英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season14 第1話「フランケンシュタインの告白」

2015-10-15 22:02:13 | ドラマ・映画
 タイトルの「フランケンシュタインの告白」はインパクトはあるが、第一感は適正ではないように感じた。。
(細かいことではあるが、「フランケンシュタイン」は怪物ではなく、怪物を作った博士の名である。まあ、一般的には、フランケンシュタイン=怪物と認知されているので、問題にすべきではないのかもしれない)
 本作の場合は、変死(病死)した受刑者・梅津を指している。本来の暴力に加えて、読書により知力も得た。腕力だけでなく、口先でも相手を封じ込めてしまえる。その上、なぜかカリスマ性もある。梅津を崇める信者も多数。怪物になってしまっていた。
 この梅津、そのカリスマ性を示すエピソードが弱いのだが、刑務所という異常性によるものと許容することにしても、創造主の僧侶・慈光(大和田獏)に「失敗作」と言われ、発作の治療拒否で自ら命を落とすという悲劇的末路というイメージが強い。慈光に自ら命を絶ったという信号(写本の暗号)「告白」と解釈することもできないことはないが……

 では、原作のフランケンシュタイン(創造主の博士)に相当する慈光はどうなのだろうか?
 ドラマの造りとしては、ラスボス(最後に追及される真犯人)扱いだが、追及され自分の罪を後悔しただけで、「告白」とは言えない。

 今回の2時間9分スペシャルのテーマは刑務所という異常な空間だったと考えられる。
 犯罪を犯した囚人をコントロールするため、抑止力を強めなければならず、それによって、刑務官が正常を保てなくなり、異常者(怪物)となってしまった……。その典型が、増渕であり伊達であった。
(心理学だったかな?「看守と囚人」の実験で、学生がその役をこなしていくうちに、看守役は高圧的になり、囚人役は卑屈になっていった事例があったように思う)
 これがテーマだとしたら、タイトルは「歪んだ城」みたいな感じで良いかも。
 とにかく、「刑務官=フランケンシュタイン」とすると、やはり「告白」ではない(悪行の暴露である。伊達は、告白めいた白状をしていたが)。


 となると、梅津が残した写本の暗号が「フランケンシュタインの告白」になるのだろう。(右京が最後にたどり着いた真相でもあるし)ただ、ドラマを通して語られていたのは、刑務官の異常性であったと思う。
 まあ、タイトルについて厳しく追究しなくてもいいと思うが、今回のスペシャルを通して、刑務所の歪みや陰鬱さが漂っており、しかも、「殺人教唆」の真相は早い段階で見えてしまったので、冗長感が強かった。
 梅津の自害と暗号(告白)と慈光の絡みを失くして、通常の1時間枠で良かったのでは?
 ドラマの後半、ほぼ5分おきにCMが挿入されていたのも、冗長感を強めた。


★ストーリー展開の問題点
①美倉を皆で押さえつけて“金縛り”、袋をかぶせて“視界を奪う”模擬心霊体験で、梅津の幽霊の声と思わせ、刑務官・田代を殺害させるトリックは、辛うじて許容できるとしても、嫌われている増渕の「好かれている刑務官・田代に危害が及ぶかもしれない」命令を囚人たちが従うのだろうか?

②梅津信者への伊達の密告がなくとも、殺人教唆トリックの実行者から情報が洩れるだろう。

③殺害された田代刑務官の復讐は、暴動を起こさずとも出来たように思うし、図書館の本に暗号を残して決起するのも不自然。このエピソードは、梅津が残した暗号に到達するための材料の為だったのだろう。

④図書館の責任者がいきなり登場。「おまえ、誰?」状態である。

⑤伊達刑務官が増渕刑務官を批判していたが、増渕も最も多く動静小票を乱発していたのは伊達に批判されたくないだろう


★新相棒・冠城亘(反町隆史)について
【番組ホームページより引用】
法務省キャリア官僚・警視庁警務部付に出向中
2015年春に警視庁に出向してきた法務省のキャリア官僚。現場に興味があるという理由から、人事交流で通例の警察庁ではなく、警視庁を希望した変わり種。法務省事務次官の日下部彌彦から目をかけられており、刑務所内で起きた殺人事件の捜査にオブザーバーとして参加するよう指示を受け、真相解明に奔走した。その事件をきっかけに右京と行動を共にするようになり、右京の無期限の停職処分が解けてからは、“同居人”として共に捜査にあたる。日下部からは「とんだ跳ねっ返り」と評されているが、右京の言葉や推理にも鋭く切り返す。その実力を高く評価している日下部から法務省に戻るよう言われているが、自らの希望で特命係の部屋で“同居”している。
ワンポイント:愛車はスカイライン。人が運転する車に乗るのが苦手!?


 法務省の官僚時代にどういう仕事をしていたか?(これは、今後、明らかにされていくかもしれない)
 春に出向してきてから秋まで、特命係の部屋で何をしていたのかが不明。「現場に興味があるという理由から、人事交流で通例の警察庁ではなく、警視庁を希望した変わり種」とあるが、その割には、何もしていなさそう。(一応、“暇か?課長”(角田課長)とは顔なじみになったらしいが)
 どうせなら、プレドラマ(第0話)で、冠城が特命係部屋にやってきた日に、伊丹・芹沢コンビ、角田課長、米沢さん、神戸尊、大河内らが入れ替わり立ち代わりやってきて、噂話や悪口を漏らして、冠城が右京に興味を抱くという話をやって欲しかったな。

 冠城はどちらかというと神戸タイプだが、奔放で、したたかさを持っているようだ。
 正義感もあるようだが(犯罪者ではなさそう)、どこか冷めていて一歩引いて人と接するところがある。
 非常に偉い人であるはずの法務事務次官の日下部彌彦(榎木孝明)にも、かなり対等な口のきき方をする。まるで、浅見光彦と兄・陽一郎(警察庁刑事局長)との会話のようだった。
 今のところ、あまり魅力を感じない。

 

【ストーリー】番組サイトより
 法務省が管轄する刑務所内で殺人事件が発生! 受刑者の美倉(小柳心)が刑務官の田代(栩原楽人)を殺害するという前代未聞の事件だった。取調べで犯人の美倉は一切口を割らず、法務事務次官の日下部彌彦(榎木孝明)は元部下の冠城亘(反町隆史)に捜査に加わるよう指示する。
 亘は人事交流の名目で法務省から警視庁に出向しているキャリア官僚で、現在は元々特命係があった部屋をあてがわれていた。他省庁から出向してきたキャリアは警視庁ではお客様扱いで特段することもない。そんな中、日下部の命を受けた亘は、伊丹(川原和久)たちと共に取り調べに当たり、美倉から意外な話を聞く。3か月前に死亡し、病死扱いになっていた受刑者の梅津(井之上隆志)が、田代刑務官に殺されたというのだ。美倉はその仇を取ったと主張し、梅津の死後、本人から「田代に殺された」と聞いたと供述する。つまり、美倉の言葉どおりなら、梅津の幽霊が語ったということになるのだが、にわかには信じがたい。当然、捜査関係者は取り合おうとしなかったが、亘だけはその供述に引っ掛かるものを感じていた。
 そのころ、無期限停職処分中の杉下右京(水谷豊)は、ある国で意外な捜査をしていた。

ゲスト:大和田獏、阿部丈二、井之上隆志、小柳心、栩原楽人、榎木孝明

脚本:輿水泰弘
監督:和泉聖治
コメント (4)
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