ」というスローガンとともに民主党が政権をとったのは2009年秋のことです。しかし、民主党政権も時間が進むと「コンクリートから人へ」ではなく「人からコンクリートへ」という方向性を取るようになりました。自民・公明連立政権が復活してからは、この方向性がより明確になっています。