広島県のJR呉線の呉―安芸阿賀間にある呉トンネル(全長約2・6キロ)について、読者から「以前はトンネルに入ると列車内の騒音がすごかったが、最近改善された気がする」との情報が寄せられた。駅員もよく知らず、JRの公式サイトで情報を探しても見つからないという。確かに車内アナウンスが全く聞こえないほどの騒音がし、謎に思っていた。何が原因で、どんな対策をしたのだろうか。調べてみた。
まず、広行きの列車に乗り、現状を確かめた。呉駅を出発して約1分後、トンネルに入ると、気になる音はなくなっていた。 以前は、トンネルの中間辺りで「キー、キー」と金属が摩擦するような音がしばらく列車内に響き、イヤホンで聴いていた音楽もかき消された。呉線をよく利用するという寺井彰浩さん(58)=広島県坂町=は「音が本当に気になっていたが、最近は快適」と話す。
JR西日本中国統括本部(広島市東区)の施設部課長代理の原田祐樹さん(37)は「レールの上面を削ると静かになった」と説明。レールは経年劣化で上面に凸凹ができ、騒音はこの凸凹と車輪が摩擦して発生していたという。JRは昨年11月上旬、専用の「レール削正車」で上面を平均約1・3ミリ削ってならした。 修正したのはトンネル内の約1・1キロの区間。この区間の線路は砂利や枕木のない構造で騒音や振動が大きくなる傾向があった。作業後に列車の運転台で音を測定したところ、修正前に比べ約1割数値が低くなった。 騒音がなくなったことは喜ばしいことだ。
でも「なぜ、最近まで修正されなかったのか」という点が気になった。
同本部は数年前から騒音を把握していたという。苦情も寄せられていたが、原田さんは「当初は原因が分からなかった」と明かす。
線路の保守管理を担う同本部三原保線区がレール全体のゆがみを直したりレールをコンクリートの地面につなぎ留める部品を交換したり、試行錯誤を繰り返したが、なかなか原因を特定できなかったという。
レール削正車が同本部内に2台しかなく、山陽線など運行本数の多い区間を優先するため手配に時間を要したことも、解決が遅れた一因となった。作業責任者の同保線区の寺地悠紀さん(36)は「手探りの作業で苦労したが、乗客からの反響を聞いてほっとしている」と顔をほころばせた。
感想;
あきらめなかったのが改善につながったと思いました。
ただ記事として残念なのは、なぜ「レールを削る」手段を採用しようと思ったかの情報がないのがとても残念です。
『仮説思考』内田和成著に原因が分からないときは、仮説を立てて検証するが説明されています。
なかなか原因究明は難しいので、仮説を立てて検証する。今回なら、「レールの凸凹が音の発生」と仮説を立て、だから削る。やってみたら正解だったとなります。
成功しなければ、仮説が間違っていたので、次の仮説を立てて検証するのです。
削るとの仮説はどのようにして生まれたのかとても知りたく思いました。
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