英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

A級順位戦 森内竜王×渡辺棋王・王将 その2

2014-06-21 20:27:50 | 将棋
「A級順位戦 森内竜王×渡辺棋王・王将 その1」の続きです。


 森内竜王の▲3五歩は、後手が左翼の金銀を中央に寄せたのを逆手に取った手。
 これに対し、渡辺二冠の△1四角は、先手の3七の桂を目標にした手。▲3五歩を突いたことよる3六の桂頭が露わになったことを逆用している。2五の地点もカバーしているので、「最悪、桂得になりそう」というのが渡辺二冠の見込み。
 ▲3五歩△1四角以下、▲1六歩△2五歩▲同桂と進む。2五の地点は後手の利きの数が多いので、△2五同角(飛)で桂得である。
 しかし、「△2五同角は▲3四歩(△同金は▲2三歩)で手が難しい。△2五同飛▲同飛△同角も後手の駒が重い」(中継サイト)とのこと。また、△2四歩と確実に桂馬を取りに行く手も考えられるが、▲1三桂成がうまい手で先手が良いようだ。
 実戦は△2四飛。

 この手は先手の馬筋を利した技をあらかじめかわしつつ次に△3三桂を見た手だと思われるが、“一手パス”になってしまう危惧を感じた。

 ここでの森内竜王の次の一手には驚いた。
 ▲4三馬!………先手の主張の馬を後手のお荷物の金と刺し違えてしまった……。
 その狙いは……▲1五金。

 露骨な飛角両取り。と言っても、先に角(馬)金交換をしているので、駒割は互角に戻るだけ。森内竜王は何より、2筋の攻防を制するのを重視したのだ。

 控室では「△2二飛▲1四金△同歩▲3一角のあと、①△5二飛②△3二飛③△2三飛などの変化を調べていたが、「難解」、あるいは「先手良し」というのが大まかな見解。
 しかし、渡辺二冠の指し手は△2三歩!

 先手の攻勢を、真っ向から受け止めようという手だ。
 ≪ならば、受けて立とう≫と▲2四金△同歩▲1三桂成△同香▲2四飛と踏み込む。


 2筋の折衝が一段落した局面。
・桂を1三に成り捨てたので先手の桂損だが、飛車を成り込めば駒損は自然解消
・手番は後手だが、先手の次の▲2一飛成より価値のある手はなさそう
・「先手の2枚飛車」対「後手の2枚角」の対抗は先手に分がありそう
・後手は歩切れ
 というわけで、「先手良し」っぽい。

 渡辺二冠の感想を要約すると、、▲3五歩(第2図)の仕掛けに△1四角の反撃に期待したが、苦しい戦いになってしまった。やはり馬が手厚かった。▲3五歩以降は苦しい感じ」

 第5図以下は、渡辺二冠は押したり引っ込んだりして、森内竜王のペースを乱そうとするが、森内竜王は動じず、着実に押し切った。
 以下は、図面を載せるに留めます。


 終局時刻は22時33分。消費時間は▲森内5時間24分、△渡辺4時間51分。
 大一番だったが、渡辺二冠の拙戦と言って良いだろう。
コメント
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