ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

自動車重量税を再び道路特定財源へ?

2013年01月23日 22時39分00秒 | 国際・政治

 今日の朝日新聞夕刊1面4版(トップ記事ではありません)に、驚く記事が掲載されていました。「自動車取得税 15年廃止  政権方針  重量税、再び特定財源化」という見出しです。

 私が驚いたのは、自動車取得税の廃止ではありません。これはむしろ、消費税率の引き上げによる廃止が見込まれるものでした。自動車業界対都道府県(課税主体)という構図は存在していましたが、自動車取得税は、本来の性質はともあれ、機能としては消費税または地方消費税と変わらないような側面を持っていたからです。この税が道路特定財源であった時にはまだ存在意義があったともいえますが、一般財源化されれば消費税との二重課税と理解されても不思議ではないのです。

 記事を読み進めて驚いたのが、自動車重量税が再び道路特定財源化されるという方針が打ち出されたことです。今月24日(この記事を書いている時点では明日の話ということになります)に平成25年度税制改正大綱が決定されますが、2014年度に消費税率が引き上げられるとともに自動車取得税の減税が進められ、2015年度に再び消費税率が引き上げられるとともに自動車取得税は廃止され、自動車重量税も減税されるとともに特定財源化される、という方針が盛り込まれることとなるようです。

 2009年に道路特定財源は一般財源に変えられましたが、特定財源の復活が予定されたこととなります。まさに、時計の針を逆に進めたかのような話です。もっとも、それは自動車重量税に限りません。経済財政諮問会議などにも現われているように感じられます。それは私だけのことでしょうか。

 安倍政権は「三本の矢」政策を進めています。その中で特に目立つのが公共事業の強化です。どれだけの景気浮揚効果があるのかという疑問が多くなり、その結果としてムダばかりが指摘されるようになり、「コンクリートから人へ」というスローガンとともに民主党が政権をとったのは2009年秋のことです。しかし、民主党政権も時間が進むと「コンクリートから人へ」ではなく「人からコンクリートへ」という方向性を取るようになりました。自民・公明連立政権が復活してからは、この方向性がより明確になっています。


コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 軽減税率見送りは当たり前、... | トップ | 岳南鉄道が鉄道事業を分割 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
 やはり、1月24日付の朝日新聞朝刊1面14版では... (川崎高津公法研究室長)
2013-01-24 10:04:21
 やはり、1月24日付の朝日新聞朝刊1面14版では「道路特定財源、復活へ 自民税調方針 車重量税を転換」としてトップで報じられています。また、関連記事が3面にも掲載されています。
返信する
 1月25日(金)付の朝日新聞朝刊1面14版に「企... (川崎高津公法研究室長)
2013-01-25 09:32:35
 やはり、特定財源の復活に対しては自民党内でも異論が出たようで、結局、税制改正大綱には自動車重量税の特定財源化は盛り込まれなかったようです。しかし、問題は、名目を一般財源のままとしても、実質的に道路特定財源のような機能を持たされる可能性が残っていることです。
返信する

コメントを投稿

国際・政治」カテゴリの最新記事