カンボジア経済

カンボジアの経済について、お堅い数字の話から、グルメ情報といったやわらかい話まで、ビジネス関係の方にお役に立つブログです

AMRO カンボジアとの年次協議結果2021を発表 経済回復に向けて

2021年12月02日 | 経済
 11月22日、ASEAN+3マクロ経済調査事務局(ASEAN+3 Macroeconomic Research Office:AMRO)は、2021年4月19日~5月4日にカンボジアで実施した年次協議の結果を発表しました。AMROは、この地域の経済・金融の監視・分析を行うとともに、ASEAN10か国と日本、中国、韓国による外貨融通の取り決め「チェンマイ・イニシアティブ(CMIM)」の実施を支援するために設立された国際機関です。
 GDP成長率については、2020年マイナス3.1%から2021年2.8%へと緩やかに回復すると見ています。2022年には6.8%と高成長に回帰するとしています。海外での新型コロナの収束傾向に支えられて主要海外市場の需要が回復傾向にあり、カンボジアからの輸出が堅調に推移していることが評価されています。物価上昇率は、2021年3.3%、2022年2.3%と安定的と見ています。対外収支は、経常収支の赤字は2021年に対GDP比で24.2%まで拡大するものの、海外直接投資等で概ね埋め合わされて、総合収支は12億ドル程度の赤字に留まると予測しています。外貨準備は、2021年末で201億ドル(輸入の9.1か月分)と非常に安定的なレベルにあり問題ないと分析しています。財政収支は、新型コロナ対策等で赤字となっており、対GDP比で2021年5.0%、2022年5.6%と見ています。金融セクターでは、中央銀行の金融緩和策と新型コロナで困難な状況にある借入人に対する貸付条件変更が奏功したとしています。
 リスクとしては、新型コロナ感染再拡大があげられています。国内だけでなく海外で拡大した場合でも、輸出市場や観光に影響すると指摘しています。また、貸付条件の変更措置により、潜在的な不良債権が拡大している可能性もあるとしています。
 今後の課題としては、国内産業の育成と優先分野への外資誘致による経済多角化、インフラ拡充、熟練労働者の育成等による競争力強化が必要としています。そのためにも、新型コロナで失業した労働者を今後発展が見込まれる分野へシフトさせていくことや、財政支出を短期的救済策から長期的経済回復策へと順次シフトしていくことが必要と提言しています。
 AMROとCMIMは、アジア通貨危機の際の国際通貨基金(IMF)の対応が失敗続きであったために、日本が主導して設立したアジア版IMFです。2016年の設立協定発効以降、活動を本格化しており、アジアの視点に立った経済分析・監視を実施していくことが期待されます。
(写真は、プノンペン駅前の高層ビル群)

AMROの新聞発表(英文です)
https://www.amro-asia.org/amros-2021-annual-consultation-report-on-cambodia/


↓にほんブログ村のランキングに参加しています。よろしければクリックしてください↓
にほんブログ村 海外生活ブログ カンボジア情報へにほんブログ村


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ラナリット殿下 ご逝去 | トップ | 日本・カンボジア首脳テレビ会談 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

経済」カテゴリの最新記事