カンボジア経済

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アジア動向年報2024 フン・セン首相の辞任と世襲内閣の発足

2024年07月08日 | 経済
 5月27日、アジア経済研究所は、毎年発行しているアジア各国の動向についての報告書である「アジア動向年報」の2024年版を公表しました。カンボジアを含むアジア23か国・地域の2023年の動向について、国別に政治、経済、対外関係にわたって分析されています。また、「2023年のアジア 混沌とする世界、底堅いアジア」、「アメリカとアジア 二つの戦争と「凪」のなかの東アジア」を取り上げ、アジア情勢の総合的な分析も行われています。
 カンボジアについては、アジア経済研究所の新谷春乃先生と山田裕史先生が執筆されています。国内政治については、「最大野党・キャンドルライト党を排除する形で行われた7月の第7期国民議会議員選挙で、与党・カンボジア人民党が圧勝した。最大野党の排除は、国政レベルでは2018年総選挙から2回連続となり、実質的な政党間競争がない選挙が完全に定着した。安定的な世襲を実現する機が熟したと判断したフン・セン首相は辞任を決断し、フン・マネット首相を筆頭に人民党高級幹部の子どもたちを中心とする「世襲内閣」が8月に発足した。閣僚ポストは子世代に移
譲されたが、フン・センら親世代は党最高指導部にとどまり実権を維持している。」と分析しています。
 国内経済については、「縫製部門以外の製造業と回復基調の観光業が成長に寄与し、実質国内総生産(GDP)成長率は前年から微増の5.5%であった。新型コロナウイルス禍以降伸び悩む投資では、国家計画に盛り込まれた運輸や電力に関わる大型事業が投資総額を下支えした。新内閣は最上位の開発戦略である第1次五角形戦略を発表し、前内閣から継承した2030年までに上位中所得国、2050年までに高所得国となる目標を掲げ、社会福祉・農業振興を志向する6つの優先政策を始動させた。」としています。
 2024年の課題としては、政治面では、一部省内での新旧幹部の対立を指摘する報道があるなか、若手閣僚たちが省庁をいかに舵取りし、具体的な改革の成果を生み出せるかが課題となるしています。経済では、政府は2024年の実質 GDP 成長率を6.4%と予想しているが、欧米での需要低迷によって縫製業が伸び悩むなか、非縫製部門の製造業と観光業が引き続き成長をけん引できるかが注視されるとしています。対外関係では、アメリカと EU との関係改善が課題となると見ています。中国の援助で進められているリアム海軍基地の拡張は2024年中に完工予定であり、アメリカとの関係改善にどのような影響を与えるかが注目されると指摘しました。
 この他、重要日誌、参考資料、主要統計等のデータも満載です。全文がネットで公開されていますので、ぜひご覧ください。

アジア動向年報2024
https://www.ide.go.jp/Japanese/Publish/Books/Doko/2024.html


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