カンボジア経済

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カンボジアでも金融機関に流動性カバレッジ比率規制を導入

2016年01月19日 | 経済
 12月23日、中央銀行であるカンボジア国立銀行(NBC)は、流動性カバレッジ比率に関する政令を施行しました。流動性カバレッジ比率規制は、国際的な銀行の健全性を維持するための規制である「バーゼルⅢ」で導入されたもので、適格流動資産(現金、国債等の高品質流動資産)の、30日間のストレス期間に必要となる流動性に対する比率を一定以上に保つことを求める規制です。導入の背景は、リーマン・ショックによる世界的な金融危機では、世界の各大手銀行で自己資本そのものは潤沢にあったものの、短期的な流動性の不足によりさまざまな障害が起きたことにあります。この再発を防ぐために、金融危機等により資金流出超が30日間続いても、それに対応し、かつ融資等の他の業務を円滑に遂行できるよう、現金や格付けの高い国債、中央銀行への預金等、確実に現金化できる高品質流動性資産を一定以上保有することを義務付けたものです。バーゼルⅢでは、国際的な銀行に対し、2015年1月1日までに、この比率を60%とし、その後段階的に引き上げて2019年の1月1日までに100%以上とすることを求めています。
 NBCでは、カンボジアでもこの規制を導入することとし、バーゼルⅢよりは遅れるものの、2016年9月1日までに流動性カバレッジ比率を60%とし、2017年9月1日70%、2018年9月1日80%、2019年6月1日90%と順次引き上げ、2020年1月1日までに100%以上とすると定めています。対象となる金融機関は、預金を受け入れている銀行及び機関(マイクロファイナンス機関等)となります。
 カンボジアでは、銀行の貸出、預金ともに急速に増加しており、中央銀行では銀行監督を強化・拡充しています。流動性カバレッジ比率規制は、金融セクターの金融危機等への短期的対応力を向上させる役割があり、その着実な履行が期待されます。

NBCの政令「Prakas on Liquidity Coverage Ratio」
http://www.nbc.org.kh/download_files/legislation/prakas_eng/5759prakas-liquidity-coverage-ratio-english.pdf


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