世界一周タビスト、かじえいせいの『旅が人生の大切なことを教えてくれた』 

世界一周、2度の離婚、事業の失敗、大地震を乗り越え、コロナ禍でもしぶとく生き抜く『老春時代』の処世術

ホームレス part 3(後編)

2007年01月30日 | 
行きつけのショッピングモール脇にある教会に入った。

薄暗い通路を奥へと進む。向こうから人が歩いてくる。
軽く挨拶をする。
細身の長身で、髭面。だぶだぶのセーター姿で、見るからに怪しい。
(向こうもそう思ったに違いない)

あとから聞けば、ホームレスだと言う。
ボランティア関係者に声をかけられやってきたらしい。
顔を合わせても、言葉や態度に覇気がない。

時々教会の清掃などをして、食べ物をもらっているようだ。
教会裏の軒先で寝ている。
気の毒な気がしていた。

帰国する前の日の夜、ミサを覗いて見た。

大勢の人に囲まれ、祝福の祈りを受ける彼の姿があった。
祈りのあと、彼の表情、態度が一変していた。

「Hi. 明日帰るんだって?もっといろよ」

彼のほうから声をかけてきた。
ろうそくの炎の灯りに、彼の目がキラキラと輝いている。

「仕事が決まったんだ」
「本当かい? おめでとう」

数ヶ月間、この日が来るのを待っていたらしい。
ボランティアの人たちが奔走して探してくれた、と語ってくれた。
希望の灯火を失わなかった彼の根性を称えたい。

「Have a good trip. See you again」

明るく手を振って送ってくれた。Good Luck,Guy!


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