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『免疫と「病」の科学 万病のもと「慢性炎症」とは何か』宮坂昌之/定岡恵共著(2018年12月20日発行) ”貝原益軒『養生訓』が温故知新”

2024-11-05 19:04:04 | 本の紹介
・近年の最大の発見は、炎症が起きるときには、白血球だけではなく、全身の細胞が反応して炎症反応が進んで行くということと、病原体のような体外から侵入してくる異物だけでなく、コレステロールや尿酸の結晶など、体内に溜まってくる生体由来の成分も炎症を起こすということです。そして、このような過程の中で、炎症を起こす物質の種類や量によっては、通常は一過性に収まるはずの炎症反応が長引き、さらには体内のブレーキ機構などが破綻することによってドミノ倒し的な連続的現象が起こり、「慢性炎症」という状態に至ることがわかってきたのです。

・「慢性炎症」が、近年の研究により、ありとあらゆる疾患に関与することがわかってきたからです。「慢性炎症」は、それ自身は症状が比較的軽いために見つかりにくいのですが、次第に進んで行くとともに、がん、糖尿病、動脈硬化やアルツハイマー病などさまざまな恐ろしい病気の原因となり、これらの病気を悪化させるのです。

・ルポール(発赤)、トゥモール(膨張)、カロール(熱感)、ドロール(疼痛)は語尾が揃っているので覚えやすく、医学部の学生たちはこれを「ケルススの四徴候」として記憶し、これが四つ揃えばすなわち炎症である。

・炎症というのは、からだの中で起きている異常状態に対する正常な応答=防御反応です。

・炎症が続いた組織では細胞が死に始め、そのために組織の微細構造が壊れ、そこに周囲の結合組織から遷移成分が入り込んできて組織の柔軟性が失われ、硬くなります。これが繊維化とよばれる現象です。つまり正常な細胞が次第に減って繊維成分に置き換えられていってしまうのです。こうなると組織の機能は次第に低下し、元に戻りにくくなってしまいます。このようなことが肝臓で起こると肝硬変になります。

・アメリカで約80万人の子供たちを調べた最近の調査で興味深い報告があがっています。生後6か月以内に抗生物質投与を受けた子供のアレルギー発症率は投与を受けなかった子供より4割ぐらい高かったのです。抗生物質投与により、炎症を抑える良い細菌が減ったり、消えてしまったりした可能性が考えられます。

・覚えておいていただきたいのは、炎症巣には炎症の種類によって異なる種類の白血球が存在し、炎症における主役はこれまでもぱら白血球であると思われてきたのですが、組織にもともと棲み着いている細胞や細菌なども炎症の発症、進展、終息などに大事な影響を与えるということです。
 それからもうひとつ覚えておいていただきたいのは、われわれのからだの防御システムは自然免疫系と獲得免疫系という二つのシステムの組み合わせからなっているということです。比較的ゆるやかな認識をする自然免疫系が先に働き、自然免疫系だけで異物を排除できないと、より正確な反応をする獲得免疫系が働き出します。

・ヒトのCTLA-4の働きを止める抗体医薬イビリムマブを世界発の免疫活性化医薬として承認しました。現在はこの抗体医薬は種々のがんに対する治療薬として使われています。

・話は脱線しますが、昔、免疫学の大家の某先生が「路上生活者にはアトピーが少ない。それはお風呂に入る回数が少なく、皮膚が傷つかないから。一方、きれい好きのお母さんの子にアトピーが多く、それは皮膚をごしごしこすり過ぎてアレルゲンが入りやすくなるから」などと言っておられましたが、この説の真偽はさておき、確かに皮膚をこすりすぎるとバリアとして能力が減るでしょうね。実際、アトピー性皮膚炎の患者では皮膚を傷つかないようにするおおと保湿が大事といわれています。

・この他にも同様な報告がいくつもあり、「衛生仮説」すなわち「生育期に病原体にさらされるとアレルギーになりにくくなる(逆にあまり環境がきれいすぎるとアレルギーになりやすくなる)」という説が広く流布するようになってきたのです。

・炎症の慢性化防止にはまず健康習慣に気をつけることがいちばんです。正しい生活習慣が、慢性炎症を起点とする生活習慣病を寄せつけないために、もっとも大事なことなのです。

・貝原益軒『養生訓』
「健康を守るうえでもっとも大事なのは心を穏やかにして平常心を保つことである。睡眠はとりすぎると頭の回転、血液の循環が悪くなる。食後する寝ると消化が悪くなり、元気が出なくなる。食事も酒もほどほどが良く、色欲もコントロールしたほうが良い。どちらも度を越すと、いくら栄養剤など飲んでも効果がない。寒すぎず暖か過ぎずの環境の中で節度ある生活をして、食後は適度にからだを動かすのが良い。健康なときの不安からの心がけが大事であって、病気になってから薬や鍼灸に頼るのではいけない。予防が大事である」

・マウスに強い社会的ストレスを与えると脳に炎症反応が起こり、その結果、うつ病様症状がもたらされることがわかっています。したがって、ストレスはからだのさまざまな場所に働くのです。いまさら言うまでもありませんが、やはりストレスは健康の最大の敵なのです。

・国立がん研究センターでは、「科学的根拠に根ざしたがん予防ガイドライン『日本人のめたのガン予防踏緒』」を示し、その中で、「五つの健康習慣を実践することで、がんになる確率を低くしていくことが可能です」ご教育的キャンペーンをしています。
 ・禁煙する
 ・節酒する
 ・身体を動かす
 ・適正体重を維持する
 ・食生活を見直す

BMIの値と死亡リスク
 少し太っている方が長生きしているようです。

感想
 この本を読むとほとんどの病気が免疫関係の破綻による疾患だということです。
特に”慢性炎症”が大きな問題であることがわかりました。

 人は微生物とも良い関係を持ちながら暮らしているようです。
腸内細菌が免疫にも関係していることが言われています。
ある本に、大腸菌は悪者と思われているが、大腸菌よりより病原性の高い細菌が入って来ると、身体に良いと言われている乳酸菌やビフィズス菌はすぐに負けてしまうようです。ところが大腸菌が戦ってくれるそうです。

 大きなストレスがダメージになるようです。
”心穏やかに”をこのストレス社会で保つかがキーなのでしょう。
それには笑いや運動も大きいのでしょう。

 薬も開発が進んでいますが、まだまだ慢性炎症の薬はありません。
防ぐのは『養生訓』で書かれたことが今も大切だということでした。

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