(局面図の手数表示が間違っています。ご容赦ください)
第1図は、先手の羽生竜王が▲4五桂と後手玉の逃げ道を塞ぎつつ3三の打ち込みを見た手に対し、一旦、△8七歩成▲同銀を決めてから△4四銀と受けた局面。
控室では▲3四歩、▲5二金(多分最善手)、▲7二角、▲3一角などが検討されていたが、羽生竜王の次の一手に、目を疑った!
棋譜中継で、手が進んだときの駒音がしたので、モニターに視線を移したが、暫く何が指されたのか、理解できなかった。
▲7一金打!……眩暈がした
通常、1段目に金を打つのは効率が悪くて(金は斜め後ろに利きがない)、悪手になることが多い。
しかも、6二の金がいる状況で更に7一に金を打つのは、“効率の悪さの2乗”でおぞましささえ感じてしまう。さらに、後手玉が8一や9一に居るのならまだしも(それでも、抵抗を感じる)、現状は4二でいかにも“そっぽ”。
もちろん、羽生竜王が終盤の貴重な24分を投入して指した手(残り時間は31分となった)、深い思惑があるのに違いない。
飛車取りの先手で後手の飛車の利きを遮り、▲3一角(王手角取り)や▲5一角を見た手だ。
しかし、▲7一金打に△8七飛成と飛車を切り、▲同金に△2八飛と王手され、▲7八歩に△2一飛成とされると、
手順に先手の狙いの▲3一角を防がれ、先手は飛車が手に入ったとはいえ、銀桂との2枚換えで先手玉の守備も弱体化。7一の金の空振り感が強い。
変化図はまだ先手に分のある局面かもしれないが、時間と思考の消費が空振りしたマイナスが大きく、第3局、第4局の逆転負けの再現の悪い予感しかしなかった。
実戦では、広瀬八段は△5五角と王手で角を避難させ、▲7七歩に△7一飛と飛車を切り▲同金と6二の金をそっぽに行かせ、△4五銀と後手玉の可動をを制していた4五の桂を外した。
このやり取りも後手が随分得したように思えるが、その直後、▲3一角△3二玉に▲2二飛が幸便の手となり、先手の優勢が持続した(第4図の▲2二飛は“この一手”に思えたが8分も考慮していて、非常にヤキモキした)。
この▲2二飛も△3三玉とかわされると重複感が大きいが、▲5二飛成△同銀▲2二角成△4三玉▲5五馬(第5図)と銀一枚得しながら要所に馬を配置する事が出来た。
▲2二飛には△3三玉ではなく、△2二同角▲同角成△4二玉としたほうが良かったかもしれないが、やはり先手が優勢だろう(勝ち切るのはまだまだ大変)
戻って、
第2図から△5五角▲7七歩の時、△7一飛ではなく△8七飛成▲同金に△2八飛とする手もありそうだが、これには▲7八歩ではなく▲5八飛があるようだ。以下、△2一飛成には▲5五飛がある。
この第5図は先手がかなり優勢で勝勢に近いように思える。
しかし、具体的に後手玉の寄せが見えず、勝ち方が分からない。
しかも、羽生竜王の残り時間はこの時点で13分とわずか(広瀬八段は1時間2分)。第3局、第4局の逆転負けが脳裏をよぎった。
実際、広瀬八段も、先手玉にちょっかいを出したり自玉に手を戻したり、手順を尽くして“嫌がらせ”(笑)を実行。本局の勝利への道は細くて先が見えにくいので、並の棋士なら崖から落ちたり、密林に迷い込んでしまうだろう。
最近の羽生竜王も終盤の足取りが腿路持たなくなることが多いので、非常に心配だったが、本局は確実に対応し、急所を突く歩使いが冴え、三勝目をものにした。
以下は、ポイントとなった図を挙げるに留めます。
△9五桂の馬取りに、▲9六馬と桂取りの逆先で後手の攻めを急かす(少し前の▲4六歩の突き出しも効いている)
▲3五歩は後手玉の上部脱出を阻止しつつ、3四への打ち込みも見ている。
放置できない銀取りだが、△5三同玉は8六の馬の射程に入り、△5三同玉には▲6一角が厳しい。
難解な序中盤を乗り越え優勢に。しかし…
あの▲7一金打……羽生竜王しか打てないだろうなあ
最後は圧勝の形になったが、心臓に悪い将棋だった。
第1図は、先手の羽生竜王が▲4五桂と後手玉の逃げ道を塞ぎつつ3三の打ち込みを見た手に対し、一旦、△8七歩成▲同銀を決めてから△4四銀と受けた局面。
控室では▲3四歩、▲5二金(多分最善手)、▲7二角、▲3一角などが検討されていたが、羽生竜王の次の一手に、目を疑った!
棋譜中継で、手が進んだときの駒音がしたので、モニターに視線を移したが、暫く何が指されたのか、理解できなかった。
▲7一金打!……眩暈がした
通常、1段目に金を打つのは効率が悪くて(金は斜め後ろに利きがない)、悪手になることが多い。
しかも、6二の金がいる状況で更に7一に金を打つのは、“効率の悪さの2乗”でおぞましささえ感じてしまう。さらに、後手玉が8一や9一に居るのならまだしも(それでも、抵抗を感じる)、現状は4二でいかにも“そっぽ”。
もちろん、羽生竜王が終盤の貴重な24分を投入して指した手(残り時間は31分となった)、深い思惑があるのに違いない。
飛車取りの先手で後手の飛車の利きを遮り、▲3一角(王手角取り)や▲5一角を見た手だ。
しかし、▲7一金打に△8七飛成と飛車を切り、▲同金に△2八飛と王手され、▲7八歩に△2一飛成とされると、
手順に先手の狙いの▲3一角を防がれ、先手は飛車が手に入ったとはいえ、銀桂との2枚換えで先手玉の守備も弱体化。7一の金の空振り感が強い。
変化図はまだ先手に分のある局面かもしれないが、時間と思考の消費が空振りしたマイナスが大きく、第3局、第4局の逆転負けの再現の悪い予感しかしなかった。
実戦では、広瀬八段は△5五角と王手で角を避難させ、▲7七歩に△7一飛と飛車を切り▲同金と6二の金をそっぽに行かせ、△4五銀と後手玉の可動をを制していた4五の桂を外した。
このやり取りも後手が随分得したように思えるが、その直後、▲3一角△3二玉に▲2二飛が幸便の手となり、先手の優勢が持続した(第4図の▲2二飛は“この一手”に思えたが8分も考慮していて、非常にヤキモキした)。
この▲2二飛も△3三玉とかわされると重複感が大きいが、▲5二飛成△同銀▲2二角成△4三玉▲5五馬(第5図)と銀一枚得しながら要所に馬を配置する事が出来た。
▲2二飛には△3三玉ではなく、△2二同角▲同角成△4二玉としたほうが良かったかもしれないが、やはり先手が優勢だろう(勝ち切るのはまだまだ大変)
戻って、
第2図から△5五角▲7七歩の時、△7一飛ではなく△8七飛成▲同金に△2八飛とする手もありそうだが、これには▲7八歩ではなく▲5八飛があるようだ。以下、△2一飛成には▲5五飛がある。
この第5図は先手がかなり優勢で勝勢に近いように思える。
しかし、具体的に後手玉の寄せが見えず、勝ち方が分からない。
しかも、羽生竜王の残り時間はこの時点で13分とわずか(広瀬八段は1時間2分)。第3局、第4局の逆転負けが脳裏をよぎった。
実際、広瀬八段も、先手玉にちょっかいを出したり自玉に手を戻したり、手順を尽くして“嫌がらせ”(笑)を実行。本局の勝利への道は細くて先が見えにくいので、並の棋士なら崖から落ちたり、密林に迷い込んでしまうだろう。
最近の羽生竜王も終盤の足取りが腿路持たなくなることが多いので、非常に心配だったが、本局は確実に対応し、急所を突く歩使いが冴え、三勝目をものにした。
以下は、ポイントとなった図を挙げるに留めます。
△9五桂の馬取りに、▲9六馬と桂取りの逆先で後手の攻めを急かす(少し前の▲4六歩の突き出しも効いている)
▲3五歩は後手玉の上部脱出を阻止しつつ、3四への打ち込みも見ている。
放置できない銀取りだが、△5三同玉は8六の馬の射程に入り、△5三同玉には▲6一角が厳しい。
難解な序中盤を乗り越え優勢に。しかし…
あの▲7一金打……羽生竜王しか打てないだろうなあ
最後は圧勝の形になったが、心臓に悪い将棋だった。
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