相当なレベルの残念な回だった。
「失踪した管理人・矢島が、作家・夏川郷士を殺害して自殺に見せかけた」という仮説
さゆりの母(屋敷の管理人の妻)の遺品から、夏河が書いたと思われるノートが発見され、そのノートの記述内容を検証して、仮説に辿り着いた。
ノートの内容は、「ノートを書いた本人」が「あの男」が自分を殺すのではないかと思い怖れて、日常出来事にも恐怖を感じていたというものだった。
単なる創作ノートなら取るに足らないモノだが、夏川郷士は「自然主義文学の影響を強く受け、自ら体験したことしか以外は書かないという偏狂な作風」だったので、実際の出来事だったのではないかと考えられる。
そのノート内容を検証すると、屋敷の管理人の矢島が「あの男」に該当した……。
もちろん、この仮説は相棒ファンなら一目瞭然のフェイク。さらに、大女優の岩下志麻が絡んでいて、大部分の視聴者が「彼女が犯人だろう」と予想したはずだ。(この際、そのまま終了してしまった方が、最大級の意表だったろう)
しかし、ドラマでは右京が「僕としたことが迂闊でした」と慌てるところまで引っ張っていた。あり得ない!
★納得できない事象、残念な事象
①夏川は「自ら体験したことしか以外は書かない」などと評価されていたが、「自ら体験したことしか書けない」低質な作家と言った方が良いだろう。それに、夏川は人を恐れるような繊細さは感じられず、ノートを書いた人物の印象と一致しない。
実際、夏川は自尊心は強く傲慢で、最低の部類に属する人間だったようだ。
②杜鵑(ほととぎす)の罪
「あの声で トカゲ喰らうか 杜鵑」と江花須磨子(岩下志麻)は、「人間は見かけによらず、穏やかな顔をしていても、その裏にどんな醜い側面が隠されているか分からない」と示唆して。推理を逸らそうとした。
それが功を奏して、「優しそうな矢島が過去に殺人を犯していたことが判明し、そのことで夏川になじられたか、脅されたかして、矢島が殺意を持った」という仮説が成り立った。
実は、と言うか、これも相棒ファンなら容易に想像できた≪「杜鵑の罪」が杜鵑の習性の「托卵」(ウグイスなどに自分の卵を育てさせる)が、本当の罪だった≫ということ。とても驚愕の真相とは言えない。
まあ、それは許容できるとして、「托卵」=「強姦」というのは少し意味が合わない。「托卵」なら、「須磨子がさゆりの実の母親で、矢島夫妻に育てさせた」でなければならない。
③得意気に真相を語る右京だが……
「(僕たちは)大きな勘違いをしていたようです。冷静に考えれば、どうにも納得がいかない記述が、このノートには何ヶ所かありました」
と語られても、「今更感」が強い。
「ノートを書いた人物」=「夏川」、「あの男」=「矢島」ではなく、「書いた人物」=「須磨子」、「あの男」=「夏川」であったことが、この話の自慢のカラクリであるようだが、「やっぱり感」しかなかった。
一言でいえば、話がつまらないのである。
多少、感心したのは「書き物の合間に広間に降りていこうとした瞬間」という記述が、1階に書斎がある夏川には一致しない。
あと、ロビーの絵画の位置に右京が違和感をかんじたことぐらい。
④そもそも、あのノートを、なぜ矢島の妻が所有していたのだろうか?
夏川が書いたものなら、多少無理はあるが管理人であった矢島が保管していたとする説明が成り立つ。しかし、そのノートは須磨子が書いたもので、それを矢島の妻が持っているのは不思議過ぎる。
「峯秋、いい人化計画」、着々進行
「あの頃の峯秋さんと同じ。真っ直ぐな目ね」
「このサロンは気取り澄ました俗物たちの集まりだったけど、あなたのお父様だけは違ったわ。
私が唯一、信頼できる殿方でした」
今シリーズ、峯秋をやけに持ち上げているような気がする。
それはともかく、今回、「表向きのさゆりの援助者」って、おいしい役回りだ。
それに、「真っ直ぐな目で信頼できる殿方」だったが、「夏川氏自殺」の真相には気づかなかったのだろうか?それとも、気がついていたが、胸にしまっていたのか?…
だとすると、右京に調べさせたら、真実が明らかになることは容易に想像できたはず。
単に、須磨子が好きだっただけとか(笑)
★些細な、でも、気になる点
「私の些細なミスで、あの男が怪我をした」
テニスのダブルスのパートナーが怪我をしてしてしまうほどのミスが想像できない。
ダブルスでの些細なミスと言えば、後衛が打ち損ねて、前衛の頭にボールが直撃だが、それで、腕に大怪我ということはない。大怪我するとしたら、息が合わず激突するか、スイングしたラケットがパートナーの腕に当たることぐらいだが、それだと「些細なミス」とは言わない。
些細なミスで相手のチャンスボールとなり、強烈なスマッシュを受け損なって腕を負傷というのはあり得るかもしれないが、それは怪我をしたものが下手だっただけとも言える。
【ストーリー】番組サイトより
右京(水谷豊)は、峯秋(石坂浩二)から小百合(大谷英子)という若い女性を紹介される。母の遺品から20年前に自殺した文豪・夏河郷士(野崎海太郎)が書いたと思われるノートを発見したというのだ。その内容から20年前の夏河の死は自殺ではなく、小百合の父が殺したのではないかと疑問を抱きはじめたという。さっそく捜査にかかる右京。
米沢(六角精児)の鑑定では、ノートは確かに夏河によって書かれたものだという。
右京は享(成宮寛貴)を連れて夏河が住んでいた慈朝庵と呼ばれている大豪邸を訪ねる。夏河の死後、篤志家である江花須磨子(岩下志麻)という女性がその屋敷を買い取っていた。右京らは須磨子の協力を得て、夏河の死が本当に自殺だったのか、それとも他殺なのか、屋敷内を調べ始める…。
ノートに残されていた「ホトトギスの罪」とは一体なんなのか!?
ゲスト:岩下志麻
脚本:戸田山雅司
監督:橋本一
「失踪した管理人・矢島が、作家・夏川郷士を殺害して自殺に見せかけた」という仮説
さゆりの母(屋敷の管理人の妻)の遺品から、夏河が書いたと思われるノートが発見され、そのノートの記述内容を検証して、仮説に辿り着いた。
ノートの内容は、「ノートを書いた本人」が「あの男」が自分を殺すのではないかと思い怖れて、日常出来事にも恐怖を感じていたというものだった。
単なる創作ノートなら取るに足らないモノだが、夏川郷士は「自然主義文学の影響を強く受け、自ら体験したことしか以外は書かないという偏狂な作風」だったので、実際の出来事だったのではないかと考えられる。
そのノート内容を検証すると、屋敷の管理人の矢島が「あの男」に該当した……。
もちろん、この仮説は相棒ファンなら一目瞭然のフェイク。さらに、大女優の岩下志麻が絡んでいて、大部分の視聴者が「彼女が犯人だろう」と予想したはずだ。(この際、そのまま終了してしまった方が、最大級の意表だったろう)
しかし、ドラマでは右京が「僕としたことが迂闊でした」と慌てるところまで引っ張っていた。あり得ない!
★納得できない事象、残念な事象
①夏川は「自ら体験したことしか以外は書かない」などと評価されていたが、「自ら体験したことしか書けない」低質な作家と言った方が良いだろう。それに、夏川は人を恐れるような繊細さは感じられず、ノートを書いた人物の印象と一致しない。
実際、夏川は自尊心は強く傲慢で、最低の部類に属する人間だったようだ。
②杜鵑(ほととぎす)の罪
「あの声で トカゲ喰らうか 杜鵑」と江花須磨子(岩下志麻)は、「人間は見かけによらず、穏やかな顔をしていても、その裏にどんな醜い側面が隠されているか分からない」と示唆して。推理を逸らそうとした。
それが功を奏して、「優しそうな矢島が過去に殺人を犯していたことが判明し、そのことで夏川になじられたか、脅されたかして、矢島が殺意を持った」という仮説が成り立った。
実は、と言うか、これも相棒ファンなら容易に想像できた≪「杜鵑の罪」が杜鵑の習性の「托卵」(ウグイスなどに自分の卵を育てさせる)が、本当の罪だった≫ということ。とても驚愕の真相とは言えない。
まあ、それは許容できるとして、「托卵」=「強姦」というのは少し意味が合わない。「托卵」なら、「須磨子がさゆりの実の母親で、矢島夫妻に育てさせた」でなければならない。
③得意気に真相を語る右京だが……
「(僕たちは)大きな勘違いをしていたようです。冷静に考えれば、どうにも納得がいかない記述が、このノートには何ヶ所かありました」
と語られても、「今更感」が強い。
「ノートを書いた人物」=「夏川」、「あの男」=「矢島」ではなく、「書いた人物」=「須磨子」、「あの男」=「夏川」であったことが、この話の自慢のカラクリであるようだが、「やっぱり感」しかなかった。
一言でいえば、話がつまらないのである。
多少、感心したのは「書き物の合間に広間に降りていこうとした瞬間」という記述が、1階に書斎がある夏川には一致しない。
あと、ロビーの絵画の位置に右京が違和感をかんじたことぐらい。
④そもそも、あのノートを、なぜ矢島の妻が所有していたのだろうか?
夏川が書いたものなら、多少無理はあるが管理人であった矢島が保管していたとする説明が成り立つ。しかし、そのノートは須磨子が書いたもので、それを矢島の妻が持っているのは不思議過ぎる。
「峯秋、いい人化計画」、着々進行
「あの頃の峯秋さんと同じ。真っ直ぐな目ね」
「このサロンは気取り澄ました俗物たちの集まりだったけど、あなたのお父様だけは違ったわ。
私が唯一、信頼できる殿方でした」
今シリーズ、峯秋をやけに持ち上げているような気がする。
それはともかく、今回、「表向きのさゆりの援助者」って、おいしい役回りだ。
それに、「真っ直ぐな目で信頼できる殿方」だったが、「夏川氏自殺」の真相には気づかなかったのだろうか?それとも、気がついていたが、胸にしまっていたのか?…
だとすると、右京に調べさせたら、真実が明らかになることは容易に想像できたはず。
単に、須磨子が好きだっただけとか(笑)
★些細な、でも、気になる点
「私の些細なミスで、あの男が怪我をした」
テニスのダブルスのパートナーが怪我をしてしてしまうほどのミスが想像できない。
ダブルスでの些細なミスと言えば、後衛が打ち損ねて、前衛の頭にボールが直撃だが、それで、腕に大怪我ということはない。大怪我するとしたら、息が合わず激突するか、スイングしたラケットがパートナーの腕に当たることぐらいだが、それだと「些細なミス」とは言わない。
些細なミスで相手のチャンスボールとなり、強烈なスマッシュを受け損なって腕を負傷というのはあり得るかもしれないが、それは怪我をしたものが下手だっただけとも言える。
【ストーリー】番組サイトより
右京(水谷豊)は、峯秋(石坂浩二)から小百合(大谷英子)という若い女性を紹介される。母の遺品から20年前に自殺した文豪・夏河郷士(野崎海太郎)が書いたと思われるノートを発見したというのだ。その内容から20年前の夏河の死は自殺ではなく、小百合の父が殺したのではないかと疑問を抱きはじめたという。さっそく捜査にかかる右京。
米沢(六角精児)の鑑定では、ノートは確かに夏河によって書かれたものだという。
右京は享(成宮寛貴)を連れて夏河が住んでいた慈朝庵と呼ばれている大豪邸を訪ねる。夏河の死後、篤志家である江花須磨子(岩下志麻)という女性がその屋敷を買い取っていた。右京らは須磨子の協力を得て、夏河の死が本当に自殺だったのか、それとも他殺なのか、屋敷内を調べ始める…。
ノートに残されていた「ホトトギスの罪」とは一体なんなのか!?
ゲスト:岩下志麻
脚本:戸田山雅司
監督:橋本一