英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『臨場』 第8話「黒星」

2009-06-04 12:14:26 | ドラマ・映画
「惨めなものね。
 あなた、この15年間、何やって生きてきたの?
 家族に捨てられて、
 こんな古ぼけたアパートに暮らして、
 人の亭主、寝取って、
 あなたの人生って何?」
「いいの、あたしはこれで。
 このペンダント(15年前、彼からプレゼントされたもの)がある限り、
 私は生きていける」

そのペンダントを引きちぎり、
「あなた、15年間もこんなものにすがって生きてきたの?
 これからもそうやって生きていくの?
 へえ、たいしたもんね。
 だからあなたには何もないのよ。
 あなたなんか、
 この寂しい部屋で虫けらみたいに、死んでいくに決まっている。

 死になさい!あなたなんか

ちぎれて落ちているペンダントを、蹴とばして、部屋から出て行く。


 
 春枝(渡辺梓)は自殺だった。
 しかし、「殺人」と言ってもいい、言葉による暴力だった。


 久乃(川上麻衣子)は、夫を寝取られた怒りと、春枝への哀れみと蔑みの入り混じった表情だった。
 留美(松下由樹)に問い詰められて、白状したあと
「私は悪くない」という言葉を3回繰り返した。
 自分に言い聞かすように。

 久乃も後悔している様子を見せて、彼女の行為を擁護している演出・脚本だが、ここまで言わせる?
 演じた川上麻衣子は、不幸を演じることの多い女優さん。木村多江さんと同様なタイプの女優で彼女の1世代前と言えばよいのか。好きな女優のひとり。
 

 親友だった久乃だけでなく、同じく親友だった留美からも「あなたとは、もう関係ない。さようなら」と言われていた春枝。耐え切れず、自殺。
 なんともやるせない結末。



 今回は、今の自分に迷いや苛立ちや孤独を感じる女性(留美・春枝・久乃)がテーマ。改めて、仕事への強く決意した留美だった。
 そして、倉石検視官(内野聖陽)はすべてを見通していたうえで、「他殺」と見立て、留美に久乃の言葉の暴力までたどり着かせ、留美の呵責の念を軽くしてやるという思いやりを見せた。

 それはいいが、その倉石の見立てに振り回された現場の刑事は気の毒であるし、倉石の行為は許されざるものだろう。

 何のドラマでもそうかもしれないが、主人公を引き立たせるためのストーリーはあってもいいと思う。
 しかし、このドラマは、毎回、それが第一テーマであるように思える。否定はもちろんできないが、好きではない。


 「俺の(好み)とはちがうなあ」
コメント (4)
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