英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

A級順位戦 4回戦進行中

2015-10-19 23:27:56 | 将棋
 今期のA級順位戦、序盤は星が偏った。
 2回戦を終えて
1.行方 八段 2勝0敗(○久保、○佐藤康)
2.渡辺 棋王 2勝0敗(○広瀬、○久保)
3.久保 九段 0勝2敗(●行方、●渡辺)
4.広瀬 八段 0勝2敗(●渡辺、●佐藤天)
5.深浦 九段 1勝1敗(○郷田、●屋敷)
6.郷田 王将 0勝2敗(●深浦、●森内)
7.森内 九段 2勝0敗(○屋敷、○郷田)
8.佐藤康九段 0勝2敗(●佐藤天、●行方)
9.佐藤天八段 2勝0敗(○佐藤康、○広瀬)
10.屋敷 九段 1勝1敗(●森内、○深浦)

2回戦は 行方(1勝) - 佐藤康(1敗)
      渡辺(1勝) - 久保 (1敗)
      深浦(1勝) - 屋敷 (1敗)
      森内(1勝) - 郷田 (1敗)
      佐藤天(1勝)- 広瀬 (1敗)
 と、奇しくも「初戦勝者 対 初戦敗者」の組み合わせとなり、
 深浦-屋敷戦以外は、初戦勝者が勝ち、2連勝4人(行方、渡辺、森内、佐藤天)、2連敗4人(久保、広瀬、郷田、佐藤康)と成績の明暗が分かれた。1勝1敗は2人(深浦、屋敷)。
 それにしても、1、2回戦は、昨期のプレーオフ進出者(上位4人・行方、渡辺、久保、広瀬)同士の対戦が多い。

3回戦は 行方(2勝0敗) - 渡辺 (2勝0敗)
      森内(2勝0敗) - 佐藤天(2勝0敗)
      深浦(1勝1敗) - 久保 (0勝2敗)
      屋敷(1勝1敗) - 広瀬 (0勝2敗)
      郷田(0勝2敗) - 佐藤康(0勝2敗)という組み合わせ。
 何と、2連勝同士の組み合わせとなった。

結果は  ●行方(2勝1敗) - ○渡辺 (3勝0敗)
      ●森内(2勝1敗) - ○佐藤天(3勝0敗)
      ●深浦(1勝2敗) - ○久保 (1勝2敗)
      ○屋敷(2勝1敗) - ●広瀬 (0勝3敗)
      ●郷田(0勝3敗) - ○佐藤康(1勝2敗)
 3回戦を終えて
3勝0敗……渡辺棋王(2位)、佐藤天八段(9位)
2勝1敗……行方八段(1位)、森内九段(7位)、屋敷九段(10位)
1勝2敗……久保九段(3位)、深浦九段(5位)、佐藤康九段(8位)
0勝3敗……広瀬八段(4位)、郷田王将(6位)

 実力者ぞろいのA級棋士、どんな目が出ても不思議ではないが、新八段の佐藤天八段の3戦全勝が光る。相手は佐藤康九段、広瀬八段、森内九段と弩級が揃う。と言っても、A級は皆弩級なのは当たり前(特に今期は強力メンバー)。
 渡辺棋王は流石。順当と言うべきか。
 行方八段もここ2年(3位・6勝3敗、名人挑戦・6勝3敗)の充実ぶりをそのまま示している。
 森内九段も流石の成績だが、3戦目の敗戦で、2連勝後4連敗で寒い思いが心をよぎる。
 広瀬八段は後ろを見る必要はないと思われていたが、まさかの3連敗。


 4回戦も既に3局が消化されている。
▲広瀬八段(0勝3敗)-△森内九段(2勝1敗) 10月1日
 角換わり腰掛け銀から、後手の森内九段が右玉に変化。
 右玉の是非と言うより、森内九段の指し手にやや難があり、勝ちにくい将棋となってしまった。終盤、難しくなったかという局面もあったが、森内九段の勝ちの局面はなかったようだ。(この将棋の解説役だったのか、伊藤果七段のコメント(解説)がよく紹介されていたが、あまり当てにならなかった)
  ○広瀬八段(1勝3敗)
  ●森内九段(2勝2敗)


▲久保九段(1勝2敗)-△郷田王将(0勝3敗) 10月2日
 久保九段の角道を開けたままの向かい飛車。
 力戦、手将棋となり、押し、引き、ねじり合いの中盤が続いたが、辛抱強い指し手を続けた郷田九段が勝利。
  ○郷田王将(1勝3敗)
  ●久保九段(1勝3敗)


▲行方八段(2勝1敗)-△屋敷九段(2勝1敗) 10月8日
 矢倉模様から後手番の屋敷九段が、最近多用している銀2枚を前線に繰り出す急戦に(玉形が薄くて、真似をする気にはならない)。
 機敏に動いた屋敷九段が局面をリードし終盤に。
 屋敷九段に緩手が出て、形勢逆転するも、斬り合いの手勝ちと見た行方八段に誤算があり、屋敷九段の勝利。
  ○屋敷九段(3勝1敗)
  ●久保九段(2勝2敗)
 屋敷九段は降級候補かと思っていたが、初戦の敗局後3連勝(3勝1敗)と、挑戦権争いに加わってきた。御見それしました。


▲佐藤天八段(3勝0敗)-△渡辺棋王(3勝0敗) 10月19日(本日)
 3戦全勝同士の大一番。
 3回戦が準決勝で、本局が決勝戦のような巡り合わせ。
 渡辺棋王は糸谷竜王に挑戦中(現在0勝1敗)、佐藤八段は羽生王座に挑戦中(現在2勝2敗)。
 似た状況だが、渡辺棋王は4連敗中(王将リーグ2敗、JT杯、竜王戦第1局)、佐藤八段は4勝1敗(直近で葉王座戦第4局での敗戦)。
 角換わり腰掛け銀で、先手の佐藤八段が先攻したが、渡辺棋王が銀桂交換(駒損)で得た桂を攻めに使い反撃。激しい戦いとなったが、終盤の入り口で、渡辺棋王が斬り合いを選ばず、自陣に手を戻す。
 やや妥協した手順で、駒の損得は先手に利があるが、自玉の安全度を重視したようだ。
 この後、自玉の安全度を増した後、再び寄せを目指す渡辺棋王に対し、攻め合いに成算が持てなかった佐藤八段が受けに回る。
 23時20分現在、87手、残り時間、佐藤天八段2分、渡辺棋王1時間9分。
 粘りに出ている佐藤八段だが、2分の残り考慮時間が、苦しさを反映しているようだ。


▲佐藤九段(1勝2敗)-△深浦九段(1勝2敗)は、21日に行われる。
 1勝2敗同士、裏の大一番。
 勝てば挑戦権争いにも加われるが、敗れると少し背中が寒くなる。
 ただ、既に1勝3敗が久保九段(3位)、広瀬(4位)、郷田王将(6位)と3人いるので、まだまだこれからという状況だが、深浦九段(5位)、佐藤九段(8位)と順位が高くないので、敗れると暫定で降級圏内に陥ってしまう。
コメント (4)
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第28期竜王戦(糸谷哲郎竜王 対 渡辺明棋王) 第一局 感想

2015-10-19 11:53:56 | 将棋
第28期竜王戦(糸谷哲郎竜王 対 渡辺明棋王) 糸谷竜王が先勝
 戦前の予想は“渡辺有利”だったが、糸谷竜王が第1局を制した。しかも、後手番の横歩取り戦で。
 糸谷竜王用意の作戦だったらしいが、「序中盤でだいぶ苦しくしてしまった」という感想。渡辺棋王も優勢を感じていたが、終盤、受けを間違えてギリギリの将棋になってしまい、最後は競り負けた格好。
 序中盤は有利に進めていたとはいえ、横歩取りの将棋を落としてしまったことは、予定外の敗戦。今後も横歩取り戦も視野に入れて準備をしなければならなくなったのは、誤算(負担)か。
 それにしても、糸谷竜王の差し脚は鋭い。「後方から一気に追い込み、しばらく併走後、相手を後方に追いやる」……そんな感じだ。
 思い浮かぶのは、今期のNHK杯の井上九段戦。≪これは勝ったやろ≫と井上九段が思ったところ、糸谷竜王の角打ち。苦し紛れの受けに見えたが、この角打ちで自陣の急な寄せがなくなり、さらに、相手玉の急所を睨んでいた。急転直下の逆転。
 おそらく、井上九段の猛攻を受けている中、攻防の角が放てる局面を描き、誘導していたのではないだろうか……

 糸谷竜王は不利になっても決定打を与えない。それも、≪一見、ありがたい≫と思える変則的な手が多い。実際、わずかに差が広がることが多いような気がする。そんな手が数手あり、対局相手は、≪かなり、良くなった≫という感触がある。しかし、その感触ほどは開いておらず、その形勢判断、局面分析のズレが、指し手を狂わせるのではないだろうか。
 第1局の場合、△6二角がそれで、糸谷竜王の主張点である“持ち角”の優位性を手放す角打ち。1筋の攻めを見た手だが、先手にはそれを上回る手段がいくつもある。
 後で考えると、≪渡辺棋王に動いてもらおう≫という開き直りの手で、片美濃の玉形の補強を意図した角打ちだったように思う。
 そして、終盤、△3五角と要所に飛び出し差し脚を発揮!おそらく、角を打った時、おぼろげに△3五角と飛び出す手を見ていたのではないだろうか。


 渡辺棋王にして、糸谷竜王の術中に嵌まってしまったかのような逆転負け。
 映像を観ていないので何とも言えないが、糸谷竜王と長時間、相対していると、ペースが乱れてしまうのだろうか?
 封じ手の際のちょっとしたハプニングがあったらしいが、その他に、指し手のタイミング、着手の手つき、対局姿勢……何か、心が揺らめく要素がちらつくのだろうか?
 
コメント (2)
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