英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

17-18 Wリーグ プレーオフ・ファイナル  JX‐ENEOS vs デンソー

2018-03-28 16:45:07 | スポーツ
圧倒的な強さのJX‐ENEOS(以下、“JX”と表記)
 レギュラーシーズン32勝1敗、勝率9割7分!……圧倒的な強さだ。
 昨シーズンに比べると、木林稚栄(ちえ)、小山真実、川上麻莉亜が引退や移籍で抜け、新加入は林咲希(精華女高→白鴎大)、梅沢カディシャ樹奈(桜花学園)。新加入のふたりの実力は未知数なので良く分からないが、メンバー的には戦力の変化はあまりないようだ。(1月の全日本記事、参照
 しかし、藤岡麻菜美と西山詩乃が故障欠場中というのがマイナス材料。特に藤岡は昨シーズン、ポイントガード吉田のバックアップで大きく寄与しており、彼女の欠場は戦力ダウンと言ってよい。ただ、スピードと運動量のある宮崎がそれをカバーしている。何より、超強力なスターターが健在なので、少しのマイナス材料は響かない。レギュラーシーズン、全日本選手権(準決勝決勝)の勝ちっぷりが、それを物語っている。このプレーオフでも、準々決勝(対日立ハイテク)、準決勝(対シャンソン)と全く危なげなかった。
 対戦チームは常に100%、時にはそれ以上でプレーしなければ、JXに抗することはできない。それによって、リードする時間帯はあっても、そのプレーレベルを維持するのは難しい。JXは巡航運転でプレーし、勝負どころで吉田のキラーパス、渡嘉敷の剛柔織り交ぜた“1on1”、大崎のオフェンスリバウンド、宮澤、岡本の3ポイントorドライブインを繰り出せばよいのである。


決勝の相手はデンソー
 準決勝のもう一山は、デンソー対トヨタ自動車。(以後、“トヨタ”と表記)
 レギュラーシーズンで唯一、JXに土をつけたのがトヨタ。トヨタは選手層の厚さを活かし、メンバーチェンジを多用し、豊富な運動量と多彩なパターンでゲームを制圧する。JXを破る可能性が一番あるのはトヨタと考えていた。
 準決勝は波のあるゲーム展開だったが、第3Q中盤、トヨタ57-45デンソーとリードを広げた辺りでは、このままトヨタが押し切りそうな気配だった。しかし、その後、デンソーが盛り返し5点差で第3Qを終了。
 第4Q、デンソーが追いついたあとは、しばらく、一進一退の白熱した戦いが続いたが、上げ潮ムードと気迫の上回ったデンソーが、終盤、トヨタを突き放し、79-69で勝利した。
 トヨタはペースを握ったが、メンバーチェンジ多用の弊害≪ゲームの流れの寸断≫が災いし、良いゲーム展開で押し続けることができなかった。勝負どころでは、核となるプレーヤーやオフェンスが確定していない弱点が出て、競り負けた。

 デンソーは、エース高田と赤穂姉妹のペイントエリア陣が強力で、うまく機能すればJXに抗することも可能。ポイントガードの稲井も成長著しく、ゲームの流れを変えることのできる伊集もいる。
 しかし、JXを上回る要素に乏しく、ゲームの主導権を握るのが難しそうだ。1月の全日本では、第2Q途中までは、デンソーペースで進んだが、JXがオフェンスパターンを変えてゲームの主導権を奪うと、一気に逆転、結局、84-62でJXが勝利、5連覇を果たしている。


ファイナルのゲーム展開
 ロースコアの展開。
 これは、「両チームの厳しいディフェンスがオフェンスを防いでいる」と考える。それから、「激しいディフェンスを行う影響で消耗し、100%のオフェンスを行使できない」という理由もあるのではないだろうか?
 しかし、JXの場合は、100%のオフェンスでなくても、巡航運転でOKなのである。その差が出て、第1Qは、13-5とJXのリード。

 第2Qに入っても、その流れは変わらず、このままJXが順当に勝つという結末が見え始めたが、第2Q3分に、ターン・ドライブしようとしたデンソー・オコエの側頭部がディフェンスした大崎の顔面に直撃、負傷。鼻から血が流れ、頭部へのショックもあり、その後は欠場。代わって、大沼がコートに入り、4番ポジションは宮澤がスライド。(不慮の事故だが、オコエのプレーは不慮過ぎるように思った)
 大崎を欠くのは、痛手だが、JXは揺るがなかった。前半をJX31-14で終えると、第3Qも53-33、第4Qは差を詰められたが、71-59で10連覇を成し遂げた。


やはり疑問を感じる佐藤HCの采配
・宮崎のプレー時間が増えたのは良い材料だが、岡本と交代で、吉田のプレー時間は39分。「吉田・宮崎」のガードコンビの場合、宮崎がポイントガードを務めるので、吉田の負担は減るのは事実だが、吉田をベンチに下げしっかり休ませた方が効率が良い。「岡本・宮崎」コンビでも充分オフェンスは機能できるし、将来を考えると、このコンビの成熟は必要である。
・後半、JXのオフェンスがやや停滞した時、「時間を使ってもいいから」という指示。
 選手たちを落ち着かせるためとも考えられるが、「点を取り合うペースを下げれば逃げ切る公算が大きくなる」という消極的ゲームプランのように思われる。真意は不明だが、この言葉によって、オフェンスが消極的になり、デンソーがゲームを支配するようになった。
・コートに立ったのは、スターティングメンバー以外は、宮崎と大沼のみ。ゲームの流れを手放す危険は伴うが、もう少し他のメンバーを起用するべきだ。


プレーオフは準々決勝からのトーナメント(一発勝負に)
 レギュラーシーズンは、12チーム総当たり(3回戦制)で計33試合。
 レギュラーシーズンの成績を基に、トーナメントの組み合わせが決まるという意義は小さくないが、3分の2の8チームがプレーオフ進出するという緩い。
 その上、今年度は一発勝負のトーナメント。長丁場のレギュラーシーズンに比べて、準々決勝からたったの3試合で終了するのは、バランスが悪すぎる。あっけなさ過ぎ。
 それに、前試合のゲーム内容を顧みて、ゲームプランを立て直すのがバスケットボールの醍醐味で、それがなくなってしまったのは残念だ(昨シーズンは準々決勝、準決勝は3回戦制、ファイナルは5回戦制だった)
コメント (2)
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