英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

第63期王座戦 第4局 決着は最終局に

2015-10-06 22:49:37 | 将棋
20時53分、佐藤八段が投了。88手、消費時間は▲佐藤4時間49分、△羽生4時間15分。
これで2勝2敗となり、決着は第5局(10月26日、甲府市「常磐ホテル」)に持ち越された。



 局後の検討が追記されていないので、推測の域を出ないが、感想を少し。


 △7二飛(第9図)以下、角を取りきれ、わずかであるが羽生王座が有利になったように思う。
 数手前の△3七歩成(第8図)が利いている。

 第8図から第9図に至る途中、4五の桂を金で取り(桂金交換)、飛車を後手陣に素通りさせるのは大丈夫と読み切ったのは第6図直後の△4八角成辺りだと思われる。

 控室というか、ほとんどの観戦者が△6八角成と先手玉を薄くする手を読んだはずだが、先手の一番の狙い筋である▲7一角を受け止めるには、本譜のように先手の飛車を4六誘導し、△4五金を先手にする必要があったのである。
 局後の感想によると、△6八角成としても、▲同玉△3九銀▲3八飛△4八銀成▲同飛△4四銀とすれば、先手の飛車を4六に誘導できるが、「まあ、でも駒を渡すのは変ですよね」という羽生王座の感想がある。


 ▲6三歩成とせず、▲4一銀(第10図)としたのが佐藤八段の勝負手だったが、おそらく敗着。
 △6九金(第11図)が決まって、形勢が傾いたようだ。▲同玉なら△3六角▲7九玉△4五角▲同銀△4九飛、▲8八玉なら△4四歩(▲同飛は△6六角)と王手飛車取り含みに指す狙い(
by棋譜解説)。実戦は▲8八玉に△4四歩が先手で入り、後手玉の危険が緩和され、後手優勢となった。


 羽生名人の強さを感じさせるに十分な一局だった。
コメント (8)
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第63期王座戦 第4局 夕食休憩前

2015-10-06 18:56:41 | 将棋
羽生王座が4四の角を取る前に、きわどく△3七歩成を利かせた第8図。


 以下▲4六飛△4四金▲7一角に△4五金と根元の桂を取る手が飛車当たりとなるのが△3七歩成を利かせた効果。▲4五同飛に△7二飛で第9図。


 少し前の局面での控室の研究では、図で先手の指し手が難しいと言われていた。
 その後、▲4三歩△4一歩▲8三金△7一飛▲7二銀が控室で調べられていたようだ。
 実戦は、▲6四歩と手筋の絡みつき。これには、とにかく△7一飛と角を取っておきたいと思っていたところ、羽生王座も△7一飛(なかなかやるじゃないか……もちろん、羽生王座の事ではなく、“私が”)。
 △7一飛には▲6三歩成かと思いきや、▲4一銀!


 これには、△6四銀で先手の攻めが細くなるのではと、一瞬喜んだが、8二に金か銀を打つ手があるのかもしれない………と思っていたら、△6九金!何だこの手は?


 棋譜中継の解説によると
「(1)▲同玉なら△3六角▲7九玉△4五角▲同銀△4九飛、▲8八玉なら△4四歩(▲同飛は△6六角)と王手飛車取り含みに指す狙いだ。」
 これは、後手有望か?
 少しわくわくしながら、夕食休憩。
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第63期王座戦 第4局 中盤戦

2015-10-06 15:40:59 | 将棋
居ても立ってもいられず、この記事を書いています。
第2局、第3局と惨敗を喫し、正直、この一局は羽生名人らしさを出してほしいです(でも、勝ってほしい)。

 この連敗を見て感じたことは、羽生王座が無理な動きをしている感じがします。挑戦者・佐藤天彦八段の圧力に、何か急かされているような……そう、渡辺棋王や名人戦での森内九段と戦っているようなぎこちなさを感じています。


 本局は羽生王座の後手番。横歩取りか角換わりになるかと思ってたが、一手損角換わりに。
 一時期は後手番のエース戦法かと言われたが、後手番の上、手損するのは、やはり苦しいのか、最近は採択する棋士は糸谷竜王、丸山九段くらいと言われており、大丈夫なのだろうか?
 マーク(研究)が薄い戦法で、力で勝負を挑むつもりなのかもしれない。

 もしかしたら、四間飛車に変化するのかなとも思ったが、早繰り銀を選択。対する佐藤八段は、早繰り銀に相性が良い腰かけ銀指向。


 後手の居玉を突いて、佐藤八段、早くも動く。後手、大丈夫か?
 ただ、居玉は戦場から遠いので、居玉が生きる展開もありそうだ。

 第1図より。△4五同歩▲5六銀△4六歩に▲6六歩と進み、第2図。

 じっと▲6六歩。次に▲6五歩と突く手や、5六の銀の動きに余裕を持たせる(6七に引く余地)一着。プロなら当然の一手かもしれないが、戦いが始まっている中でのこの一手には、佐藤八段の落ち着きを感じる。
 許さじと△3五歩と桂頭を攻めるが……


 ▲6五歩△7三銀と銀を撤退させられ、▲4五桂と跳ねられてみると、後手が一手遅れているような気がする。
 それでも、銀取りを放置して、△3六歩と取り込み、△3七歩成のと金作りも厳しそう。しかし、銀を逃げる余裕がないとも考えられる。

 佐藤八段は▲4八金。

 ん?受けてくれた。しかも、この受けには、△3九角▲3八飛△4八角成▲同飛△3七歩成がある。
 しかし、よく読むと、▲3八飛△4八角成▲同飛△3七歩成▲4六飛と進むと、後手の攻めに乗じて先手が捌けている。
 △3九角▲3八飛に工夫して、△3七歩成▲3九飛△4八とという手段もあるが、先手から▲7一角の切り札があり、過激に動くのはその反動がきつそう。

 私は、図で△4四銀と時間差で銀をかわしつつ中央に働かせるのが羽生王座らしいのではないかと見ていた。


 「そっちから…」と思わずつぶやく。
 ▲3八飛とされた時、角当たりにならないのか。

 ▲2六角△4三金左▲6八銀と進む。


 △4三金左は中央に厚みを増した良さそうな手。
 ▲6八銀は角切りの催促。自陣は薄くなるが、駒得の実利(戦力増加)も大きい。

 角は6八に切るのかと思ったが、△4八角成!そっちか…
 ▲4八同飛に△4四銀と、これまた味よく銀の活用。


 でも、▲4四角~▲7一角(あるいは▲7一角~▲4四角)の強襲が見える……

 やはりの▲4四角に△3七歩成!


 すごい叩き合いだ。
 これで敗れるのなら、佐藤八段の強さを讃えるべきだろう。
 でも、勝ってほしい。
(続くか続かないか、わかりません)
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