ひろば 川崎高津公法研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

散歩サークル なかなか興味深いものではないでしょうか?

2013年08月14日 22時57分29秒 | 社会・経済

 今月13日付の朝日新聞夕刊11面4版に掲載されていた記事に関する話です。

 「散歩サークル 増加中 コンパもなし 学生たちは、ただゆるゆる歩く 『実力差なし、誰でも楽に』」という見出しに目が届き、切り抜いておきました。

 この記事を書いた記者さんがどのように思われたのかはわかりませんが、私は、学生時代の風潮を重ね合わせ、「散歩サークル」の存在をうらやましく思いました。コンパだの一気飲みだのというのが当たり前だった私の学生時代に比べれば、はるかに健全ですし、好ましいのではないかと思うのです。

 1988年から1992年までが、私の学部生時代です。すぐにおわかりだと思うのですが、バブル経済期です。あの頃は、金だの酒だのというのが当たり前だったのでした。今思い出しても、軽かったという印象です。当時、反発心ばかりを覚えていました。それほど飲めない私ですし、急に大量のアルコール分を摂取したらどうなるのかということくらい、飲まなくてもわかっていました。しかし、当時、大学祭などでは一気飲みが当たり前で、それをしなければ「和を乱す」などと言われ、嫌われたのです。勿論、私は、命のほうが大事ですので、嫌われるほうを選びました。

 そんな我々の世代が中年になっているのですから、今の20代や30代からすれば「どうしておれらの上司だの先輩だのは、薀蓄ばかり垂れやがって、馬鹿で使えねえ奴らばかりなんだ?」というところではないでしょうか。まあ、これは勝手な推測です。「別に酒は飲めなくてもよい」、「飲むより飲まないほうが偉い」などと、私はゼミ生によく言います。

 酒を飲むこともなく、夜に動くこともなく、街中を歩く。いいではないですか? 記事にはコストパフォーマンスだの、労力云々などと書かれていますが、私が思うに、やはり楽しいから散歩をするのです。そうでなければ、例えばテレビ朝日で好評だった「ちぃ散歩」が長く続いたはずがありません。地井武男さんが亡くなられて、加山雄三さんに変わり、番組名も変わりましたが、続いています。それよりかなり前から、日本テレビでは「途中下車の旅」という番組もやっています。

 たしか、故宮脇俊三氏も、遠くへ行くばかりが旅ではない、という趣旨のことを書かれていました。「時刻表二万キロ」や「最長片道切符の旅」などを遺された鉄道旅行の大家の言葉だけに、重みがあります。

 学部生時代、私は友人と少し長めの散歩を何度かやりました。桜新町駅から自由が丘駅まで、などというようなことです。おそらく今の「散歩サークル」と違うのは、目的地を全く決めなかったことでした。歩いているうちにどこか知っている所に着けばよいのです。同じようなことを一人でもやりました。大阪の難波、心斎橋筋、船場、谷町筋あたりを歩いたり、福岡市の天神から警固、六本松、鳥飼を経由して西新まで歩いたりもしています。

 散歩と言えば思い出すのが、映画評論家にしてジャズ評論家、英米文学やフランス文学にも詳しかった、故植草甚一氏です。1960年代から70年代にかけて、植草氏の散歩と雑学というスタイルは、当時の若者を魅了しました。実は私もその影響を受けた一人です。高校時代、六本木の書店で、晶文社から刊行された全集「植草甚一スクラップ・ブック」の存在を知り、ジャズ系だけは全て買い集めました。その月報には、「植草甚一日記」が掲載されていました。また、同名の書籍もあります。こういうものを読んで、世田谷区の三軒茶屋、三宿、池尻、上町、経堂などへ行ったりしましたし、古本屋周りなども本格化したのです。


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