カンボジア経済

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ILOカンボジア縫製業報告書第6号

2017年06月02日 | 経済
 5月29日、国際労働機関(ILO)は、カンボジア縫製業・製靴業報告第6号(2017年5月)を発行しました。この報告は、カンボジアの縫製業の現状を、豊富な統計と現地情報を基に分析したものです。
 2016年の縫製品(靴も含む)の輸出額は、対前年比7.2%増の73億2200万ドル(2015年68億2700万ドル)に達しました。これは、カンボジアの輸出の78%(同81%)を占めています。輸出先は、EU向けが最大で40%(同43%)、米国向け25%(同29%)、その他35%(同28%)となっています。その他の中では、日本9%(同7.7%)、カナダ8.0%(同7.5%)、中国2.3%(同1.8%)等が増加傾向にあります。縫製セクターへの海外直接投資は、56件、2億4800万ドル(対前年比34%減)に留まりました。これで4年連続の減少となります。投資している主な国は、中国36%、香港17%、台湾15%等で、日本は2%となっています。工場数も減少しており、58工場増、131工場減で、2016年末は626工場(2015年699工場)となっています。被雇用者数も、2.9%減の60万5129人(2015年62万2943人)となりました。最低賃金の上昇もあって、労働者の平均所得も上昇しつつあり、2014年145ドル、2015年175ドル、2016年195ドルとなっています。
 今回の報告では、カンボジア縫製業の下請けの問題を分析しています。上記の通り、輸出は7.2%増と好調であるにもかかわらず、工場数は10.4%減少、被雇用者数は2.9%減少しています。この理由について、ILOでは、未登録下請け工場での生産が伸びていることが主要な原因の一つであると分析しています。この状況につき、ILOは、「労働法や最低賃金等の規制から逃れるために下請けが利用されているとすれば問題である」と指摘しています。下請け工場は、住宅や倉庫等で運営されていたり、工場に社名が表示されていない等のケースもあるとしています。
(写真は、プノンペン近郊の縫製工場。本文とは直接関係ありません。)

国際労働機関の報告(Cambodian Garment and Footwear Sector Bulletin)
http://ilo.org/asia/media-centre/news/WCMS_555470/lang--en/index.htm



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