萎れています……そうか…「しおれる」って「萎れる」と書くんだ……
七番勝負前から、羽生九段が敗れる(王将奪取が叶わない)覚悟はできていた。
ここ数年の状況……特に昨年度(2021年度)のA級陥落、勝率3割台の状況を考えると、タイトル戦の檜舞台に立つことはないかもしれない。もちろん、復調すれば、挑戦権を獲得することは可能かもしれないとは考えていた。
しかし、王将リーグで、服部五段、糸谷八段、近藤七段、渡辺名人、永瀬王座、豊島九段相手に全勝で挑戦権を獲得!
王将リーグは持ち時間や季節的なモノ?などの相性がいいので、挑戦権に絡めるかもしれないとは思っていたが、同時に、陥落もあり得ると……
で、王将戦七番勝負が目前になってワクワクしたかというと、そうではなく、0勝4敗のストレート負け、しかも、将棋の内容もワンサイド……なんてことを考えていた。
でも、心の片隅で期待はしていた。でも、あまり期待を膨らませないように努めていた。
第1局は途中から差がついてしまったが、内容は悪くなかった。第2局は羽生九段らしい辺境地点への金打ちが出て、その他の指し回しも見事だった。
第3局も敗れはしたが、勝負将棋にはなっていた。第4局は藤井王将が受け手を誤り、羽生九段の快勝となった。藤井王将のミスで勝った形にはなったが、ミスが出るまでの指し手や、優勢になってからの勝ち方が隙がなかった。
第5局は、第一日目の段階でかなり不利に陥ったが、藤井王将が珍しく勝ちを急いだため、局勢が接近し逆転を思わせる局面になった。しかし、藤井王将も崩れず、結局難解な局面を抜け出した藤井王将が勝利。
最後は、羽生九段が力尽きた感じだったが、第6局以降に期待を感じさせる名局だった。
第6局は……第6局は………残念……がっかり。
でも、"落胆”とか”がっかり”というマイナスな気持ちと言うより、“萎れる”という感じ。
《同じじゃないか?》と言う勿れ!
また水分(気力)を注入すれば、元気になる!……はず…たぶん。
第6局を簡単に(後で、読み返した時に、どんな将棋か分かるように)
角換わり腰掛銀のかなり以前からある(昭和時代?)、お互いに2筋8筋の敵陣を押し込める戦型。
そこから、羽生九段は▲6五歩と局面を動かす。
これは、昨年の叡王戦・九段予選で、▲永瀬ー△羽生戦で現れた指し方。(永瀬勝ち)
この時、後手を持って敗れた羽生九段が先手番で採用し、藤井王将に解答を求めた形だ。
藤井九段の解答は、図から△6五同銀▲4六角に△6四角(対永瀬戦で羽生九段は△7三角)。以下▲6八飛△7三桂▲7五歩と進む。(藤井九段の解答が正解で、後手が有利になったわけではなく、難解な形勢)
前例から離れているが、羽生九段の▲7五歩はわずか8分の考慮。研究範囲なのだろう。
これに対して、藤井王将は1時間12分考えて△7五同歩と応じる(もちろん、研究範囲だろうが、改めて読みを入れた)
ここで、大きな分岐点。
控室では、「△7五同歩以下、▲6四角△同歩▲3三歩成△同銀▲7四歩△同銀▲6四飛で銀取りを受けにくい
△8四飛なら▲4一角があって先手が良くなりそう。なので、△8五角や△6五角と受けてどうか……。この変化を避けて▲7五歩には△4六角とする手もあった」
感想戦で藤井王将は△8五角と受けていた。以下、色々、調べていたが、羽生九段の「う~ん」とか「うぅぅぅ…」とか「そうかぁ」というような、うめき声にもうなり声にも聞こえる声が多かった(この局面に限らず、藤井五冠との感想戦はこういう感じ)。局面自体が後手が良いのか、藤井王将が強くて、藤井良しの変化になるのかは不明。
実戦は、変化図に成算を持てず、△7五同歩に▲6六銀を選択(AI推奨の一手)。以下△4六角▲同銀△6六銀▲同飛△7四角▲3三歩成△同銀▲4八玉△4四銀と進む。
ここで、▲3八金~▲3九玉と自玉を整えたが、2手かけたほどの効果はなく、後手の△7二金~△3三桂の方が勝ちが高くて、後手が指しやすくなったようだ。
以下は、指し手は省略。
図の△4五同桂では△4五同銀の方が良かったようで、若干、差が縮まった。図の少し前の▲2一角が良くなく、あきらめかけていたが、少し元気が出た局面だった。
しかし、ここで▲6四歩が悪手で、手抜きで△5七銀と打ち込まれて、敗局を決定づけられてしまった。
図では、8筋を放棄(飛成を甘受)して▲6八金とするのが勝負手だったらしい。
以下は、形作り……
本局は、時々ある羽生九段“変調”の一局だった。
AI将棋全盛の現代では、手の流れ(一貫性)は以前ほど重要視されず、その1局面、1局面を切り取って考えるのが主流である。(皮肉なことに、羽生九段全盛時に羽生九段自身が述べていた)
それでも、局面の捉え方は平成も令和も大きな差はない。多少、各要素の重要度は変わってきているが、本局ではその要素ではなく、将棋の方向感覚が狂っていたように感じる。変調だった。
今年度は勝ち星も上がってきている。最近は、単に勝ったという結果だけではなく、その足取りがしっかりしてきているように感じる。
また、次の檜舞台を待ちたい。
七番勝負前から、羽生九段が敗れる(王将奪取が叶わない)覚悟はできていた。
ここ数年の状況……特に昨年度(2021年度)のA級陥落、勝率3割台の状況を考えると、タイトル戦の檜舞台に立つことはないかもしれない。もちろん、復調すれば、挑戦権を獲得することは可能かもしれないとは考えていた。
しかし、王将リーグで、服部五段、糸谷八段、近藤七段、渡辺名人、永瀬王座、豊島九段相手に全勝で挑戦権を獲得!
王将リーグは持ち時間や季節的なモノ?などの相性がいいので、挑戦権に絡めるかもしれないとは思っていたが、同時に、陥落もあり得ると……
で、王将戦七番勝負が目前になってワクワクしたかというと、そうではなく、0勝4敗のストレート負け、しかも、将棋の内容もワンサイド……なんてことを考えていた。
でも、心の片隅で期待はしていた。でも、あまり期待を膨らませないように努めていた。
第1局は途中から差がついてしまったが、内容は悪くなかった。第2局は羽生九段らしい辺境地点への金打ちが出て、その他の指し回しも見事だった。
第3局も敗れはしたが、勝負将棋にはなっていた。第4局は藤井王将が受け手を誤り、羽生九段の快勝となった。藤井王将のミスで勝った形にはなったが、ミスが出るまでの指し手や、優勢になってからの勝ち方が隙がなかった。
第5局は、第一日目の段階でかなり不利に陥ったが、藤井王将が珍しく勝ちを急いだため、局勢が接近し逆転を思わせる局面になった。しかし、藤井王将も崩れず、結局難解な局面を抜け出した藤井王将が勝利。
最後は、羽生九段が力尽きた感じだったが、第6局以降に期待を感じさせる名局だった。
第6局は……第6局は………残念……がっかり。
でも、"落胆”とか”がっかり”というマイナスな気持ちと言うより、“萎れる”という感じ。
《同じじゃないか?》と言う勿れ!
また水分(気力)を注入すれば、元気になる!……はず…たぶん。
第6局を簡単に(後で、読み返した時に、どんな将棋か分かるように)
角換わり腰掛銀のかなり以前からある(昭和時代?)、お互いに2筋8筋の敵陣を押し込める戦型。
そこから、羽生九段は▲6五歩と局面を動かす。
これは、昨年の叡王戦・九段予選で、▲永瀬ー△羽生戦で現れた指し方。(永瀬勝ち)
この時、後手を持って敗れた羽生九段が先手番で採用し、藤井王将に解答を求めた形だ。
藤井九段の解答は、図から△6五同銀▲4六角に△6四角(対永瀬戦で羽生九段は△7三角)。以下▲6八飛△7三桂▲7五歩と進む。(藤井九段の解答が正解で、後手が有利になったわけではなく、難解な形勢)
前例から離れているが、羽生九段の▲7五歩はわずか8分の考慮。研究範囲なのだろう。
これに対して、藤井王将は1時間12分考えて△7五同歩と応じる(もちろん、研究範囲だろうが、改めて読みを入れた)
ここで、大きな分岐点。
控室では、「△7五同歩以下、▲6四角△同歩▲3三歩成△同銀▲7四歩△同銀▲6四飛で銀取りを受けにくい
△8四飛なら▲4一角があって先手が良くなりそう。なので、△8五角や△6五角と受けてどうか……。この変化を避けて▲7五歩には△4六角とする手もあった」
感想戦で藤井王将は△8五角と受けていた。以下、色々、調べていたが、羽生九段の「う~ん」とか「うぅぅぅ…」とか「そうかぁ」というような、うめき声にもうなり声にも聞こえる声が多かった(この局面に限らず、藤井五冠との感想戦はこういう感じ)。局面自体が後手が良いのか、藤井王将が強くて、藤井良しの変化になるのかは不明。
実戦は、変化図に成算を持てず、△7五同歩に▲6六銀を選択(AI推奨の一手)。以下△4六角▲同銀△6六銀▲同飛△7四角▲3三歩成△同銀▲4八玉△4四銀と進む。
ここで、▲3八金~▲3九玉と自玉を整えたが、2手かけたほどの効果はなく、後手の△7二金~△3三桂の方が勝ちが高くて、後手が指しやすくなったようだ。
以下は、指し手は省略。
図の△4五同桂では△4五同銀の方が良かったようで、若干、差が縮まった。図の少し前の▲2一角が良くなく、あきらめかけていたが、少し元気が出た局面だった。
しかし、ここで▲6四歩が悪手で、手抜きで△5七銀と打ち込まれて、敗局を決定づけられてしまった。
図では、8筋を放棄(飛成を甘受)して▲6八金とするのが勝負手だったらしい。
以下は、形作り……
本局は、時々ある羽生九段“変調”の一局だった。
AI将棋全盛の現代では、手の流れ(一貫性)は以前ほど重要視されず、その1局面、1局面を切り取って考えるのが主流である。(皮肉なことに、羽生九段全盛時に羽生九段自身が述べていた)
それでも、局面の捉え方は平成も令和も大きな差はない。多少、各要素の重要度は変わってきているが、本局ではその要素ではなく、将棋の方向感覚が狂っていたように感じる。変調だった。
今年度は勝ち星も上がってきている。最近は、単に勝ったという結果だけではなく、その足取りがしっかりしてきているように感じる。
また、次の檜舞台を待ちたい。
とっても残念です。書きたいことはいろいろあって一度は書いたのですが、全て消しました。でも一言だけ。あれが"ここ一番"の負けられない勝負で用意した作戦(戦型)だったのだろうか?
>書きたいことはいろいろあって一度は書いたのですが、全て消しました。
どんなことを書かれたか、気になりますね。
スランプと言って良いのかは不明ですが……いえ、現在、回復傾向にあると思えるので、「スランプ」だったと言って良いような気がします。で、《スランプを脱出しつつある》と思いたいです。
年齢的な衰えはあるとは思いますが、それがすべてではなく、AI研究に起因している部分も多いと思います。
あと少し回復が進めば、また、タイトル挑戦もあるように思います。あと、A級にも復帰していただきたいです(これも十分可能で、こちらの方がパーセンテージは高い)
>あれが"ここ一番"の負けられない勝負で用意した作戦(戦型)だったのだろうか?
叡王戦の九段予選で羽生九段が永瀬王座に敗れているのですが、その将棋で興味を持った局面を藤井五冠にぶつけて、答えを出したかったのかもしれません。
でも、思いのほか、思わしくない局面になってしまったようです。同時に、時々生じる“変調の日”にぶつかってしまったようです。
ともあれ、今後も一局一局、丹念に指していただきたいです。
羽生先生、藤井先生
ほんとうにお疲れさまでした、
と言いたい気分でいっぱいでした。
ああ、藤井先生の『△7四角』がかっこよかった。
あんな手があるなんて・・・・。
第6局は、なんか一方的にやられてしまったように
見えたのですが、
実際は色々と勝負手があったみたいなんです
よねぇ~~~。
(AIさんが言っているので、棋力がない
わたしには
さっぱりなのですが・・・・)
それにしても、藤井先生に勝とうと
思ったら、時間切迫に追い込まなければ
いけないし、事前に3つ、4つ秘策を用意
しないといけないし、
自分の先手番は、何が何でも白星を
取らないといけないし・・・・。
何よりも、藤井先生がここ一番に出す、
即興の1手に対応しないといけないし・・・・。
いやぁ~~~~。挑戦者にならないといけないのに、その間に『対藤井先生対策』も考えないと
いけないのは、正直つらいです。
いやぁ~~~~、でも、楽しかったです。
次も、羽生先生のタイトル戦を見てみたい
です。
考えている時の羽生先生は、
ほんとかっこいいです。
>””ここ一番””
個人的には、第5局の『横歩取り』が
”ここ一番”の作戦だったような気が
します。
(わたしは、あまり将棋をしらないし、
この文は勘で書いていますので、
異論は当然認めます)
ではではっ。
PS・前夜祭のあいさつだったら、
羽生先生は圧勝だったような気がします。
>第6局は、なんか一方的にやられてしまったように見えたのですが、
>実際は色々と勝負手があったみたいなんです
よねぇ~~~。
残念ながら、この一局は羽生九段の不出来の日でした。5局に1局ぐらいは、ちぐはぐな将棋が出現します。(残りの4局は負けても内容が充実しているように感じます)
>何よりも、藤井先生がここ一番に出す、即興の1手に対応しないといけないし・・・
そう、死角から飛んでくるようなパンチの対応も大変です。
それとは別に、藤井五冠と番勝負を戦うと、局数を重ねるにつれ、藤井五冠の強さを感じてしまう……《勝つのが大変》と思ってしまう
>個人的には、第5局の『横歩取り』が”ここ一番”の作戦だったような気がします。
そうかもしれませんね。
でも、羽生九段は疑問や課題の局面を、藤井君にぶつけているように思います。
局後に
「もうちょっと全体的に指し手の精度を上げないといけないと感じたシリーズでした」
と述べているので、今度はもっと精度を上げて藤井君に挑戦するのではないでしょうか?