英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

ピョンチャン五輪雑感 その6「感動シーン②“格好良すぎるコメント”」

2018-03-23 15:26:45 | スポーツ
「素直に、本当に今回は…最後、ショーンが滑って、
 まぁほんと…う~ん……ショーン自身も過去一番の滑りだったと思うし、
 (演技を)見てても、“あ、これはやられたなあ”と、そういうふうに素直に思ったんで。
 まぁでも、悔しさは残っているので、それを晴らすために、これからまた、ゼロからやり直していきたい

 次も当然、自分が納得いく、これ以上の結果になるために、
 やり続けられたらいい」


 金メダルを逃した無念、負けた悔しさは、きっとあるはずだが、そういう感情を出さず、淡々とクールに語る平野歩夢。
 “やり切った、出し切った”……そんな気持ちが感じられる表情だった。


………格好良すぎる




 ショーン・ホワイト97.75平野歩夢95.25……私には技術的には良く分からないが、優劣つけがたい演技だったと思う。少なくとも2.5点の差がつくものではなかった。
 この採点の差は、スノーボード・ハーフパイプの採点方式(“方式”と言うより、“点の付け方”と表現した方が正確かも)によるものだと考える。


採点基準(採点要素)――――
――――『演技全体の印象、エアの高さ、難易度、完成度、多様性などの視点から総合的に採点』


 というモノらしい。
 “総合的”とある事から、技の難易度などを基に1回のジャンプごとにきっちり採点はせず、1回の試技全体を総合的に判断するようである。ジャンプの回数もきっちり決められていないのも、やはり“総合的”に採点するからなのであろう。
 砕けた言い方をすると、「神技だ!」「素晴らしい」「上手だ」「残念な出来」などの印象を数値化して得点とするのである(100点満点)
 この場合、各選手の演技を絶対的に評価するのはなかなか難しいので、≪A選手が80点だったら、それより少し良かったB選手の得点は83点にしよう≫というような相対的な評価法を採っているらしい。なので、試技の最初の段階で高い点をつけてしまうと、後の選手の得点が寸詰まりとなる不都合が生じてしまう。
 そういうことを踏まえて、最初の段階の演技はやや低めの点を付ける傾向がある。平野歩夢の2回目の演技は非常に素晴らしいモノだったが、2回目ということで得点を押さえられたのではないだろうか?(しかし、それを考慮しても95.25は低いような気がする)
 もちろん、相対評価の採点であっても、その大会での評価が的確に為されれば、問題はないが、人間がジャッジするので、ブレが生じてしまう。これが体操競技のように、一つ一つの技に評価点が設定されていて、その完成度によって減点するという評価法なら得点のブレは生じにくい(それでも採点に疑問が生じることはある)が、ハーフパイプは試技全体の印象なので、主観の占める割合が非常に高い。
 なので、試合の流れや会場の雰囲気に、審判のイメージが左右されてしまうことはありそうだ。




 今回の五輪の場合、
≪平野の演技は無茶苦茶素晴らしかったぞ!≫
≪2回目の演技は失敗に終わり、ショーン・ホワイトは後がない≫
≪平野を上回るにはパーフェクト以上の演技をしないとダメだぁ≫
 そんな中で、ショーン・ホワイトが滅茶苦茶素晴らしい演技!
≪すげぇ!≫
≪ブラボー!≫
≪これは100点に限りなく近い演技だぁぁぁ≫
会場も大盛り上がり!
    ………97.75!
 「平野の2回目の素晴らしい演技が95.25点だった」という事実は、消し飛んでしまったのだろう。
 もし、平野が3回目にあの演技をしていたら、もっと僅差になったはずだ。

 ショーン・ホワイトのカリスマ性も影響したかもしれない。
 トリノ五輪、バンクーバー五輪と2大会連続の金メダル。
 4年前のソチ五輪でもトップの実力を持ちながら、決勝では不発、失敗に終わり4位に終わっていた。
 なので、≪ショーン・ホワイトにもう一度金メダルを獲って欲しい≫という気持ちを持つ者も多かったはず。

 そんな雰囲気の中で、追い詰められたショーン・ホワイトがあの演技を決めた!




平野歩夢も、“あ、これはやられたなあ”と脱帽したのだ。
ショーン自身も過去一番の滑りを讃えた方が、スッキリするのである。




その1「カーリングに関する疑問」
その2「競技成立への疑問・スピードスケート1000m」
その3「競技成立への疑問・スピードスケート マススタート」
その4「競技成立への疑問・ショートトラック」
その5「感動シーン①“メダル獲れて良かったね”」
その6「感動シーン②“格好良すぎるコメント”」
その7「バレリーナと女優」
その8「感動シーン③“ピョンチャン五輪でベストシーン”」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする