英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season16 第18話「ロスト~真相喪失」

2018-03-02 17:04:28 | ドラマ・映画
“通訳によって歪曲される捜査・真実”がテーマ
 捜査だけでなく、国家間の会議・会談、スポーツのインタビュー、国際的商談など、通訳が大きな役割を果たしているが、有意義な発言も、通訳がきっちり役割を果たさないと、意義を失うという危険性がある。
 さらに、「通訳者が意図的に通訳内容を歪めて真実から遠ざける」という可能性を、ドラマで通訳が登場するシーンを見るたびに感じていたが、今回はそれを具体化してくれた。そのテーマは良かったのだが……杜撰さが目立つストーリーだった


特に問題を感じたのが
疑問や矛盾のあるシャオリーの言動
①事件当時のシャオリーの状況
 “出し子”手配の報酬で社長に呼び出されたのだが、専務が社長と揉めて殺害してしまった時のシャオリーの状況が良く分からない。考えられるのは「シャオリーと密会中、専務のやってくる気配を感じた社長が、シャオリーを奥の部屋に隠した」という状況。
 しかし、これだと社長と専務が揉めるシーンとうまくつながらない。そもそも、このふたりの揉めるシーンが良く分からない。シャオリーよりも犯罪の金を隠す方が優先順位が高いはずだ。
 闇金業者に金を渡す時間が迫っていて専務への対応どころでないという解釈もできるが、それなら、シャオリーを呼び出すのはおかしい。闇金業者から報酬を受け取ってからで充分である。シャオリーが出し子から金を受け取って運んだ訳でもなさそうだ。
 きっちりしたシャオリーを含めた再現シーンを流してほしかった。

②事件発生後のシャオリーの状況
 鍵が掛けられた部屋から発見された。最初、なぜ逃げなかったのだろうかと思ったが、中からは開けられず閉じ込められた状態だったらしい。
 しかし、事件が発覚して現場検証が始まり、さらに右京たちが到着してから、ようやくシャオリーが発見されるというのは、あり得ない。

③矛盾するシャオリーの目撃証言拒否
・シャオリー発見時は「見た」と頷く
・通訳に“証言するな”と言われ、「見ていない」と証言
・通訳の謀略が発覚した後、目撃証言を求められ、拒否
  最後の証言拒否は、専務を庇うためだと推測できるが、だとしたら最初も「観ていない」と言わないとおかしい

④シャオリーはお咎めなし?
 “出し子”の手配は犯罪の加担にならないのだろうか?

その他の疑問点 
・社長が金を持っていたことから、闇金業者は命令しただけで犯行実行には関わっていなかったと思われる。しかし、現金引き出し、現金回収など社長一人で取り仕切られるか疑問。それに“出し子”の半数の日本人はどうやって手配したのだろか?
・殺害された時、社長はいつ通報ボタンを押したのだろうか?
・いい加減な若社長に鬱積するものがあったかもしれないが、大金と灰皿を見つけてから、犯行実行まで何のためらいもなく、手が早過ぎ。


 今回の犯行、いえ、脚本は池上純哉氏
 氏は、season14 第18話「神隠しの山」season14 第19話「神隠しの山の始末」の印象が悪すぎて、私の中では“要注意脚本家”から“警戒脚本家”と深いレベルへと沈んでいる。
 しばらく浮上はないような気がする。(『刑事ゆがみ』は面白かったのだが)


【season16 の当ブログの記事】
第1話「検察捜査」
第2話「検察捜査~反撃」
第3話「銀婚式」
第4話「ケンちゃん」
第5話「手巾(ハンケチ」
第6話「ジョーカー」
第7話「倫敦からの客人」
第8話「ドグマ」
第9話「目撃しない女」
第10話 元日SP「サクラ」
第11話「ダメージグッズ」
第12話「暗数」
第13話「いわんや悪人をや」 前編(300回記念スペシャル)
第14話「いわんや悪人をや」 後編(300回記念スペシャル)
第15話「事故物件」 15分拡大スペシャル
第16話「さっちゃん」
第17話「騙し討ち」


【ストーリー】番組サイトより
2億5千万円不正引き出し事件に外国人が関与!?
通訳捜査官と共に事件の核心に迫る


 関東一円のATMから約2億5千万円の現金が不正に引き出される事件が発生。防犯カメラの映像などから“出し子”と呼ばれる現金の引き出し役が多数特定され、右京(水谷豊)と亘(反町隆史)も捜査に駆り出される。
 そんな中、ある町工場の社長の撲殺死体が発見される。そこで半年前まで働いていた中国人従業員が出し子の一人であることが分かり、右京と亘は工場を捜査。すると敷地の一角に隠れた若い中国人女性・シャオリー(森迫永依)を発見する。
 通訳捜査官・西村(矢野浩二)を通じて事情を聞くが、警戒しているのか何も語ろうとしない。いっぽう、殺された社長は闇金に多額の借金があったらしく、専務の塹江(越村公一)によると、従業員の賃金さえ未払いだったという。さらに、シャオリーが頻繁にメールでやり取りしていたことも判明し…!?

不正引き出し事件と町工場社長殺害事件に繋がりが!?
現場に居合わせた女性はなぜ証言を拒むのか?
ふたつの事件から思いも寄らない背景が浮かび上がる!


ゲスト:森迫永依 矢野浩二

脚本:池上純哉
監督:橋本一
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『99.9-刑事専門弁護士- SEASON Ⅱ』 第6話

2018-03-02 12:55:39 | ドラマ・映画
………2年前、舞子(木村文乃)の弟・尾崎雄太(佐藤勝利)は窃盗犯として逮捕されていた。
 しかし、それは冤罪で、雄太の雇い主の糸村(横田栄司)の脱税隠蔽工作と雄太を逆恨みした悪友たちの逆恨みによって、嵌められた冤罪だった。
 ところが、舞子は初めから雄太の無実を信じず、示談に向けて、雄太に自白を要請、執行猶予を勝ち取り、“雄太を救った”と信じていた………


 現在、深山(松本潤)と共に弁護士の職務を務めている舞子は、警察・検察が提示する証拠がすべてを物語ることではないと悟り、弟の事件においても自分の取った行為に疑問を感じており、さらに今回の事件を追ううちに当時の自分の行動が浅はかだったと後悔の念を強くしていった。
 今回の事件で、弟の冤罪を晴らし、過去の行為を弟に謝罪し、二人の絆を回復した。


 ドラマとしてはこの流れ(最後に大団円)で適正であろう。
 真犯人の大酉寿司店主・新井英之(竜雷太)が雄太の弁護を舞子に頼んだ理由が「あんた(舞子)が一番、雄太を信じていないから」というダメ押しも良かった。
 しかし、人間としては、謝罪するタイミングは適正ではなかった。少なくとも佐田(香川照之)が気を利かせて、雄太に舞子を接見させた時に、謝るのが筋であろう。
 ところが、姉との接見を拒む弟に対して
「座って!あなたとはちゃんと話したいことがあるの」と言っておきながら、次の言葉が
「なんで話してくれなかったの?先に話してくれれば、他に対処のしようもあったのに」って、これかい?


「真っ先に示談するって言ったの、姉ちゃんじゃないか!」(弟の言い分が正しい)
 その後も、言い訳を続ける姉……
「俺のことを信じてなかったってことだろう!俺はそれが一番つらかったんだよ」
「一番信じてほしかった家族に信じてもらえなかったんだよ!」

弟がここまで心情を吐露しているのに
「あなたの無実を、私が絶対に証明してみせる」
と、あくまで恩着せがましく、謝罪の言葉はなかった。

 繰り返しになるが、ドラマとして最後に大団円は適正だが、姉としてはダメである

★トリックやトリックの解明・立証は面白かった
・FAX受信時間から部屋が荒らされた時刻を立証(FAX受信前に部屋を荒らせるのは糸村のみ)
・来訪者チェックのセンサーによる密室空間のトリック(密室成立以前に侵入、犯人がアリバイ証明の為の屋台を見かけたという証言が墓穴を掘ることになった)

★“見かけは冷徹そうで、その実、情に厚い”というキャラを演じる香川照之は最高!

★相変わらずの杜撰な捜査、逮捕
 「殺害時刻付近に現場にいた」「雄太の過去の窃盗事件の窃盗物が現場にあった」という状況証拠のみで逮捕

 

第1話第2話第3話第4話第5話

【ストーリー】番組サイトより
 舞子(木村文乃)の元に、大酉寿司店主・新井英之(竜雷太)が弁護依頼にやってきた。不動産屋・平田(三又又三)の殺害容疑で警察から事情聴取を受けているという。
 事件当日、新井が事件現場に出入りしていたことが、容疑をかけられた理由だったが、新井は否認。さっそく事件現場にやってきた深山(松本潤)と舞子は、煙草屋店主・飯田(ダンカン)から、事件当日、現場に出入りしていた人間が、新井以外にもう一人いたという話を聞く。

 深山たちが事務所に戻ると、平田殺害の容疑者逮捕のニュースが…。テレビに映された尾崎雄太(佐藤勝利)は、なんと舞子の弟だった。さらに、雄太は2年前に窃盗事件で有罪判決を受けていたことが判明する。 舞子は雄太と接見して弁護を請け負おうとするが、雄太は頑なに拒否。舞子と雄太の間には、あることがきっかけで大きな溝ができていたのだ。結局、深山が一人で弁護を担当することになるが、そこで雄太は、改めて「自分は今回の事件も、2年前の事件もやっていない」と否認するのだった。

 この事件を受け、斑目所長(岸部一徳)は、雄太が本当に犯人であれば顧客からの信用に関わるため、舞子には辞めてもらうと佐田(香川照之)に言い放つ。

 殺人容疑と2年前に雄太が有罪判決を受けた窃盗事件が深く絡まり合った難事件。果たして深山たちは事実を見つけ出し、雄太と舞子を救うことができるのか!?

脚本:宇田学
演出:木村ひさし
トリック監修:蒔田光治
コメント (4)
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