英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

パリ五輪卓球女子代表 伊藤美誠が外れたことについて

2024-02-07 17:14:11 | スポーツ
2月5日、パリ五輪女子の代表候補予定選手3人目(団体戦メンバー)として、15歳の張本美和が選出された。伊藤美誠(スターツ)は落選となった。
(“代表候補予定選手”というモヤッとした表現なのは、パリ五輪な団体戦の出場枠が、世界卓球選手権・団体戦(2024年2月16~25日・韓国釜山)でベスト8に入らないとパリ五輪の団体戦出場を得られないから)

 この世界卓球の女子代表(五輪代表ではありません)は、早田ひな(パリオリンピックシングルス選考ポイント1位・世界ランク5位)、平野美宇(選考ポイント2位・世界ランク18位)、伊藤美誠(選考ポイント3位・世界ランク10位)、張本美和(選考ポイント4位・世界ランク16位)、木原美悠(選考ポイント5位・世界ランク25位)の5名。(世界ランクは2024年1月30日 発表のモノ)。
 世界卓球代表(五輪の代表ではありません)の選考方法は、《パリオリンピックシングルス選考ポイント上位から出場選手4名を選出し、最後の 1 名は強化本部推薦》

 この世界卓球は団体戦だけなので、“伊藤美誠にとっては酷な戦いだな”と思ってしまう。
 個人戦で、五輪代表漏れの鬱憤を晴らすことはできないし、チームとして代表選手たちと共に戦うのは辛いのではないだろうか?他のメンバーもやりにくいかもしれない。


 それはさておき、五輪代表の選考についてだが……個人戦代表(団体戦も出場)は、早田が選考ポイント独走状態で早くから確定させていたが、二人目は選考対象大会の最終戦の日本選手権までもつれ込んだ。わずかに平野がリードしていたが、伊藤はベスト8以上に進出した上で、平野より良い成績を上げれば(例えば、「伊藤ベスト4、平野ベスト8」とか「伊藤ベスト8、平野ベスト16」)、伊藤が逆転するという際どい状況だった。
 結局、伊藤は6回戦で敗れ(ベスト32)、その時点で個人戦出場はなくなった。平野はベスト8止まり、決勝で張本を破った早田が連覇を果たした。

 代表3人目(団体戦のみ)は、選考ポイントやダブルス適正(早田や平野とダブルスを汲んだ時の相性など)や中国戦での勝利可能性などを考慮して選出することになっていた。
《張本を選出した理由》として
①選考ポイント4位(3位の伊藤よりは下位)
②15歳という伸び盛り
③国際試合での戦績など

 (②③は渡辺武弘監督の言)
が挙げられている。
 上記は、発表会見を観たわけではなく、ネットや新聞記事を見てのモノで、実際はもっと語られていたのかもしれない。

 昨年11月の選考会(全農カップ大阪)で伊藤、早田らを破って優勝。先頃の全日本選手権では準優勝。
 国際大会では、WTTスターコンテンダー ゴア準優勝。また、アジア大会団体で王曼昱、WTTファイナルズでは孫穎莎に敗れはしたが、手ごたえを感じさせる内容だった。
 そして、これらが昇り龍の勢い。
 日本選手権において、優勝した早田と対戦した選手は、苦労を重ねてやっと早田から1点を上げていた感じがあったが、張本だけは普通に打ち合って点を取っていた感があった。結果的には0ー4のストレート負けだったが、第1ゲームで張本が9-5とリードした時、このゲームを取り切っていたら、“もしかしたら”があったかもしれない。
 その後は、ゲームの流れを早田に支配されていたが、個々のプレーでは早田に引けを取らない内容だった。現在の実力では、平野より上というのが私の見解(ゾーンに入った時の平野も強力だが)。

 とは言え、純粋にシングルス選考をするのなら、やはり、伊藤を選ぶのが妥当だろう。
 しかし、3人目の代表は、個人戦ではなく団体戦のみの出場。そしてダブルスの適性も重要な要素となる。
 団体戦の形式は、シングルス4試合、ダブルス1試合が基本(世界選手権はシングルス5試合)。
 試合順は東京五輪は第1試合がダブルスで、その後シングルス4試合(リオ五輪までは、単単複単単だったと思う)。どちらかのチームが3勝目を上げた時点で終了。

ABC・XYZ方式(東京五輪)
第1試合(ダブルス) :BC vs YZ
第2試合(シングルス):A vs X
第3試合(シングルス):C vs Z
第4試合(シングルス):A vs Y
第5試合(シングルス):B vs X

 通常、エースがシングルス2試合、他の2選手はシングルス1試合、ダブルス1試合だが、エースが必ずシングルス2試合戦うA や Xでなくてもよい。
 相手チームの相性を考えて、エースをA ( X)から外すこともある。相手チームのエースがやたら強い場合、第2試合のエース同士の試合でこちらのエースがやられてしまうのを回避する戦略も考えられる。世界選手権はシングルス5試合(ダブルス無し)なので、時々あるようだ(女子団体で日本が用いた記憶がある)。ただし、五輪はダブルスがあり、ペア変更になるので難しい。
 
 エースを早田固定と考えられるので、ダブルスは「平野&伊藤」または「平野&張本」となる。
 「平野&伊藤」はかって「美宇、美誠」ペアで国際大会デビューという経験があるので、ありかもしれない。ただし、長らくペアを組んでいない。伊藤の打球の回転が特殊なので、ペアは大変とも言われているが、伊藤は女子ダブルスでは平野、早田と、混合でも水谷らと組んで実績を残しているので、杞憂かも。
 「平野&張本」は組んだことがあるのかな?…すいません、調べていません。Tリーグの所属チームが同じなので、ペアの経験はあるかも。

 ペアとしての相性は、当人同士やコーチの目から見ての判断しかないが、ダブルスとは別の観点で、伊藤選出に関しては不安要素がある。
・マイナスなコメントが多い
 「代表選考対象大会として、国内大会(選考会やTリーグ)が増えたので、国際大会を戦う選手は負担が大きい」(←意訳)というような不満や、大会後のインタビューで「体調が悪い中で…」「満身創痍状態だったが…」という言葉が多かった。
 さらに、日本選手権の6回戦、3-1で迎えた第5ゲームを10-8から4連続失点で落とし、第6、第7ゲームを落とし敗れる。
 試合後、「最終試合(6回戦)は一番勝ち試合だったところを、フルセットにしてしまった。3-3になるまでに仕留めるべきだった。たどりつかなかったです」
 「床でやる3試合は全ての選手がきつくて、私も去年の全日本で腰を痛めてしまった。再発しないように気を付けていたけれど、床で全部フルセットで、正直、結構体にはきていた。でも他の選手はちゃんと乗り越えていました」
 さらに、会見で
 「東京オリンピックが終わってからは、オリンピックを目標にしてても『やめておけば良かったな』と思う瞬間がいっぱいあって。『卓球は大好きだけど、オリンピックを目標にするのはやめておけば良かった』って思う瞬間がいっぱいあった」
 「私はずっとシングルスで優勝したいっていうのを目標にしていて、シングルスで(優勝を)成し遂げたいっていうのがあったので。団体戦に選出されても、出るかどうかはちょっとはっきり決まっていないのですが、まずは落ち着いてどこまでやるかをしっかり考えて」
 大切な試合での逆転負け。心中察するに余りあるが、《う~ん》と思ってしまう。気持ちはよくわかる。よく分かる……
 伊藤が団体戦で代表に選ばれたら、チームとしてはやりにくいような気がする……

・コンディションの不安
 あちこち故障するなどコンディション不良の状態が続いていて、今後、良くなる可能性はあるが、悪化する可能性も低くなさそう。


 「個人戦出場選手とダブルスが組め、団体戦でシングルスおよびダブルスにて活躍が期待できる選手1名を強化本部が決定する」となっているので、選考ポイントを最重視する必要はない。
 私は、3人目の代表は伊藤が選ばれても妥当だと思うし、張本が選ばれても妥当だと思う。
 なので、伊藤ー張本の代表決定戦をすればいいと思っている。できれば、3試合マッチで。
コメント
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